結局、家って買った方が得?借りた方が得?2000人に「住宅の実態」調査

公開: 更新: テレ東プラス

賃貸住宅に家賃を払い続けるのはもったいない!? 持ち家はローンや税金に加え維持修繕費もかかる...。結局、家って買った方が得? 借りた方が得?

「テレ東プラス」では、「住宅」に関するアンケートを行い、その実態を調査。結果を踏まえ、専門家に話をうかがいました。

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「持ち家」「賃貸」のメリット・デメリット

Yahoo!ニュースの協力を得て、全国30代~60代以上の男女2000人にアンケートを実施(2022年4月1日)。まず、「現在の家は購入した持ち家ですか?賃貸ですか?」の質問結果は以下となりました。

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【持ち家購入】は、「一軒家」52.6%、「マンションなど集合住宅」15.2%で計67.8%、【賃貸住宅】は、「一軒家」2.9%、「マンションなど集合住宅」26.4%で計29.3%で、持ち家と賃貸の比率は約7:3。「その他」3%は、「親と同居」「親族の持ち家」「間借り」などでした。

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【持ち家購入】と回答した方に対し「購入してよかったと思うこと」を問うと、「将来住む場所に不安がない」44.2%、「家賃などを気にしなくていい」34.7%、「財産になる」28.9%、「模様替えやリフォームができる」14.9%の他、「近所に気を使わずペット飼育や家庭菜園を楽しめる」(30代・女性・佐賀県)、「自由設計なので動線が良く生活しやすい」(40代・女性・静岡県)、「家賃よりも固定資産税の支払いの方が安上がりだと思う」(40代・男性・愛知県)などの回答も。長期的に見た金銭的な面と、自身の生活スタイルに合わせた住みやすさの面でメリットを感じているようです。

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一方、「買わなければよかった」と後悔する人は、購入者の2.9%。理由は、「経年劣化の心配」10.8%、「固定資産税などの税金」7.2%、「問題があっても引っ越せない」6.6%、「ローンの支払い」5.5%の他、「子どもの進学などで不便さが気になり出したから」(40代・女性・栃木県)、「死後に相続する人がいない為」(40代・女性・大阪府)などの問題があるようです。

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現在【賃貸住宅】にお住まいの方への「今後、購入を考えていますか?」との問いには、「一生賃貸の方がいいと考えている」との回答も。

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【賃貸住宅】を選ぶ理由は、「いつでも住み替えができる」8.2%、「購入資金や税金などの問題」5.3%の他、「災害が起こった時の金銭的負担」(30代・男性・静岡県)」、「メンテナンスを管理会社に丸投げできる。手続きや税金も簡単」(40代・女性・東京都)などの賃貸住宅のメリット、「ローンを払い終える頃にはリフォームしなければならない」(60代以上・男性・大阪府)などの持ち家購入のデメリット、両方からの意見がありました。

また、「どちらが得なのか?」「それぞれのメリット・デメリットは?」「いつ買うのがベストなのか?」「30年後の賃貸相場は?」などの疑問も寄せられました。

家は買った方が得? 借りた方が得?

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アンケートの結果や、ご意見・疑問などについて、日本最大級の不動産サイト「SUUMO」副編集長・笠松美香さんにお話をうかがいました。

Q.まず、【持ち家購入】【賃貸住宅】それぞれのメリット・デメリットを教えてください。

【持ち家】の場合、維持管理が必要です。マンションなど集合集宅では、構造や共用部分に関しては定期的に修繕積立金を徴収し、住民による管理組合が主体となって計画的に点検・修繕が行われますが、戸建ての場合は大きく傷む前に自分で計画して行わなければなりません。費用の面では、ローンや火災保険料、税金以外の、快適に暮らしていくための維持管理費だけで、一戸建てで年間20万円~30万円、マンションで30万円~40万円かかるという試算もあります。

金銭的な面では、何を比較するかによってメリット・デメリットも変わります。賃貸で家賃が安いものを選ぶ方が当然コストは安くなりますが、【賃貸住宅】は住宅の質としては持ち家と比べやや低い傾向にあります。"安い物件を借りて貯蓄する""資産になることを考え、今の家賃と比べて毎月の支払いが少し高くても買う"など、何にどれだけお金をかけるかによって選択するのが良いでしょう」

Q.「資産」という観点から考えると、【持ち家】は築何年くらいまで価値があるのでしょう?

「戸建ての場合、個体差が大きく、価格がまちまち。新築の木造住宅の法定耐用年数22年で、それを越えると減価償却の計算上では建物の価値としてはカウントしませんが、丁寧に管理されているものであれば評価され、価値がゼロになることはありません。逆に、しっかり維持管理されていても、住む人を選ぶ奇抜なものや購入する人にとって魅力的でないものは評価が低くなります。

一方、マンションは、住戸による差は一戸建てほどは出にくく、特にこの10年余りはかつてに比べぐっと新築の供給数が減っていることから、価値が下がりにくい状況にあります。今、新築マンションの価格が上がっているのは、この供給数の減少とアクセスのいい立地を志向する人が増えたことによるもので、同じ条件で比較される中古マンションも同様に上がっています。また、計画的に維持管理されているため評価の下がり方も緩やか。一戸建てに比べると、立地条件、広さなど物件スペックでの比較が容易で、同じ建物内で売却実績があることも多いので、中古で売る場合の価格のイメージもつきやすいと言えるでしょう」

Q.【持ち家購入】【賃貸住宅】どちらが自分に向いているかを判断するには、どうすればいいですか?

「都心と、郊外や地方では住宅の選び方が異なっていて、地方では結婚などのタイミングで一戸建てを購入される方が多いですよね。同じところに安定して住みたい、親の代からの土地があるなど、その地から移る可能性が低いのであれば、金銭的な面では持ち家を購入した方が得です。

転勤が多い、会社から賃貸補助が出る、子供の進学などで住み替える可能性がある方などは、賃貸向き。また都心には人生の変化を求めている方が多いので、そういう方には賃貸が向いているかもしれませんね。

例えば私は、管理やメンテナンスを自分でやっていくことに自信がなく、家を自分好みに手を加えたいというよりは、利便性や、その時点で自分に合った街に住みたいという志向なので、賃貸が向いていると思っています。家に手をかけたい、大事にしていきたいという方は購入が向いていると思います」

Q.コロナの影響による住宅の価値や価格の変動はありましたか?

「住宅価格や家賃に関してはコロナの影響はあまりありませんが、原油高、などの物価上昇により、一戸建ては特に価格が上がっています。これからさらに影響が大きくなると思います。マンションはコロナ禍の前から、前述したような背景(供給数の減少、アクセスのいい立地を志向する人が増えた)でずっとじわじわと価格が上がっている状況です。

コロナによって変わったことは、価値観や勤務形態の変化により、都心部から郊外へ、駅近より広さを重視するといった方がやや増えたことで、実際に調査データに表れています。また、これまで衣服、レジャー、外食などに使っていた出費が抑えられた分、住宅にお金をかける人が増えたという印象もあります」

Q.結局、家は買った方が得? 借りた方が得?

「どっちでもないんですよね(笑)。家を買うということは、大きな負債を負うとも言えますし、自分の信用を材料に、低金利でお金を貸してもらいながら資産に変えていっている、とも言えます。家を買うことをどうとらえるか、で違ってきます。

住宅ローンには保険的な側面もあり、債務者が死亡した場合、遺族はローンを免除されたり、特定の病気になったらローンを払わなくていい疾病保障特約がついたものなどもあります。そういうことも含め、得か損かではなく、何に出費するかを考えた方がいいです。

また、最近では、中古物件を安く買い、リフォームして価値を高めて売る買取再販事業が、マンションだけでなく、一戸建てでも盛んになっています。【持ち家】【賃貸住宅】かだけでなく、家を買う際の選択肢の幅も広がっているので、ご自身の人生、ご家族、生活スタイルに合った方法を選ぶことが大事です」

※この記事はテレ東プラスとYahoo!ニュースによる共同企画で、Yahoo!ニュースが実施したアンケートの結果を活用しています。全国のYahoo! JAPANユーザー2000人(年代は30代19%、40代35%、50代29%、60代以上16%、答えたくない1%。男女比はほぼ6:4)を対象に行い、2000人から有効回答を得ました。

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【プロフィール】
笠松美香(かさまつ・みか)
1996年、リクルート入社。現在は「SUUMO」副編集長、「SUUMOジャーナル」をはじめとする情報コンテンツを担当。「スーモ リサーチセンター」研究員を兼務し、住宅最新トレント、ノウハウなど住まい領域全般に幅広く詳しい。
不動産・住宅サイト「SUUMO」

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