「...あんた、あの男を殺しただろう」押本はみどりに包丁を突きつけるが...:寂しい丘で狩りをする

公開: 更新: テレ東プラス

翌日。久我の車が埠頭で見つかったという知らせが浅野の耳に入った。そして「久我が運転する車の助手席に、女がいたのが分かった」と同僚の安田悟(忍成修吾)から写真を見せられ、驚愕する。そこに写っていたのはみどりだった。

一方、探偵事務所では、所長の岡庭正(高橋英樹)が、手作りの親子丼をみどりに振舞っていた。しかし、あまり箸が進まないみどりを見て「少し味が濃すぎたかな?」と岡庭。

「いえ」

「…久我健二郎、昨日テレビで見たよ」

みどりの箸を持つ手が止まる。「君は関係ないよね?」と岡庭。

「はい」

「じゃあ食べて」

にっこり笑う岡庭と、ぎこちなく食事を続けるみどり。

夜になり、みどりが事務所を出ようとすると、浅野から電話がかかってきた。そのまま浅野の家に向かい、部屋に入るやいなや抱きつくみどり。情熱的にキスをすると、浅野も戸惑いながらそれを受け入れる。そのまま求め合い、夜を明かした。

朝。事を終え、まどろむ2人。

「なぁ、久我健二郎のことだけど…あれから会ってないの?」

「もう過去のことだよ。どうして知りたいの?」

「……」

「刑事として? それとも男として?」

「…なんでもない」

みどりを抱き寄せる浅野。みどりの脳裏には暗い海へ落ちて行った久我の姿が浮かび、名前を呼ぶ声が聞こえるような気がする。

(いなくなっても、あの男が私を脅かす…!)

金を奪って逃げた押本は、ドヤ街で生活していた。酒を買って簡易宿泊所に戻ると、警察が押本の資料を持って聞き込みをしていた。顔を見られ、慌てて逃げる押本。

追い詰められた押本は、敦子の部屋にやって来た。ベランダから侵入し、棚や引き出しなどを引っ掻き回して居場所を探る。すると、部屋の片隅に宅配便の伝票を見つけた。そこには、敦子のものと思われる携帯番号が書かれている。

「見つけた…見つけたぞ…!」

狂気に満ちた笑みを浮かべる押本。

一方のみどりは、喫茶店に、押本の国選弁護人を務めた桂光子(藤田弓子)を呼び出す。敦子が襲われた7年前の事件を詳しく聞くためだ。

〜7年前〜

タクシー乗り場で押本の前に並んだ敦子。小説を読みながらタクシーを待っていたが、こちらをじっと見ている押本の視線に気づく。振り返った敦子に、押本は「いや…こないだ製本作業したから、それ」とぶっきらぼうにつぶやき、「印刷屋さんなんですか?」とうれしそうに応える敦子。

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本が接点になって会話をした2人は、帰る方向が同じだと分かり、相乗りすることに。押本の手がインクで汚れているのを見て、「大変なお仕事ですね」と微笑む敦子。その様子をじっと見つめ、押本は「このあと飲みに行きませんか?」と誘う。

「いえ、今夜はもう遅いので…」

「じゃあ、また今度」

危険を察知した敦子は、慌てて運転手に「この辺りで降ります、止めてください」と伝える。

「連絡先を…」

「本のお話、楽しかったです。すみません、ドア開けてください」

「おい!」

敦子の肩をつかむ押本。敦子は咄嗟に「いやっ!」と声を上げ、軽蔑の眼差しを押本に向ける。逆上した押本はタクシーを降り、鋭い目つきで敦子を追いかけるのだった。

必死で逃げる敦子は、人気のない高架下にたどり着く。なんとか逃げ切ったかと思いきや、振り返ると押本が。押本は首を絞めながら、敦子に性的暴行を加えたのだった。

「車の中で店に誘ったけれど、野添さんは先に降りてしまった。拒絶したと捉えたんでしょうか」

「だからといって、敦子さんを傷つけていい理屈なんて通るわけないんです! 自分の都合だけで生きてきた人間を、私は絶対に許すことはできません」

憤るみどりに頷く光子だが、心配そうな表情を浮かべる。

その頃、浅野は敦子の病室を訪れていた。

「今、押本の行方を追っています。全力で捜査しているので、ご安心ください。これは仕事とは関係ないことですが…どうしてみどりのそばに?」

「初めて私の孤独に寄り添ってくれた人だから。みどりさんも同じだったから、共鳴したのかもしれません」

「共鳴、ですか…」

「みどりさんがいたから、今、どうにか立っていられるんです。ずっと逃げてばかりでした。今もまだ、こうやって隠れてるんですけど…。でも、強くなれた気がします」

「そうですか」

「あの…浅野さんとみどりさんは、お付き合いされてるんですか?」

「はい。みどりさんと出会えたこと、本当に感謝しています」

「私もそう思います。彼女はとても強い。でもその強さが時に、暴走してしまう気がして、心配なんです」

「……」

探偵事務所では、みどりがデスクをきれいに片付け、颯爽と退勤していった。
それに違和感を感じた岡庭は、「桑村くん」と呼び止めるが、みどりは振り返らずに、出て行ってしまう。外に出ると、待っていたのは…2人の刑事だった。

「桑村みどりさんですね? 久我健二郎さんのことでお聞きしたいことがあります。署までご同行願えますか?」

果たして、みどりの運命は…。

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【第6話 あらすじ】
桑村みどり(倉科カナ)は、押本(丸山智己)に会いに行った敦子(久保田紗友)を助けに向かう。かろうじて敦子を助けるが…傷つき入院を余儀なくされた敦子を見て、みどりは改めて覚悟を決める。
みどりは、恋人の浅野(平山浩行)、探偵事務所の岡庭(高橋英樹)と次々に対峙し、徐々に計画への駒を進めていく。

みどりは入院中の敦子に会い、「退院したらどこに行きたい?」と尋ねると、敦子は「ある場所」へ行きたいと言うのだった。
再び押本を呼び出したみどりは、いよいよ計画を実行する。しかし、みどりを衝撃の結末が待っていた!

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