「豚骨ラーメン」の残りスープが車の燃料に大変身!運送会社の挑戦:ガイアの夜明け

公開: 更新: テレ東プラス

5月6日(金)に放送された「ガイアの夜明け」(毎週金曜夜10時)のテーマは「合言葉は..."もう捨てない!"」。
日本人なら誰もが知る飴メーカーが、アメを作る際に出る"切れ端"をどうにかしようとSDGsを意識した専門部署を発足。また、九州・福岡の名物「豚骨ラーメン」を作る際に出る"スープ"を、車の燃料にしている運送会社の会長が登場。「豚骨油」で車が走る!?
その挑戦を取材した。

廃棄されるアメは年間約1200トン

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「カンロ飴」をはじめ、数々のヒット商品を世に送り出してきた老舗キャンディーメーカー「カンロ」。三須和泰社長は、年功序列だった老舗体質に成果主義を導入し、一時は落ち込んだ売り上げをV時回復させた。
だがその一方で、「キャンディーだけで成長してきた企業を一層成長させていこうと考えると、極めて限界がある」と危機感も抱いていた。

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「企業が存続していくためには、SDGsを考えていく必要がある」と三須社長は、今年1月、フューチャーデザイン事業本部を誕生させた。メンバーは、商品開発や経営企画など、各部署のエースたち。任務は、SDGsをテーマにした新商品を生み出すことだ。

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自社の廃棄物を再生し、日用品などに甦らせるところから挑むが、今回のプロジェクトの開発責任者・金澤理恵さんには戸惑いがあった。新しいことに挑戦する前向きな姿勢を買われて抜擢されたが、「キャンディーを作るのとは全く違うし、"未知の領域のもの"を作るので知識がない」と話す。

金澤さんは、「カンロ」創業の地、山口・光市にあるアメを専門に作る工場を訪れる。
ここに「カンロ」が捨てているものの中で"一番もったいないもの"があるという。
カンロ飴の原料は、醤油、砂糖、水飴、塩の4つだけ。それを煮詰めてできた熱々のアメを細くしていき、特殊な機械で飴玉の形にカットしていく。

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もったいないものとは、棒状のアメを丸くカットする際にどうしても出てしまう、「切り粉」のこと。廃棄されるのは、欠けるなど変形してしまった規格外のものも。こうしたアメは成分バランスが崩れるため、再び溶かして使うことができないという。

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「カンロ」では、こうした廃棄するアメが年間約1200トンも出てしまう。金澤さんは「(廃棄が)出るとは聞いていたけど、こんなにたくさん出てしまうのを...改めて見られて良かった。今、お金を払っているものが、お金を生むものに生まれ変わるように、命を吹き込めたらいい」と話す。

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4月上旬、金澤さんらフューチャーデザイン事業本部のプレゼンが始まった。なんと廃棄アメを使ってウェットティッシュを作るという。廃棄アメの糖分から消毒液を作り、不織布に染み込ませた商品で、金澤さんは「9月20日過ぎに発売したい」と話す。
だが三須社長は、「商品パッケージはいいけど、中身だよね。スピードが遅い」と指摘。
金澤さん、一体どうするのか......。

「豚骨ラーメン」の"飲み残しスープ"で車が走る

福岡県に本社をおく運送会社「西田商運」は、ラーメン店を回り、飲み残しの豚骨スープから出る"ラード"を回収。この会社では、回収したラードと天ぷら油の廃油を精製し、トラックの燃料に変えているのだ。

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植物や動物由来の油を使ったバイオディーゼル燃料(BDF)は、石油から作る軽油などに比べ、CO2(二酸化炭素)の排出を抑えることができる。
世界初と言われる、豚骨スープから作ったバイオ燃料を考えたのは、「西田商運」の西田眞壽美会長。西田さんは「排気ガスを今まで巻き散らかしてきて、自分の会社の車くらいはCO2を削減したかった」と話す。

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トラック1台で運送業を始めた西田さん。トラックが増えるにつれ「何かしなくては」と思い、研究を始めたという。「あっちこっちから『西田が油ボケしとる』とか、まぁそう言われたら、逆に『なにくそ』と。『最後までよくやったね』という言葉が欲しかった」と西田さん。

西田さんは、独学でこの製造工程を編み出したというから驚きだが、試行錯誤の末に完成したバイオ燃料を少しでも良くするため、今も研究を続けている。

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「西田商運」では、このバイオ燃料を自社トラックの45%で使っている。

最近あるピザチェーンからも油の回収の依頼があり、環境意識の高まりとともに依頼も広がってきた。そんな中、西田さんにビッグビジネスが舞い込む。

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