海外大学の合格者数200人以上という実績を持つ広尾学園。その秘密は?帰国子女と同じコースで学ぶ生徒に密着してわかった驚きの授業内容

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名門校の知られざる姿を、生徒や親、教師など、さまざまな視点を通して紐解く情報ドキュメンタリー「THE名門校!日本全国すごい学校名鑑」(BSテレ東 毎週月曜夜10時)。「名門とはいったい何か?」常識を打ち破る教育現場に密着する。

今回紹介するのは「広尾学園中学校・高等学校」。海外の大学へ200人以上の合格実績を誇る、注目の進学校だ。番組ではその実績の秘密を探るべく、この春、高校2年生になった女子生徒に密着取材。帰国子女たちと同じコースで学べるほどの語学力を持つ彼女だが、本格的に進学を考える時期になり、海外の大学を目指すべきか迷い始めたという...。そんな悩める高校生の奮闘を追った。

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東京都・港区にある「広尾学園中学校・高等学校(以下、広尾学園)」は、最寄りの広尾駅から徒歩1分ほどのところにある中高一貫の共学校だ。2012年に新設された校舎は、地下1階・地上9階建てのガラス張りで洗練された外観が特徴だ。前身は大正7年に創立した「順心女学校」。自由民権運動の指導者・板垣退助と妻・絹子の尽力で広尾の地に開校、2007年に共学化し、「広尾学園」に名を改め現在に至っている。

全校生徒は1653人(高校生は829人)。2022年春の大学合格者は、東大5人を含む「国公立大学」が92人、「早慶上理ICU」が347人、「Gマーチ」が330人と、高い合格実績を誇る。

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部活動も盛んで、チアリーディング部は全国大会常連の強豪。吹奏楽部は「東京都高等学校アンサンブルコンテスト」で6年連続金賞を受賞。ダンス部は2019年の「全国高等学校ダンス部選手権」でベスト8入りを果たした。

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校舎に入ると1階には中庭があり、校章にもデザインされている学園のシンボル「けやきの木」がそびえ立つ。校舎の全容については番組に譲るとして、海外大学への進学率の高さを物語る場所を発見した。地下1階にある図書館だ。蔵書数はおよそ3万5000冊あり、特に洋書コーナーが充実しているのが印象的だ。

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広尾学園には3つのコースが設置されている。国内の難関大学を目指す「本科コース」、医学部・理系学部を目指す「医進・サイエンスコース」、そして全国1位の海外大学合格者数を誇る「インターナショナルコース」だ。生徒は得意分野や将来を見据え、自分に合ったコースを選ぶ。

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インターナショナルコースの授業は高校生になると基本的に英語で行われ、帰国子女など英語が第一言語の生徒と、日本語を母国語とする生徒が同じクラスで学ぶ。

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広尾学園の海外大学合格者数は2020年までは80人前後だったそうだが、コロナ禍にもかかわらず、昨年は222人と大躍進。さらに合格者数が多いだけでなく、スタンフォード大学、ハーバード大学、カリフォルニア大学バークレー校など、世界大学ランキング上位の名門大学にも合格者を輩出している。その理由についてインターナショナルコースの統括長・植松久恵先生は、「コロナ禍真っ只中での受験でしたが、生徒たちが海外の大学に行きたいという強い意志を持ち続けたことが要因」と振り返る。

帰国子女と同じコースで学ぶ生徒が抱える意外な悩み

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第1学期の始業式の日。インターナショナルコースの高校2年生の教室を覗くと、「1年生とは違って2年生は忙しくなるぞ」と英語で説明する外国人教師の言葉に神妙に耳を傾ける女子生徒の姿が。岩﨑白さんだ。中学から広尾学園で英語を学び、帰国子女のクラスメイトとわたり合うまでになった努力家だ。白さんがインターナショナルコースを選んだ理由は、「一度しかない人生、面白いことをやりたい」。本科コースとインターナショナルコースで迷ったというが、「せっかくチャンスがあるなら、難しくても面白そうな方を選ぼう」と決断したそうだ。

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現在、勉強に部活に青春を謳歌している白さん。将来の夢は「グローバルに活躍」すること。高校1年生の時には、日本で働くことを希望するバングラデシュ人にオンラインで漢字を教えるなど、視野を広げる活動をしてきた。ダンス部では振り付けを担当し、全国大会ベスト8のダンス部を牽引する存在でもある。

来年はいよいよ受験だが、今、進路について悩んでいることが...。大学生活を楽しみたいという白さんは、自分の世界を広げるなら海外の大学だが、母国でもある日本の大学も捨て難いと話す。しかしインターナショナルコースを選んだ白さんが、なぜ選択肢に日本の大学を入れているのだろうか...。

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そもそも白さんがインターナショナルコースでの挑戦を決めたのは、「一度しかない人生で面白いことをやりたい」という気持ちとは別に深い理由があった。勉強では英語を駆使し、ダンス部で活躍する姿からは想像もつかないが、実はあるコンプレックスがあるのだという。それは「シャイでオープンになりきれない性格」。白さんが自分の性格をそう分析する理由については、番組で。

教室で座るのは、いつも端や後ろの席。クラスメイトのように堂々と発言しようとしても、緊張して声が震えてしまう、と白さん。インターナショナルコースを選んだ真意は、そんな自分を変えたかったからだと明かしてくれた。誰とでもフランクに話せて、プレゼンが上手なクラスメイトに憧れるという。努力して身につけた英語で、自分も堂々と意見を言ってみたい...しかし、その一歩がなかなか踏み出せない。

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人前で自らの意見を発言する...白さんだけでなく、誰にとっても簡単なことではない。まして英語であればなおさらだ。取材に訪れた日、英語の授業で出されたテーマは「Love and Desire(愛と欲望)」。まずは隣の席の生徒とペアになって話し合い、その後、意見を発表する。「愛とは、一緒にいたいと思うこと」...白さんにも当然意見はあるが、それを堂々と発言できるかが問題だ。

「自己犠牲だと思う」「尊敬だと思う」、クラスメイトから次々に意見が出る。ダンスで自己表現ができる白さんならきっと...果たして今日こそ発表できるのか? すると今度は「では尊敬とはどうすること?」と先生から別の角度の質問が。白さんの意見は? 授業の続きはぜひ番組で!

翌日。アメリカの大学に在学中の卒業生にオンラインで進路相談をした白さん。「一番大事なのは自分が何が好きなのかを知っていくこと」とのアドバイスをもらった。「好きなことを見つけていくのも難しいけど、最近徐々に好きなことが増えてきたのでそれをもっと追求したい」。

今回の取材中、ある生徒がインターナショナルコースの魅力について、ごく自然に英語でこう語ってくれた。「インターナショナルコースの素晴らしいところは、みんなと情熱を共有できるところ」と。授業中、クラスメイトの考えに真摯に耳を傾け、共感し、意見を述べ合う姿が印象的だった。

広尾学園が全国1位の海外大学合格者数を誇る秘密。それは英語が日常的に飛び交う環境であることはもちろん、教師や先輩、クラスメイトがお互いを尊重する姿勢と、自分自身を見つめ自己実現をするチャンスに恵まれているところにあるようだ。

番組では他にも、広尾学園の学校改革の歴史や、医進・サイエンスコースで学ぶ生徒の驚きの研究内容、両親が見た白さんの広尾学園入学後の変化、白さんも活躍するダンス部の練習風景、カフェレストランをはじめとする校内施設の全景などを紹介する。

次回の「THE名門校!日本全国すごい学校名鑑」(BSテレ東)は、「前橋高校...教育方針は三兎を追え!新入生歓迎の伝統儀式も」と題して送る。

今回の名門校は創立145年の男子校で、群馬県トップクラスの進学校である県立前橋高等学校。毎年、東大を始めとする国公立大、特に医学部に多くの合格者を出している。校内を見渡すと公立とは思えないほど設備が充実。サッカーや野球などの運動用敷地は4万平方メートル以上。さらに公立校では珍しい学食もあり、スタミナたっぷりのメニューが並んでいる。ある生徒によると「おススメは油淋鶏定食とラーメン」だそうだ。

そんな前橋高校の教育方針が「文武両道の二兎ではなく、それ以上の三兎を追え!」だ。一兎目はもちろん勉強。夏休みの学習合宿など多方面から進学のサポートをしている。二兎目は部活動。科学物理部は「科学の甲子園」2大会連続出場。囲碁部は全国制覇。山岳部は県大会で3連覇している。そして三兎目が学校行事。生徒主催で行う文化祭や合同演奏会は熱気にあふれ、特にライバルの高崎高校との「定期戦」は負けられない戦いだ。

そんな中、カメラは医学部を目指しながら吹奏楽部でも活躍、定期戦では実行委員長を務める男子生徒に注目。実は彼は第87代応援団長という四兎目を追う顔まで持っていた。

目下の目標は、新入生が入学する4月。応援団が中心となって行う新入生歓迎のための伝統儀式だ。学校のパンフレットにも載っていない、新入生を待ち受ける儀式とは何か? そして、全生徒が受け継いでいきたいと口々に言う前橋高校の伝統と精神とは?

どうぞお楽しみに!