コロナ禍で急増、20代未経験の若者が介護職を選ぶ理由...浮かび上がる現場のリアル

公開: 更新: テレ東プラス

――「グループホーム アゼリア」はどのような施設ですか?

「少人数の施設なので、一人ひとりに対してより時間をかけることができ、自分にとって学びも大きいです。障がい者のグループホームというと、一般的には知的障がい者向けの施設が多く、マンションの一室をリフォームしているものがほとんどい。『アゼリア』は土台から作られた施設なので、車椅子の方が2台すれ違えるような広い廊下など、随所に工夫がなされており、伸び伸びと生活することができます」

――普段はどのような支援をされているのでしょう。

「『アゼリア』は自立に向けての支援が主な目的となるので、夜勤の時は、まずお風呂の支援をします。見守りだけの時もあれば、洋服の着脱のお手伝いをすることもありますし、私たちが入浴の全てを支援することもあります。食事はお皿に配膳し、嚥下状態に合わせて刻んだり、場合によってはとろみをつけて提供します。パジャマに着替えてベッドに入るお手伝いをする就寝支援、起床支援なども行います」

――コロナ禍でのご苦労はありますか?

「面会に制限があり、入居者様のご家族から『会いたい』という声が寄せられるので、そういったご要望になるべく応えられるよう、iPadを使ったリモート面会は随時行なっています」

――お仕事をする上で、柴田さんが一番大事にしていることは?

「いつも“日常生活の延長線上にある支援”を心がけるようにしています。“入居者様に私たちと同じ日常生活をどれだけ送ってもらえるか”ということが重要で、例えば車椅子の方でも、トイレや歯磨きなど、なるべく自分の動作に置き換えて考え、支援するようにしています」

――働く上でのやりがいを教えてください。

「『アゼリア』は入居者様が地域に戻っていくための施設なので、一人暮らしをしたり、家族の元に戻ることを目標にしています。私が担当した入居者様の中にも、自宅で一人暮らしできるようになった方がいらっしゃるので、やはりそういう場面で達成感ややりがいを感じますね」

――どのような人が、介護の仕事に向いていると思いますか?

「“人の役に立ちたい”という気持ちが少しでもある人の方が仕事を長く続けることができますし、より良い支援を考えられるのではないかと思います。人とのコミュニケーションが大事な職場なので、人と関わることが好きな方が向いているのでないでしょうか」

――柴田さんの今後の目標や、展望を教えてください。

「今、新しい通所施設を作り、デイサービスを増やしていこうという計画があります。そのプロジェクトのメンバーに入っているので、活躍できたらいいなと思っています。新たなプロジェクトはやりがいがありますし、期待に応えていきたいです。
そして人材育成という点、主査という職責においては、これから福祉の世界を目指す人たち、今現在、福祉に携わっている若い人たちに、より一層理解してもらえるような言動を示していけたらいいなと感じています。
いくらITが普及しても、介護職はやはり人の手が必要不可欠なのではないかと。今後も人と人との関わりを大切に、入居者様の視点で物事を見ていけるように…ただそれだけです」

もともと世話好きで体を動かすことが好きだったという柴田さんは、取材していてもとても気さくで大らかな様子が見てとれる。試しに「怒ったこととかあるんですか?」と聞いてみると、「…あまりないですね~」と笑って答えてくれた。

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取材後、担当している入居者のお部屋を訪問させていただくと、「なんだよ~今日も元気だね、柴田くん!」と笑っていじられる場面が。若い世代ならではの距離の近さが伺え、その光景はなんともほほえましく映った。
このような日常の何気ない一コマこそが入居者たちの心を和ませ、勇気を与えているのかもしれない。そしてまた、若い介護士たちのやりがいにも繋がっているのだと感じた。

【取材協力】
社会福祉法人 全国スモンの会 障がい者支援施設「曙光園
社会福祉法人 全国スモンの会 障がい者共同生活援助事業所「グループホーム アゼリア

(撮影・取材/中村由美子)

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