AI+ IoTの技術を駆使した住宅メーカーが地方創生に挑む

公開: 更新: テレ東プラス

sdgs_20220416_01.jpgHESTA無人配送車

環境問題、貧困、ジェンダー、働き方...。国際社会は今、数多くの難題に取り組んでいます。こうした中、持続可能な社会の実現のために国連サミットで採択されたのが2016年から2030 年までの国際目標「SDGs」です。

持続可能な社会・経済を作り上げるために、日本は何ができるのか。BSテレ東では『日経スペシャル SDGsが変えるミライ~小谷真生子の地球大調査』と題し、日本の進むべき道を考えるシリーズを2020年3月からスタートさせました。

2022年3月25日の放送では、大倉の取り組みを紹介しました。

大倉が開発した「HESTA AI スマートホーム」システム

名古屋市内にある新築の家を半年前に買った松谷さん一家。実はこの家、全ての家電製品をスマホや音声で操作が可能です。家電のON/OFFなどをスマホで操作できるほか、スマート屋内カメラで外出先から室内を見ることができるため、子どもを残しての外出も安心です。家の外に取り付けられた防犯カメラも、スマホで遠隔操作ができます。現在、使用している家電も買い替える必要がなく、スマートホーム化できるのが最大の特徴です。

これは暮らしの中の家電を一元的に管理できる「HESTA」(ヘスタ)というブランド名のスマートホームシステムです。HESTAを開発したのは実は家電メーカーではなく、住宅メーカーの大倉。同社は最新の顔認証機能のついた防犯カメラを完備したセキュリティタウンなど、AI+ IoTを売りにした住宅メーカーとして急成長を遂げています。

今、大倉が挑むのがこれまでにない未来の街づくりです。この日届いたのは、HESTA無人配送車です。この車両で、大倉が販売した住宅と近隣のスーパーを結び、家にいながら買い物ができる新たなサービスを始めようというのです。

実証実験の舞台となるのが、兵庫・三田市に大倉が34年前に作った約2400区画の住宅地「三田ガーデンタウンつつじヶ丘」。駅までの交通はバスというこのエリアでは、高齢化で様々な問題が起きています。住人からは「バスは1時間に1本ぐらいしか運転しない。お店も増えないし不安です」「街が高齢化してしまって、もう"老老支援"ですね。大変です」という声も上がります。

そんな町を便利に生まれ変わらせようという大倉。つつじヶ丘に独自に高速通信5Gのアンテナを設置し、街全体をスマートシティ化しようとしています。5Gを導入すれば、三田にいながら様々なサービスを受けることが可能になります。

自治体も注目のHESTA無人配送車

大倉のイベントには、三田市の職員の姿もありました。なぜわざわざ足を運んできたのでしょう。三田市ニュータウン再生担当課の門内奨さんは「人口推計を見ていると、今後高齢化がどんどん進んでいく。その中で街をどう再生していくかを考える部署です。今日は実車が動くと聞いて来ました」とお目当てはHESTA無人配送車だと明かします。住民を前に走らせるのは初めてとなる5Gを使う大倉の無人配送車。三田市の職員たちも興味津々です。

スマホで注文を入れれば、スーパーから自宅まで自動的に商品を届けてくれ、玄関先で暗証番号を入力すると、商品が出てきます。買い物での重い荷物から高齢者を解放するための切り札です。今後は冷蔵・冷凍の物も運べる車の開発を進めているといいます。

実際に車を見た三田市職員の門内さんは「かなり可能性を感じた。民間企業ならではで、動きが早い。こういう技術が他のニュータウンや市街地でも展開できる推進事例になる気がしている。とてもいいものを見せてもらった」と話します。

大倉が独自に取り組むHESTA無人配送車は、年内のサービス開始を目指しています。その他にも大倉は遠隔医療など、高齢者を支える最新のサービス作りを進めています。30年前に開発した街をスマートシティに一変させる。そこには大倉の清瀧静男CEOの思いが込められています。

「売る時にいいことを言って売っている。離れた後に住民が困っていても知らない顔はできない。都会であれば倒れたら誰かが助けてくれる。田舎は誰が倒れてもわからない。最新の機械の便利さを高齢の方にも知ってもらって、地方創生のきっかけになる安心・安全なスマートシティができて、点が線になるきっかけになれば」(清瀧CEO)

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