11年連続「科学の甲子園」出場の滋賀・膳所高校。約7割が理系や医学部に進学!その理由は、独自のカリキュラム「高大連携」にあった!

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名門校の知られざる姿を、生徒や親、教師など、さまざまな視点を通して紐解く情報ドキュメンタリー「THE名門校!日本全国すごい学校名鑑」(BSテレ東 毎週月曜夜10時)。「名門とはいったい何か?」常識を打ち破る教育現場に密着する。

今回紹介するのは「滋賀県立膳所(ぜぜ)高等学校」。卒業生の約7割が理系や医学部の大学に進む、滋賀県を代表する進学校だ。年に一度開催される「科学の甲子園」の強豪校としても知られ、今年も個性豊かなメンバーが上位入賞を目指して奮闘。科学を愛し、青春を捧げる高校生たちのひたむきな姿に迫る。

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琵琶湖に面した滋賀県大津市。 この街に、今年で創立124周年を迎える進学校「滋賀県立膳所高等学校(以下、膳所高校)」がある。

全校生徒は1192人で普通科と理数科があり、3年生の約7割が理系の大学へ進学。2022年春の現役合格者は、東大、京大、滋賀医科大をはじめとする国公立大に202人、早稲田・慶應・MARCHに12人、関西の有名私立・関関同立に421人と、高い合格実績を誇る。

校訓は「遵義(じゅんぎ)」、「力行(りょくこう)」。遵義とは、「誠実な心で、真理と正義を追求し、人類の未来に貢献する」ということ。力行には、「自主・自律を尊び、心身を鍛え、高い理想に向かっていって欲しい」との願いが込められている。

充実した教育設備と「高大連携」カリキュラム

なぜ、膳所高校に理系志望の生徒が集まるのか。その秘密は、「スーパーサイエンスハイスクール」の指定校になっていること。「スーパーサイエンスハイスクール(以下、SSH)」とは、未来を担う科学技術人材を育成するための取り組みで、文部科学省が先進的な理数系教育を実施する高校を指定し、支援する制度。膳所高校は平成18年からSSHに指定されている。

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そのための教育設備も充実。コンピュータールーム(CAI教室)では生徒たちが自由にパソコンを利用でき、生物教室の電子顕微鏡も生徒1人ひとりに行き渡る数が揃っている。屋上には天文ドームも。コンピューター制御の望遠鏡が設置され、定期的に天体観測会が開かれる。

校舎の2階にある生徒ホールは、自習や教員と面談する際に使用。朝6時から授業開始まで勉強する生徒もおり、取材中も数人が集中して机に向かっていた。3階には、滋賀県内の高校で一番の蔵書数を誇る図書室が。新着図書の棚が設けられ、約4万8000冊のバリエーション豊かな本がずらりと並ぶ。

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膳所高校には独自のカリキュラムがある。そのひとつが、京都大学や滋賀医科大学と連携して行う「高大連携(こうだいれんけい)」という取り組み。京都大学では、生徒たちが生命科学や地球環境などに関する特別授業を受講。滋賀医科大学では基礎医学講座が設けられ、身体の仕組みや疫学などを学ぶ。そのため医学への関心が高まり、医学部を目指す生徒が自然と多くなるそうだ。

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SSH推進室室長・阿武朗広先生は、「大学の講義を受ける機会は日本で一番多いと思う。生徒が自分の興味や関心にぴったり一致するような機会が得られるチャンスも多い」と話す。

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科学を英語で表現する力を養う国際化への取り組みも。イギリス・ケンブリッジ大学で研修を行い、生徒は自分たちの研究を英語で発表、科学の授業を受講する。
さらに今年は、AIやデータサイエンスの基礎講座も開講した。

膳所高校では、SSHの集大成として「生徒課題研究発表会」を開催。4人1グループになり、自分たちが決めたテーマを1年間かけて研究する。その目的は、生徒自身でテーマを決め、課題を見つける「課題設定能力」、実験や観察をデータ化して分析する「問題解決能力」、研究成果を発表し、論文にまとめる「ディスカッション・プレゼンテーション能力、論述技法」を身につけること。

「SSHに取り組むことで大学に入るための学びだけではなく、大学に入ってから役立つような力も育成することができると考えている」(阿武先生)。

大学に入ってから役立つ力、社会人になっても役立つ力...それこそ、膳所高校が長年目指してきた次世代教育なのだ。

挫折からの挑戦。「科学の甲子園」出場を果たしたリーダーの思い

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膳所高校がSSHの威信をかけて挑むのが、科学好き高校生の晴れ舞台「科学の甲子園」。47都道府県の予選を勝ち抜いた代表校が日本一を競う全国大会だ。
膳所高校では、今年も多くの参加希望者の中から8人がメンバーに選ばれた。みんなをまとめるキャプテン・理数科2年の扇幸太郎くんは、メンバーの印象を「自分が好きなことをしっかり持っている人たち」と語る。

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本番まで1週間に迫ったこの日、2019年の「科学の甲子園」に出場し、総合第3位・実技競技第1位に輝いた卒業生たちが応援に駆けつけた。膳所高校は滋賀県代表として11年連続で出場、上位入賞を何度も果たしている強豪校なのだ。

「科学の甲子園」には筆記競技と実技競技があり、理科・数学・情報に関する問題が出題される。筆記競技では、知識とそれを活用する力が試される問題をチームで解き、実技競技では、実験や科学技術を活用。物作りとコミュニケーション能力を生かし、課題を解決する力を競う。

3年前の実技競技では、水槽内の砂地に"リップル(波状の模様)"を作れという課題が出題され、膳所高校は実技競技第1位に輝いた。熱気あふれる当時の大会の様子は、ぜひ番組で。

今年のメンバーも実技競技を楽しみにしていたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、実技競技が中止に。自分たちの学校からオンラインで参加する筆記競技のみの開催になった。
先輩たちは後輩たちを元気づけようと想定問題を作成し、筆記競技に集中するようアドバイス。
すると、みんな一斉に問題を手に取り、解き方について議論を始める。

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チームの実力について、先輩の川﨑聡さん(滋賀医科大学医学部2年)は、「高2の今の段階で習っていない範囲から出題したにもかかわらず、取り組めている。自分で勉強していてすごいと思った」と感心する。

この1年、授業で習っていないことまで勉強し、その努力が認められてキャプテンとなった幸太郎くんには、「科学の甲子園」に対する並々ならぬ思い入れがあった。去年、全国大会の出場メンバー入りすることができなかったのだ。その経緯と感動の物語については、番組後半で。

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迎えた「第11回科学の甲子園」本番。幸太郎くんはキャプテンとして、積極的にメンバーに声をかける。いよいよ筆記競技が始まり、数学、物理、化学、生物、情報、地学と6分野の問題を解くメンバーたち。幸太郎くんは「作戦がある」と話していたが...。

まずは、各自が得意な担当分野に専念する。ここでいち早く解答を終えたのが、数学担当の宮田航平くん(理数科2年)だ。難問にぶち当たり、頭を抱えていた幸太郎くんは、すかさず航平くんに助けを求める。

残り時間10分。幸太郎くんは周囲を見渡し、手が空いたメンバーが苦戦しているメンバーを手伝うよう指示。力を合わせ、1問でも多く問題を解く...これこそ、幸太郎くんが考えた作戦だったのだ。

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競技終了。見事キャプテンの大役を果たした幸太郎くんが「お疲れ様でした!」とメンバーに声をかけると、それを労うかのように、教室は温かい拍手に包まれた。

「みんなで協力して何かを解く。そこで実力を発揮できる人がそろっているのが膳所高校なのだと思います」(幸太郎くん)。

結果がわかるのは4月25日。膳所高校ならではの素晴らしいチームワークと伝統は、これからも脈々と受け継がれていくに違いない。

番組では他にも、「科学の甲子園」に出場した個性豊かなメンバーや、幸太郎くんの志望大学、生徒課題研究発表会の模様などを紹介する。

次回の「THE名門校!日本全国すごい学校名鑑」(BSテレ東)は、「家族で戦う!難関中学受験の道...僕はこうして合格しましたSP」と題して送る。

この春、名門中学に入学する少年とその家族が歩んできた「合格までの物語」。少年が受験したのは、開成や灘など、東大合格ランキング上位の超難関・中高一貫校ばかりで、番組では、去年12月から長期密着取材をしてきた。
果たして、少年はどのように合格を勝ち取ったのか? 家族はどんな応援をしてきたのか? そして、あの名門中学が出す「入学前の意外な宿題」とは? 受験生のお子様を持つ保護者の皆さんは必見です!

その少年は、中学受験の名門塾「希学園」に通う杉江和真くん、12歳。自分が輝ける場所を探すため、自らの意思で難関中学の受験を決めた。毎日15時間の猛勉強! そんな息子を見守る両親は「最低でも1日7時間は睡眠時間を取ることを約束させた」という。
そして迎えた入試前日、塾のカリスマ講師が和真くんに贈った言葉とは? そして4月、憧れの名門校の入学式で和真くんと両親はどんな表情を見せたのか? 家族の絆の物語をお届けする。

どうぞお楽しみに!