家庭教育、学校教育に次ぐ「第三教育」とは?市川高校が掲げる教育方針がコロナ禍で真価を発揮!?生徒たちが守り抜いた行事に密着!

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名門校の知られざる姿を、生徒や親、教師など、さまざまな視点を通して紐解く密着ヒューマンドキュメンタリー「THE名門校!日本全国すごい学校名鑑」(BSテレ東 毎週月曜夜10時)。「名門とはいったい何か?」常識を打ち破る教育現場に密着する。

今回紹介するのは、千葉県にある「市川中学校・市川高等学校」。2021年春は東大をはじめとする国公立大学や早稲田・慶応に300人以上が現役合格した県内屈指の進学校だ。しかし受験一辺倒というわけではなく、「第三教育」という教育方針を最重要視し、好きなことに熱中する個性的な生徒が多いという。そんな「第三教育」の真髄に迫った。

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千葉県市川市にある「市川中学校・高等学校(以下、市川高校)」の全校生徒は、中学・高校合わせて2300人ほど。2021年の春には東京大学をはじめとする国公立大学に150人、慶応義塾大学、早稲田大学に180人が現役合格を果たした。

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勉強だけでなくスポーツも盛んだ。「市川学園総合グラウンド」は約1万6000㎡と広大で、人工芝を張った「第一グラウンド」はサッカー、ラグビー、テニスコートを備えている。他にも式典を行う講堂と体育施設を兼ねた「古賀記念アリーナ」や、680席、100人編成のオーケストラ演奏もできる「國枝記念国際ホール」など、校内施設が充実している。

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施設面で最も特徴的なのは、エントランスを入ってすぐ横にある「第三教育センター」だ。ある男子生徒は市川高校を志望した理由について「図書室が大きくて自習室も完備されているから」と答えてくれたが、その言葉どおり、中に入ると目に飛び込んできたのは蔵書数12万冊の図書室と180席ある自習用ブース。

しかしなぜ、図書室ではなく「第三教育センター」と名付けられているのか? そこには市川高校の教育の原点があった。

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新校長の及川秀二先生によると、「家庭教育が第一教育、学校教育が第二教育と考え、『第三教育』とは自分で自分を教育すること。一生学ぶ姿勢、これが市川中学校・高等学校の教育方針です」。

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「第三教育センター」内には自習用ブースの他、3階にも100席の自習室があり、朝7時半から利用できるようになっている。自習室前の廊下にあるのが"知の拠点"と呼ばれるスペース。ホワイトボードもあり、仲間と教え合いながら学ぶ生徒の姿が。また、ラウンジでも勉強を教え合う姿が見られた。ある女子生徒が「各教科それぞれ特出した人がクラスにいて、皆で得意分野を協力して高め合っている」と、市川高校の生徒の特徴を教えてくれたが、まさに生徒同士が「自分で自分を教育」しているのが伝わってくる光景だ。

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自発的に学ぶ姿勢が功を奏してか、吹き抜けの壁に飾られた横断幕にはさまざまな分野のコンテストや大会などで優秀な結果を残した生徒たちの名前がずらりと並ぶ。

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横断幕の数からもわかるように数々のコンテストや、さまざまな研修にもチャレンジできる市川高校。

2009年には、文部科学省から「SSH(スーパーサイエンスハイスクール)」に指定され、理系の生徒は全員、高校2年生の段階で自分で選んだ課題研究に取り組む。その結果、生徒たちはさまざまなコンテストで優秀な成績を収めている。
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一方、文系の生徒は、高校2年生になると「リベラルアーツゼミ」を受講。英語・社会・芸術などのゼミを受講することができ、教科の枠にとらわれず思考力・判断力・表現力を高める。さらに「市川アカデメイア」というセミナーでは、哲学や社会科学の古典をテキストに、自由な対話を通してコミュニケーション能力を磨く。

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最近の大学入学試験の傾向について、座学はもちろん、プラスアルファが求められると及川新校長。基本的な学力を持ちつつも、幅広い経験やさまざまな成果が重要視されているという。自ら課題を見つけて学ぶ「第三教育」。しかし、その真価は受験勉強の成果のみならず、あらゆる方面で発揮されている。

「第三教育」の象徴・「市川アカデミックディ」とは?

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第三教育の象徴となる行事が間近に迫っていた。

年に一度開催される「市川アカデミックディ」だ。社会問題や課外活動、研修での体験などからテーマを見つけて研究発表を行う、まさに第三教育の集大成の場。1人でも複数人でも参加でき、テーマも自由だという。今年は中学1年生~高校2年生まで38組が参加。

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今年の運営の中心となるのが、アカデミック委員長の村田航志くん(上の画像・左)と副委員長の寺田陸くん(ともに高校2年生)。

「市川アカデミックディ」について、航志くんは「発表会といっても、自分の趣味を紹介する企画でもいいし、コンテストに出た体験談だけでもいい。参入のハードルはすごく低く、何でもやっていい」と説明。陸くんも、「短い発表時間(今回は9分)の中で、まとまった発表を持ってくる生徒が増えた。聞いていて楽しい」と魅力を語った。

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本番当日まであと4日。準備は大詰めを迎えていた。プレゼンテーションの力量が問われ、9分間の発表で使うスライドは数十枚にも及ぶ。勉強の合間に作るのは大変で、参加者全員が慣れているわけではない。そこでスライドのレイアウトや文字の大きさについてアドバイスをすることも運営委員の重要な仕事だ。

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もうひとつ準備で大切なのが、パンフレット作りだ。全校生徒と教職員に配るパンフレットは、2000部ほど必要で、なんとすべて手作りだという。2021年から規模が大きくなり、パンフレットを作ることになったそうだ。中・高の各クラスからも生徒が応援に駆けつけていた。

今年で5回目を迎える「市川アカデミックディ」だが、実は2年前、新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止になりかけたことがあった...。

「生徒が自主的に...」コロナ禍で貫いた信念

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2020年の春。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、「市川アカデミックディ」本番直前に生徒が登校できない状況に陥った。そこで学校側はやむなく中止する判断を下したのだが...。

「実は生徒たちが自主的に...ゲリラ的にやったことがあります」と、生徒行事部長の芳賀裕美先生が苦笑いしながら明かしてくれた。

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秘密裡に決行に動いた中心人物は、東大工学部へ進学する大村慧くん(高校3年生)とアメリカの大学へ進学する稲葉慎太郎くん(高校3年生)だ。

慧くんは「高校生ビジネスプラン・グランプリ」で優秀賞を獲得。他にも数々の課外活動で優れた結果を残している。慎太郎くんも「Online Intern Contest」でベストデザイン賞を受賞。国内外の課外活動にも参加し、数多くの経験を積んできた。

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そんな2人は「ほとんど準備は終わっているのに中止するのはもったいない」と考え、"ゲリラ的に"開催を実行。その結果、10組が研究成果を発表した。どのように開催に漕ぎ着けたのかは...ぜひ番組で確認を!

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2人が決行した理由は、自分たちも「市川アカデミックディ」で先輩から影響を受けたから。

彗くんが「高校生ビジネスプラン・グランプリ」で取り上げたテーマも、その影響がきっかけだったそうだ。先輩の学外での活動は、普段の授業では知ることができないため、「次に繋ぐ人をつくれなくなってしまう」と考えた。「市川アカデミックディ」は、先輩の経験や研究を後輩に受け継いでいく意味でも大事な行事なのだ。

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実は、慧くんのお父さんも市川高校のOBで、自分で自分を教育する「第三教育」を実践してきた1人。「自分が在学していた頃から、第三教育が教育方針だった。『勉強は自分でするもの』という雰囲気は、今も昔も変わらずだと思います。学校生活は非常に楽しく、いい友達が得られた」と振り返る。

彗くんもまた、慎太郎くんという「背中を預けられる人」と出会い、それが「市川アカデミックディ」の継承に繋がった。

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いよいよ、「市川アカデミックディ」の当日。密になるのを避けるため1学年ごとの入れ替え入場での開催となった。歴史、社会問題、政治など、バラエティに富んだテーマの発表が続いた。今年は中学1年の発表者が38組中14組と、過去最多を記録。気になるテーマと渾身の発表シーンは番組で見届けていただきたい。

委員長の航志くんは「中1〜中2など、今後に繋がる人を増やしていきたいという思いがあったので、本当に嬉しい。発表の中身としては120点、それ以上かもしれないです」と笑顔を見せた。

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後輩たちの発表に見入っていた彗くんと慎太郎くんも、感慨深い様子だ。

「自分たちの代は、学年の中でこういう活動をしている人は少数派でした。その時代が過ぎ去り、今度は活動している人たちが多数派になっていく。その中で互いに研鑽し合いながら、より高みを目指すフェーズに移行していると感じました」(彗くん)。

「思春期でもある中学1年生、2年生、3年生は、恥ずかしくてなかなか自分を出せない。でも市川アカデミックディという行事によって、むしろ自分の好きなことを他者に共有しようという流れがあるのは、すごく良いことだと思います」(慎太郎くん)。

「第三教育」で自ら学んだことを、仲間に伝える大切な行事。今年も後輩たちへ、経験のバトンが繋がった。

番組では他にも、国際研修プログラムの内容や、塾通いすることなく東大に合格した彗くん気になる学習環境と「高校生ビジネスプラン・グランプリ」受賞テーマの詳細、「市川アカデミックディ」に参加した生徒の感想などを紹介する。

次回の 「THE名門校!日本全国すごい学校名鑑」(BSテレ東)は、「科学の甲子園...理数系生徒達の頭脳とは?」と題して送る。

今回の名門校は、滋賀県立膳所高校。創立124年の伝統校だ。校内を覗くと、開放的な中庭やテラスでバンドの練習をしたりランチを楽しむ生徒の姿が。その一方で滋賀県内一の蔵書数を誇る図書室では、勉強に励む生徒たちが沢山いる。そんな膳所高校は文科省からスーパーサイエンスハイスクールの指定を受け、今年で16年目。京都大学や滋賀医科大学と連携し、生徒は大学生と同程度の科学の授業を体験している。

科学教育が充実しているためか、卒業生の7割が理数系に進学。さらに膳所高校は、年に一度開催される「科学の甲子園」の強豪校としても知られている。今年も2年生の扇幸太郎くんをキャプテンとして、それぞれ得意科目を持つ8人の個性的なメンバーが上位入賞を目指している。科学に魅せられ、青春を捧げる高校生たちに密着した

どうぞお楽しみに!

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