入山さんが別のファクトを示す。日本の債務比率は先進国の中でもぶっちぎりで高い。GDP比で見ると200数十％。つまり、日本は大借金大国というわけだ。

藤巻さんが指摘する。
「GDPが2倍になって国が2倍豊かになれば、税収も2倍になるのが普通。GDPと税収はほぼ比例する。でも、もう日本は税収で借金を返せる状況ではない。お金を刷って税収を賄うことを始めてしまった。ハイパーインフレの前提条件が揃ってきた。日銀のバランスシートも世界断トツのメタボ。お金を経済規模に比べてばらまきすぎた。これが危ないからXデーが来ると言っている」

山崎さんがきっぱりこれを否定する。
「ところが、Xデーが来る気配はない」。おー、言っちゃった。
「経済規模に比べ債務が大きいと言うが、弊害があるとすればインフレになることぐらい。でも、日本はインフレにならないことが問題になってきたわけで。そもそも政府の債務はそれだけで見るのではなく、日銀と連結して見ないといけない。政府はむしろ需要をつくるべき。政府が国債を発行して、日銀が貨幣供給する形でファイナンスする政策はむしろ適切。一番いいのは国民年金を全額税負担にすることだ」

藤巻さん、どうですか？
「いやあ、まったく反論の山ですね」。バチバチモードだ。
「政府と日銀のバランスシートを統合すると、政府の資産と日銀の借金が残る。日銀当座預金（借金）は543兆円、今は金利が低いからいいけど、景気がよくなってインフレになれば1％の金利で5兆円、2％の金利なら10兆円払わなくちゃいけなくなる。ハイパーインフレは、中央銀行の信用が失墜し、通貨が石ころ化することで起こる。日銀が債務超過になれば一発でアウト」

山崎さん、どうですか？
「日銀が債務超過になっても、政府が株主ですからね。政府がいくらでも補塡できる。日銀だけを信用の主体と考えるのは間違い。日銀と政府一体での信用を考えないと。また、もしハイパーインフレが起こる可能性があるとすると、南海トラフ大地震が起こったり戦争で敗戦国になったりして供給がものすごいダメージを受けたとき。でも今はまったく状況が違う」

お互い一歩もひかない構えだ！

藤巻さん「全然違う。日銀当座預金は民間銀行からの借金。政府と日銀一体で考えても借金は残る」
山崎さん「でも日銀は国債を持ってるじゃないですか」
藤巻さん「でもバランスシートを統合すると国債は相殺されるといったじゃないですか」
山崎さん「日銀の負債は残るけど、金利はついてないじゃないですか」
藤巻さん「今はね。でも金利が上がってきたら日銀はだめになる」
山崎さん「でも政府が補塡できる」

……激論は続く。詳しくは日経テレ東大学で！

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※番組情報
借金大国ニッポンに押し寄せる“物価高騰”の波！債務超過で日銀が潰れる“Xデー”が近い！？ 経済評論家同士による大激論バトル！| FACT LOGICAL

＜出演＞
MC：入山章栄（早稲田大学ビジネススクール教授）

ゲスト：山崎元 （経済評論家 楽天証券経済研究所客員研究員）
藤巻健史（経済評論家 フジマキ・ジャパン代表取締役）

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