業績も”ととのう”!? コロナ乗り越える秘策として広がるサウナ<WBS>

公開: 更新: テレ東プラス

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路線バスを改造した移動式サウナ「サバス」

空前のブームとなっているサウナ。観光業や交通事業などコロナで打撃を受けた業種で、いま収益回復の「秘策」として取り入れる動きが広がっています。

兵庫県・姫路市。走ってくるバスの行き先表示を見ると「サウナ」になっています。去年まで地元の神姫バスの路線バスとして走っていた車両です。バスの中に入ると、テーブルや椅子が置かれていて、さらに奥に進むと、白木の座席があります。かたわらにはストーブ。実は車両の半分がサウナになっています。

その名も「サバス」。路線バスを改造した移動式のサウナです。開発したのは神姫バスの社員、松原安理佐さんです。

「バスのホテルやバスのキッチンなどいろいろ考えたんですけれど、サウナバスが一番ユニークで、みんなが想像できないような面白い取り組みになると思った」(松原さん)

コロナ禍で乗客が減少し、神姫バスは2021年3月期で約22億円の赤字に。松原さんは新たな収益源に育てようと、サウナバスを会社に提案しました。しかし、コストの大きさなどから、会社として事業化には至りませんでした。そこで松原さんは、神姫バスに籍を置いたままサウナバスを運営する「リバース」を起業し、事業に着手したのです。

神姫バスもバス車両を格安で提供するなど、松原さんの挑戦をサポート。またサバスを走らせれば、派遣する運転手の人件費やバスの整備費が松原さんの会社から支払われ、神姫バスにとっても新たな収入源になります。

車内には吊り革を生かした温度計など、路線バスならではの特徴があちこちにあります。降車ボタンは「蒸気降りますボタン」に。ボタンを押すと、天井から水がおりてきて、サウナストーンにあたり蒸気が発生、「ロウリュ」と呼ばれる蒸気浴ができます。このサバス、3月6日からサービスを開始しました。アウトドア施設など事業者向けに1日30万円程度で貸し出します。

屋上サウナで起死回生

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「カプセルイン錦糸町」の屋上サウナ

一方、東京・錦糸町にある老舗のカプセルホテル「カプセルイン錦糸町」。外国人観光客の利用が多かったため、新型コロナによるインバウンド需要の消滅が打撃に。売り上げは一時、コロナ前の4割まで減少しました。

起死回生を狙って、去年3月、屋上におよそ1500万円をかけてサウナを作りました。サウナ小屋は本場フィンランドから輸入した本格派です。料金は4時間貸し切り(平日)で1人1万3200円から。4人まで利用できます。強気の価格設定ですが、オープン以来、稼働率は8割を維持しています。

冬空の下、この日も利用客が来ました。サウナ小屋の中の温度は130度の高温です。サウナで温まったら、地下水を使った外風呂へ。目の前には東京スカイツリーがそびえ、日が沈めば、夜景も楽しめます。

このカプセルホテル、もともと館内にサウナを併設していましたが、屋上サウナをきっかけに、館内のサウナを利用する客も増加。宿泊客減少の分を、サウナの収入でカバーできたといいます。

「売上はコロナ前の1.3倍。3割増しになっている」(アラキ商事の荒木瑛統社長)

サウナで売り上げをV字回復させた荒木社長。今、コロナに苦しむ他の宿泊施設の再生にも取り組んでいます。向かった先は、福島・白河市にあるリゾート施設「ホテル&コテージ 白河関の里」。コロナの影響で2020年から休業しています。施設を所有する金志洙社長から5月の再開に向け、目玉としてサウナを取り入れたいと相談を持ちかけられたのです。

荒木社長が目を付けたのが、ログハウス。15棟あるログハウスを全てサウナ小屋に改造しようという計画です。

「薪ストーブはまだまだ使えるので、これを活かしたサウナが面白いかな」(金社長)
「お客さんが自分で薪を割って、サウナストーブの温度を上げて」(荒木社長)

ストーブを囲って、自然を楽しめるサウナ小屋にします。

「最近サウナブームで20代がサウナに行くようなので、そういった客層をどんどん取っていきたい」(金社長)

ブームが続くサウナ。コロナ不況を乗り越えるのに、これからも一役買いそうです。

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