震災から11年...「風力」は日本の主力電源になりうるか:ガイアの夜明け

公開: 更新: テレ東プラス

3月11日(金)に放送された「ガイアの夜明け」(毎週金曜夜10時)のテーマは「風が変わった!?電力新時代 洋上風力発電の可能性」。東日本大震災、福島第一原子力発電所の事故から11年、洋上風力発電は日本の新たな主力電源となりうるのか。その可能性と最新の技術、現場を取材した。

脱炭素への切り札として

九州の西の端に位置する長崎・五島市。ここに、日本が目指すエネルギーの未来像があるという。それが、風車で発電する洋上風力発電だ。
風車には、海底に直接立てる「着床式」と、海に浮かばせる「浮体式」の2種類がある。

gaia_20220311_01.jpg
五島の沖には巨大な風車があり、1基で約2000世帯分の電気を賄っている。海面からブレードの一番高いところまで96メートルあるが、こちらは海に浮く浮体式のため、風速55メートルでも大丈夫。

この「浮体式」洋上風力発電は2016年に商用運転を開始。電気の地産地消により、島内でお金が回るため、経済の活性化にもつながっているという。今後は風車を8基増やし、再エネ自給率80%を目指す。

日本の海に4500基を建設する、洋上風力の巨大プロジェクト。
国が指定する洋上風力の建設に向け、想定区域は全国で22ヵ所にのぼるが、2021年12月、「三菱商事」が秋田県と千葉県の3つの海域を請け負うことが決定した。
決め手となったのは、提示した入札価格。1 kWあたり4〜5円安い価格を提示したのだ。

「三菱商事」電力ソリューショングループ本部長・岡藤裕治さんは「洋上浮力の取り組みを約10年前から欧州で開始している。その経験・知見を今回の提案書にも生かすことができた」と話す。

gaia_20220311_02.jpg
「三菱商事」が落札した海域のひとつ、千葉・銚子市沖。銚子市沖のプロジェクトを担当する「三菱商事エナジーソリューションズ」電力事業本部・花﨑亮さんが、地元との調整役として動いていた。「年間平均7メートル強の風が吹くので、この太平洋側で東京から近いところでは一番風力の適地と言える」と話す。

花﨑さんは、国が指定した促進区域で、31基の風車を立てる計画を進めている。ここに立つ風車は着床式。羽の直径が220メートル、高さが260メートルで、2028年には運転を開始する予定だ。

「この発電事業は原発1基の半分弱の発電容量になる。賄える発電容量の規模感を世帯数に換算すると30万世帯弱になる。この規模感を再生可能エネルギーで賄えるのは洋上風力しかない」と花﨑さんは語る。

国が指定した海域の一つ、佐賀・唐津市沖。ここはまだ一候補にすぎないが、すでにベンチャー企業や大手ガス会社など、十数社の事業者が殺到していた。大都市圏が近く、電力の需要が見込めるからだ。

その海から臨むのは、廃炉作業が進む玄海原子力発電所。実はこの玄海原発の存在が、洋上風力発電の弱点を補うという。いったいなぜか。番組では、地元漁師の本音などを交え、唐津市沖を巡る洋上風力発電の事情を伝える。

gaia_20220311_03.jpg