地方再生の切り札と言われる「軽トラ市」に自動車業界も注目

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sdgs_20220310_01.jpg地方再生の切り札と言われる「軽トラ市」(画像は2018年11月11日開催の全国軽トラ市 in とちぎのもの)

環境問題、貧困、ジェンダー、働き方...。国際社会は今、数多くの難題に取り組んでいる。こうした中、持続可能な社会の実現のために国連サミットで採択されたのが2016年から2030 年までの国際目標「SDGs」だ。

持続可能な社会・経済を作り上げるために、日本は何ができるのか。BSテレ東では『日経スペシャル SDGsが変えるミライ~小谷真生子の地球大調査』と題し、日本の進むべき道を考えるシリーズを2020年3月からスタートさせた。

1月21日の放送では、全国に広がる軽トラ市について伝えた。

今までにない地方創生プロジェクト

歯止めのかからない地方の衰退。シャッター通りは当たり前の時代です。ところが、そんな絶望的な問題に対し今、全国から注目されるのが「軽トラ市」です。軽トラックの荷台を使い、様々な地域の産品を売る朝市のようなイベントで、地方再生の切り札と言われています。

2005年に岩手県雫石町で始まった軽トラ市は15年をかけて、全国100ヵ所以上で開催されるまでに広がりました。宮崎県・川南町のトロントロン軽トラ市は、毎回1万人が訪れる、日本一の軽トラ市です。行列の先には、あふれんばかりの牛すじが200円で売られており、購入した人も笑顔です。

軽トラ市が急速に広がった理由は3つあります。まず、軽トラックは多くの生産者が所有している点。次に、軽トラックで乗り入れ、運んできてそのまま販売できる点。さらに荷台の高さが陳列に最適な点があります。

「出店者も車で乗り付けて、そこに並べてそのまま売れますし、万が一売れ残った場合も荷物をそのまま積んで帰れる。労力がいらないので、年配の方でもできます」(トロントロン軽トラ市の市来原進事業委員長)

軽トラ市への出店料は数千円程度。気軽に参加できるからこそ、バラエティーに富んだ店が集まってきます。軽トラ市は、人々が協力し合うことで、手作りで実現できる、今までにない地方創生プロジェクトなのです。

感染対策の上、1年ぶりに開かれた軽トラ市

sdgs_20220310_02.jpg昨年10月、1年ぶりに開催された「しんしろ軽トラ市 のんほいルロット」

しかし、世界を一変させた新型コロナの感染拡大。1ヵ所に人が集まる軽トラ市は、次々と中止に追い込まれました。そんな危機から1年。ついに、待ち望んだ日がやってきました。

愛知県新城市で農業を営む松本英治さんはこの日、早朝から様々な野菜を荷台に積み込んでいました。実はこの日、新城市では1年ぶりに軽トラ市「しんしろ軽トラ市 のんほいルロット」の再開を控えていたのです。

朝8時半、次々に近隣から集まってきた軽トラック。軽トラ市の再開に向け、今までにない努力も行われていました。会場内での厳格な感染対策に協力を買って出たのが、長年軽トラ市を応援してきた地元愛知大学の戸田敏行教授のチーム。消毒などの対策だけでなく、会場を見下ろす建物にカメラを設置し、来場者が増えすぎないようチェックを行います。

「来場者の方が安心できるということと、入場の制限をかける。そこまでの安全を考えながらやっています」(戸田教授)

午前9時に軽トラ市がはじまると、長い間人気のなかった商店街に驚くほどの賑わいが訪れました。毎年人気だった五平餅も出店しています。今回は感染対策のため、食べ歩きは禁止。それでも来場者は久々の軽トラ市を楽しんでいました。

そんな楽しむ人々の裏では、愛知大学のスタッフが来場者の密度を管理し、安全な開催を支えていました。協力を惜しまない戸田教授。そこには、地域再生の鍵となる軽トラ市への期待があります。

「人口が減少していくと、街の力がなくなります。そういうときに店舗をずっと維持していくのは難しい。軽トラ市という可動性に着目をしています。大きく言うと、可動商店街・可動都市の先駆けとして、大変意味があると思っています」(戸田教授)

自動車業界も注目する軽トラ市

sdgs_20220310_03.jpg長年軽トラ市を応援してきた「スズキ」の鈴木修相談役

そんな地域再生への期待感から、去年10月以降、各地の軽トラ市が次々に再開に動きました。静岡県磐田市でも2年ぶりに開催。出店数は半分となりましたが、会場には多くの人が集いました。この日会場には「スズキ」の鈴木修相談役の姿もありました。

「今日は天候に恵まれて、いいね」(鈴木相談役)

鈴木相談役は、人々が職業などの壁を越えて、地域のために力を合わせる軽トラ市こそ、地方の未来を切り開く可能性があると、長年応援してきました。そんな様々な人々が繋がる軽トラ市に、今までにない出展もありました。

おしゃれな雰囲気で販売できる軽トラックの展示。子どもたちが遊んでいるのは、消防車に改造した軽トラック。この出展をするのは、日本自動車工業会。軽トラ市は、地域経済活性化の舞台になると、自動車業界も注目しているのです。

「地域の方を元気にすることに繋がりそうな軽トラ市を応援したい」(日本自動車工業会の池原勉軽自動車企画部会長)

今、新たな感染拡大で手探りの開催が続きますが、人々の思いが一つに繋がり、地域を盛り上げる軽トラ市の火が簡単に消えることはありません。

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