“共感”から見える人間の本質、”ブレない人”能町みね子はゲシュタルト崩壊も起こさない!?:共感百景

公開: 更新: テレ東プラス

人間の日常の中で誰もが思う、言いようのないもどかしい感情...そんな"あるある"を、すべての人が感銘できる鋭く巧みな言葉で紡ぎ出した詩――それが"共感詩"。10 年以上続く不定期開催の人気イベントで、テレビ東京でも 2014年~2016年に年末年始特番として放送した現代版"歌会"「共感百景 ~痛いほど気持ちがわかる あるある~」(全8話)が、動画配信サービス Paravi で復活! 番組MCは劇団ひとり、解説は歌人・小説家の東直子、演出・プロデュースは過去のテレビシリーズ同様、佐久間宣行が務めます。

共感詩を発表するのは、芸人、小説家、ミュージシャン、アイドルなど様々な"詠み人"たち。配信中の#1~4に続き、3月17日(木)配信の#5&#6には、常連の強者・吉田靖直トリプルファイヤー)をはじめ、東京のライブシーンを席巻する8人組「ダウ90000」主宰・蓮見翔、芸人の岡野陽一加納Aマッソ)、柳原可奈子吉住、3月24日(木)配信の#7&#8には、阿佐ヶ谷姉妹、漫画家・俳優の大橋裕之加賀翔かが屋)、鬼龍院翔能町みね子前田裕太ティモンディ)と、興味深いメンバーが揃います。

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「テレ東プラス」では、収録を終えたばかりの能町みね子さんと、解説の東直子先生にインタビュー! 時代も人柄も詠む"共感詩"の魅力についてうかがいました。

人間の本質的な部分がにじみ出る「共感詩」

――過去3回の特番やイベントに出演されている能町さん。#7&#8は、おなじみの大橋裕之さんや、初出演の阿佐ヶ谷姉妹さん、鬼龍院翔さんらが参加されましたが、収録はいかがでしたか?

能町「今回は"阿佐ヶ谷姉妹劇場"といった感じで、お2人はすごいなと思いました。昔のフジテレビの深夜番組のような、ちょっと知的な感じもする、笑いで押していくだけじゃない面白さが好きで。そういう独特なカルチャー感のある番組ですね」

「今日は全体的にしみじみするような、後から思い返すといいなと思うものが多かったですね。阿佐ヶ谷姉妹さんの作品は、共鳴する感じがしてどれも好きでした」

――ご出演される"詠み人"によって、毎回、全く違う雰囲気になりますね。

「そうですね。呂布カルマさんや錦鯉の渡辺(隆)さんが出演された回(#1&#2)は、エロティックな共感詩が多くて。今回はそういうものは出ず、全体的な姿勢が優しくて心地良い空気になりました」

――イベントとしては定期的に開催されていますが、番組としては6年ぶり。おなじみのメンバーに加えて、初登場の方の参加も多く、今っぽいアイテムを詠み込んだり、新しい風も感じました。

能町「作る側としては、手垢のついたものより新鮮味のあるものを入れたいなと思うので、それで変わってくるんじゃないかと思いますね」

「上手にコロナを詠んだ共感詩もありましたね。でも、スピリットみたいなものは大きくは変わらず、初めての方も不思議とすぐに馴染めるような懐の深さがあって。そこにひとりひとりの個性が、また新しい風を吹かせているような感じがして楽しいですね」

――心に染みる、切り口鋭い、表現の方法など、みなさん共感詩に個性がありますが、東先生から見て能町さんの共感詩はどんな印象ですか?(※記事ラストでこれまでの共感詩の一部を紹介)

「ミステリーの一場面のような小説っぽいものを詠まれたこともあったり、短歌形式の作品を作ったり、いろいろな技を持っていらっしゃいますよね。かつ、一貫してクールな視線で、辛辣さと見向きもされないようなささやかなものへの慈しみの両面があって、いつもステキです」

能町「ありがとうございます」

「今日読まれたある共感詩も、テーマに対して一般的なイメージからすぐには思い浮かばないけれど、実はそれならではの視点、というものがあってハッとさせられました。ひとつひとつの現象や言葉の纏っている外側までも見えてくるようで、さすがだなと思います」

――能町さんは、どのようなところから発想して詠まれるのですか?

能町「思いつくものを挙げてみて、そこからちょっと苦笑いしちゃうような話が面白いかな、と。自分の経験から具体的なエピソードを引き出して、なるべくシンプルに、なるべく短い言葉でスパっと言えるよう、削ぎ落していきます」

「削ぎ落とし方がかっこいいですよね」

――共感詩には人柄や人生まで出ますね。

能町「東先生がどんなものを書かれるか、気になりますね」

「一回やってみたいですね。誰も共感しなくて、『今までこんなセンスの人に選ばれていたんだ』って怒られるかも(笑)」

――先生が「最優秀共感詩」はじめ各賞を選ばれます。MCの劇団ひとりさんが「先生の好みじゃないですか?」とおっしゃっていましたが、やはりご自身の好みが出ますか?

「周りの反応なども感じながら選んでいる...つもりなのですが。今日も阿佐ヶ谷姉妹さんのある共感詩がスルーされそうになったので、『いやいや、これはいいじゃないか』と解説しているうちに、よりいいなと思うようになりましたね(笑)」

能町「先生は褒め上手ですよね」

「私自身も、みなさんのいいところを褒めるのがうれしいので」

――好みが合う方や、自分にはない発想をされる方など、気になる詠み人はいらっしゃいますか?

能町清野とおるさんは、共感するかどうかとはまた別の観点で、謎の力技みたいなものを持っている気がして。全然わからないけどわかる、みたいなところに持っていかされるというか」

「清野ワールドがありますよね」

能町「あとやっぱり吉田(靖直)さんは悔しいくらい上手いですね。かが屋・加賀(翔)さんの共感詩も面白かった」

「加賀さんは若者の微妙な駆け引きみたいなところが上手いし、言葉のテンポがいいですよね。リズム感があって運動神経も良さそう」

――先生は共感詩からどういう人物かわかりますか?

「その方の人間の本質的な部分がにじみ出てきますよね」

――能町さんは共感詩からどんな方だと感じられますか?

「クレバーでブレない人だと思います。能町さんは、ゲシュタルト崩壊もしないんですよ。一緒にトークイベントに出た時に、楽屋でゲシュタルト崩壊するかどうかチャレンジしたことがあって。私は5文字目くらいで崩れましたが、能町さんは一切崩れなかった」

能町「それ、やりましたね。確かに崩れなかった」

――いろんな意味でブレない方なんですね(笑)。共感詩は"共感"に主軸を置いていますが、小説やエッセイなど普段モノを書かれる時は、読み手への"共感"はどの程度意識されているのですか?

能町「これは勘としか言いようがないのですが。一番わかりやすい"共感"みたいなものがあるとして、その2、3層深いところまで行きたいと思っているんですね。誰もがわかっている共感は誰でもたどり着けるけど、もうちょっと掘ったところの"これは共感じゃないか?"というところに勘で行けることがある。私だけが思っているのかもしれないけど、もしかしてこれを投げてみたら響くかもしれない。そのくらいのスレスレのラインを試していると思いますね」

「主観的に自分の感じるものを書くので、私はあまり考えないですね。小説で第三者の気持ちを探っていくときは、"こういう人物だったらこういうことを考えるだろう"と考えながら書くので、そういう意味では共感的なものを加味しつつ書いています」

――詠み人の経験や人柄もにじみ出る共感詩を通じて、スタジオでも共感からトークが広がっていきます。日常にも取り入れると人となりを知る方法のひとつにもなりそうです。これから共感詩に挑戦してみたい人へのアドバイスをお願いします。

能町「いわゆる"あるある"より、もう2、3層深めに、共感かどうかスレスレくらいの方が面白いものになるんじゃないかと思います」

「毎回テーマがあるので、そこから自分の記憶や、それに纏わるものを掘り下げていく過程で新しい発見があれば共感詩になります。自分の感覚を活かして作ってみてください」

今回、能町さんが「ずっと思っていることなので、誰か正解を出して欲しい」と思っていたということを詠んだ共感詩も。これこそ2、3層掘ったところにある"共感"を突かれ、スタジオ一同、唸りました! 最新の共感詩は配信を楽しみにしていただいて...最後に能町さんのこれまでの共感詩の一部を紹介します。これまでの名作をも凌駕するような傑作が続々と誕生した「共感百景」最新作をお見逃しなく!

《能町みね子さんのこれまでの共感詩》

お題「窓」(2014年1月2日放送)
「冬に描いたうんこまだ残る春」

お題「噂」(2015年1月2日放送分)
「芸能界
カツラ植毛 ゲイ 枕
ドラッグ整形 年齢詐称」


お題「無駄」(2016年1月1日放送)
「大きな紙袋に紙袋をしこたま集めてのちにまるごと捨てる」


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「共感百景 ~痛いほど気持ちがわかる あるある~」(全8話)
【出演】MC:劇団ひとり
解説:東直子
《詠み人》
配信中 #1 &#2:秋山寛貴ハナコ)、大橋裕之、ヒコロヒー、吉田靖直(トリプルファイヤー)、呂布カルマ、渡辺隆(錦鯉)
配信中 #3 &#4:尾崎世界観クリープハイプ)、小宮浩信三四郎)、サーヤラランド)、清野とおる、林田洋平ザ・マミィ)、富田鈴花日向坂46
3月17日(木)配信 #5&#6:岡野陽一、加納(Aマッソ)、蓮見翔(ダウ90000)、柳原可奈子、吉住、吉田靖直(トリプルファイヤー)
3月24日(木)配信 #7&#8:阿佐ヶ谷姉妹、大橋裕之、加賀翔(かが屋)、鬼龍院翔、能町みね子、前田裕太(ティモンディ)※加賀翔(かが屋)は共感詩のみ紹介。

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