高校生による国際会議を企画運営、「廃棄苗」で起業を目指す生徒も!立命館宇治高校が推進する「課題解決型授業」

公開: 更新: テレ東プラス

名門校の知られざる姿を、生徒や親、教師など、さまざまな視点を通して紐解く密着ヒューマンドキュメンタリー「THE名門校!日本全国すごい学校名鑑」(BSテレ東 毎週月曜夜10時)。「名門とはいったい何か?」常識を打ち破る教育現場に密着する。

今回の主人公は、京都府にある「立命館宇治中学校・高等学校(以下、立命館宇治)」に通う高校3年生の田中愛乃さんと福田奈津実さん、そして駒井毬乃さん。課題に向き合い自分たちのプロジェクトに全力を注ぐ、高校生たちの成長を見つめた。

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日本文化の色濃い町・京都府宇治市で、グローバル教育を推進している立命館宇治中学校・高等学校。立命館には4つの附属校があり、立命館宇治はそのひとつ。特徴的な円型校舎の中に入ると、弧を描いた廊下に沿って教室が並び、各教室の前には生徒一人ひとりのロッカーを完備。廊下には、ラウンジのようなスペースもあり、開放的な雰囲気が印象的だ。

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高校の生徒数は1167人。学内進学者が多く、2021年の春は311人が立命館大学に進んだ。留学に力を入れており、高校2年生になると全員が1年間海外留学する"IMコース"も。ネイティブの教師や帰国生も多く、IMコースでは社会や物理の授業も英語で行われていた。

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広大な敷地には、400mトラックのある人工芝のグラウンドが。駅伝の全国大会に33年連続出場中の女子陸上部、甲子園に6度出場している野球部など、勉強だけでなくスポーツに打ち込む生徒も多い。これまで数多くのスポーツ選手や五輪代表選手を輩出し、昨年の「東京2020オリンピック競技大会」にも卒業生である陸上・競歩の河添香織選手や、レスリングの皆川博恵選手が出場した。

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そんなグローバルな立命館宇治の校長を務めるのは、アメリカ合衆国出身のヒックス・ジョーゼフ先生。勉強も大事だが、教科書だけでは学べない思いやりや責任感のある生徒を育てたいという。そこで取り組み始めたのが、生徒たちが自ら課題を見つけ、グループで協力しながら解決への道筋を探究する「Project Based Learning(課題解決型学習)」。「協力しながら、自分の興味のある分野を勉強できる。それを重要視しています」。

これまで、「ラオスのコーヒー農家支援」や「子どもの教育支援」など、生徒が見つけた課題からさまざまなプロジェクトが生まれた。

「もったい苗」を考案!「未来を変える高校生日本一」に

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現在、食品ロス問題に取り組んでいるのが、中学生の頃からの仲良しコンビである愛乃さんと奈津実さん。「ポンズ」というチームを結成し、昨年末には全国の高校生が「食」をテーマにプレゼンしたコンテスト番組「CHANGE MAKER U-18 未来を変える高校生 日本一決定戦」(テレビ東京系)に出演。学校のプロジェクト型の授業で取り組んでいた内容をプレゼンした。

大きく育ち過ぎて廃棄されてしまう野菜の苗を買い取り、食育の教材と一緒に小学校に販売。一般向けにも食育キットやサブスクとして販売し、売り上げの一部は苗農家に還元する。「もったい苗」と名付けたこのプロジェクトは、見事優勝! 未来を変える高校生日本一に輝いた。

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廃棄苗の問題を取り上げたのは、奈津実さんの実家が苗農家で苦慮していたからだった。比較的小さな苗が好まれ、大きく育ち過ぎた苗は売れ残り、廃棄されてしまうという。近隣にある規模の大きな農園でも多くの苗が廃棄されていた。このまま栽培すればおいしい野菜になるのに、もったいない...愛乃さんと奈津実さんは、この廃棄苗を有効活用するビジネスとして「もったい苗」を考案した。

大学進学後は、学生のうちに起業しようと準備を進めている2人。しかし1年ほど前まで、愛乃さんは全く違う夢を追っていたという。その夢とは...そんな愛乃さんがなぜ奈津実さんと「廃棄苗」の問題に取り組むようになっていったのか、その経緯と思いについてはぜひ番組で。

コロナ禍でもできることを...高校生によるオンライン国際会議

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2030年までに達成すべき目標、SDGs(持続可能な開発目標)に向けて取り組む高校生がいる一方で、その後の世界を模索する高校生も。

ある日曜日、「Global Youth Fair 高校生国際会議 SURVIVE!(意味:生き残ろう!)」という名の、高校生による高校生のための国際会議が開かれていた。休日にもかかわらず教室に集まり、真剣にパソコンに向かう生徒たち。SDGsが達成されなかった2030年以降の世界を想像し、自分たちに何ができるのかを議論していた。パソコン画面には、海外の高校生の姿も。フィリピンやマレーシアなど世界各地の7校の高校生と、国内13校の高校生、総勢83人がオンラインで繋がり、世界の食糧問題について1週間にわたって話し合っていた。

イベントの企画運営は生徒たちだけで実施している。先生も必要に応じてアドバイスはするが、関係者への連絡などもすべて生徒が担当。このイベントのために昨年の秋から準備を進めてきた運営メンバーは、「休みの日など自分たちの時間を削ってでも、このイベントにかけている」「大変ですが、皆で作り上げていく時間が楽しいです」とコメントしてくれた。

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運営メンバーの1人である駒井毬乃さん(3年生)は、これまでも難民問題など、さまざまな社会問題に関心を寄せ、プロジェクトを作り活動してきた。オンラインで活動をこなす娘の姿に、「帰って来たら毎日『ZOOM』。ゆっくりご飯を食べたり話したりする時間があまりなく、具体的にどういうことをしているのかはわからない。まるで職人のようです」と、お母さん。コロナ禍で家にいる時間が増えたことにより、比較的多くのプロジェクトに参加できた、という毬乃さん。本当は会って話がしたいという思いはあるものの、充実した忙しい日々を過ごしているようだ。

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1週間にわたった国際会議は無事終了した。「参加してくれた方が世界のいろんな所で行動を起こして、少しずつ社会を良い方向にしていってくれるのかなと思って。希望を持ちました」と毬乃さん。大半をコロナ禍で過ごすことになった高校生活。活動が制限される中でも、自分にできることを模索し、社会が抱える問題に挑み続ける高校生たちが、またひとつプロジェクトを成し遂げた。

番組では他にもIMコースの授業風景や、カナダへ留学した生徒の体験談、「ポンズ」の2人が先輩社会人にビジネスの相談をする様子などを紹介する。

3月7日(月)夜10時放送! 「THE名門校!日本全国すごい学校名鑑」(BSテレ東)は、「中大杉並高校...夢は弁護士?内部進学へ17歳の決断」と題して送る。

今回の主人公は、東京都杉並区にある中央大学杉並高等学校の女子生徒。通称「中杉」の校舎は、住宅街のど真ん中。1学年は300人強で9割の生徒が中央大学へ進学。(1割は、中央大学にない学部進学のために他大学を受験。)人気の法学部には毎年90人強が進学するが、合否は高校3年間の成績上位者から決められる。

そんな中杉で将来、弁護士を目指しているのが2年生の小関優実さん。現在は、高校生模擬裁判選手権の活動に力を注いでいるが、模擬裁判には事前の細かなリサーチや弁論の準備が欠かせない。そのため勉強時間が取れず、法学部に進学できるかどうかのジレンマに悩んでいた。先生からは「模擬裁判活動は辞めて勉強に集中したら」との助言をもらうが...。小関さんの決断は?

そしてもう1人の主人公は同じく2年生の北村夏凛さん。将来はピアニストにという夢を持っていた。ところが中杉に入学し、模擬国連活動などに参加したことで、世界や社会情勢に興味を持つように。中央大学の国際経営学部への進学を希望するが、そこは内部推薦でも毎年7人しか受からない超難関学部。ピアノをやめ、勉強に専念すべきか...決断の時が迫っていた。受験生とはまた違った付属校生ならではの悩み...。2人の「17歳の決断」を追った。

どうぞお楽しみに!