駅伝や甲子園の常連にして県内有数の進学校、佐久長聖高校。サッカー女子が早朝から語学勉強に励む理由とは?

公開: 更新: テレ東プラス

名門校の知られざる姿を、生徒や親、教師など、さまざまな視点を通して紐解く密着ヒューマンドキュメンタリー「THE名門校!日本全国すごい学校名鑑」(BSテレ東 毎週月曜夜10時)。「名門とはいったい何か?」常識を打ち破る教育現場に密着する。

今回の主人公は長野県の「佐久長聖中学・高等学校(以下、佐久長聖)」に通う中澤瑛夢さんと、臼崎龍ノ介くん(ともに高校1年生)。県内トップクラスの進学校にしてスポーツの強豪校でもある佐久長聖で、勉強にスポーツに、自分の夢と本気で向き合う若者の姿を見つめた。

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長野県東部の佐久市にある「佐久長聖中学・高等学校」の全校生徒は1312人。58年前(1964年)に開校し、27年前に中学を併設。2021年春の合格実績は国公立53人、早慶MARCH47人など、県内屈指の進学校だ。特に力を入れているのが英語学習。通常の授業の他に、海外の現地講師とのオンライン授業を実施、さらに海外の大学生をインターンシップとして迎えるなど、英語をより身近な環境で学ぶことができる。

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一方、部活動も盛んで全国レベルの運動部も多く、野球部は夏8回・春1回「甲子園」に出場。マラソンなどで活躍中の大迫傑さんを輩出した駅伝部は、創部3年で「全国高等学校駅伝競走大会」に初出場以来、県内で敵なし。今年の「箱根駅伝」でも、佐久長聖のOBたちが活躍した。

夢を失った学年トップの秀才が見つけた新たな目標

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佐久長聖では全校生徒の約4割が寮生活を送っている。龍ノ介くんもその1人。勉強が得意だったため、地元の進学校である佐久長聖に中学から入学した。その頃抱いていた夢は、医者になること。現在、上位2ケタ以内の順位を目標に、できる限り全国模試を受けている龍ノ介くん。在籍する「中高一貫コース」の生徒たちは、ほとんどが難関大学への現役合格を目指している。

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中高一貫コースの授業は、成績順に3つのクラスに分けて行われている。学年トップの成績を誇る龍ノ介くんはもちろん一番上位のクラス。数学の授業を見ると、本来なら高2の中盤で習う内容に取り組んでいた。

入学以来、医学部合格に焦点を絞り、成績を伸ばしてきた龍ノ介くんだが、中学3年生の時、自分に医者が務まるのか大きな不安に駆られたという。そしてその不安を拭えないまま、医学部に進む目標をなくしてしまった。「医者になるのはやめようと思ってから、それがどれだけモチベーションになっていたかすごく痛感した。目標って大事だなと、今になって思う」。

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高校生になり、新たな夢を探し始めた龍ノ介くん。しかし今は無理に将来を決めず、「できることから始めよう」と考えるように。それが全国模試で上位2ケタ以内に入ることだった。もし卒業までに新たな夢が見つからなかった時は...龍ノ介くんの決意は、番組で確認を。

佐久から世界へ。サッカー女子が情熱を取り戻したきっかけ

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瑛夢さんは、サッカーで世界を目指している高校1年生。毎朝4時半には起床し、早朝から1時間、佐久長聖と提携する「マーセッド・カレッジ」(アメリカ合衆国)の講師による英会話のオンラインレッスンを受けている。これは、海外でサッカーをするのに必要な英会話を学ぶためだという。

瑛夢さんが弟の影響でサッカーを始めたのは、小学4年生の頃。地元のクラブチームに入ったが、女子は瑛夢さん1人だった。しかし中学3年生の時に女子サッカークラブのキャプテンになり、チームを県大会優勝に導いた。それが瑛夢さんの自信になっているという。

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女子サッカーの強豪校は複数あるが、佐久長聖に入学した理由について教えてくれた。「自分は佐久の人間で、佐久から世界に出たいと思ったので、この高校が一番ふさわしいと思って選びました。自分が世界に行くことで、女子サッカー界を変えられるかなって思いました」。

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佐久長聖の女子サッカー部はわずか4人でスタートした。しかし創部5年で県大会2連覇、今年の目標は「インターハイ」出場だ。今年卒業する先輩たちの中にも、海外に行くメンバーが。夢を叶えた先輩たちがすぐ目の前にいることが瑛夢さんの励みになっている。「先輩が本当にかっこいいので、自分もそうなりたいし、先輩を超えたいと思っています」と目を輝かせる瑛夢さん。

女子サッカー部の大島駿監督は、「SNSなどですぐ世界と繋がれる中で、大人が想像している以上の成長をしてくれるのでは」と期待を寄せる。

そんな瑛夢さんだが、実は中学を卒業する頃、一度サッカーをやめようと思ったことがあったという。「高校に入ってもサッカーはやるけど、この先は1回やめようかなという考えが自分の頭の中にずっとあった感じでした」。今では休み時間も英語の勉強を続ける瑛夢さんだが、お母さんによると中学の時はテスト前でもあまり勉強はしていなかったそうだ。「高校に入って2カ月くらい経った頃から、人間がガラッと変わりましたね」。

気持ちが変わったのは、女子サッカー部に入ってすぐのミーティング。監督がアメリカの話をしてくれたことを機に、世界を目指そうと決めた瑛夢さんはサッカーのためにあるものを封印。「我慢でもないんですよ。楽しくて楽しくて、一番充実しているかなって。実ることも多いし、努力がちゃんと報われていることもあるので、これが一番いい生活かな」。

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現在、一丸となって夢に向かっている瑛夢さん一家だが、以前、お父さんは「なんとなく海外に行きたいのならやめなさい。何をやりたいか具体的な目標を持たないと、ただ行っただけで終わるよ」と話したという。しかし、「今の生活を見ている限りだと、行かせてもいいかな」と、瑛夢さんの頑張りを認めている。自分自身には夢といえるものがなかったと話すお母さんは、「夢を持った子になってほしいという意味で、名前に『夢』の字を使った。まさにその通りに進んでくれている」と、その思いを明かしてくれた。

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テスト前、瑛夢さんがノートに書き写していたのは、監督からの「なりたい自分を想像し創造せよ!」というメッセージ。「まだ自分で"なりたい"を叶えられていないかなと思った。叶えなきゃ意味がないので、これを書いて頑張ろうと思います」。...ところで瑛夢さんが封印したものは何だったのか? 箱の中身とその理由はぜひ番組で。

夢の実現に向けて、瑛夢さんと龍ノ介くんの挑戦は続く。

番組では他にも、龍ノ介くんを支えるお母さんの思いや、佐久長聖の生徒なら誰でも受けられる英会話オンライン授業の様子、女子サッカー部の練習風景と瑛夢さんのルーティンなどを紹介する。

2月28日(月)夜10時放送! 「THE名門校!日本全国すごい学校名鑑」(BSテレ東)は、「京都・立命館宇治...世界基準!英語で授業&女生徒が起業?」と題して送る。

今回の主人公は、京都にある立命館宇治中学校・高等学校に通う生徒たち。スポーツ強豪校でもありながら、世界に貢献できる人物の育成を目指す立命館宇治で重要視されるのは実践的な英語力と課題解決型授業。社会や物理など日本語でも難しい授業を英語で行い、1年間の長期留学をするコースもある。また課題解決型授業では、生徒自らが世界的な課題を解決するためのアイデアと道筋を考え、実践することまでを目指している。

そんななか3年生の田中愛乃さんと福田奈津美さんは、廃棄される野菜の苗に着目し、社会全体で有効活用する循環型のビジネスモデルを発案。そのプランを、昨年、全国から集まった高校生たちがビジネスアイデアを競い合うテレビ東京の特別番組で披露し、見事に優勝。現在は実際にビジネスを始めるため、学生起業に向けた勉強をしている。

一方、同じ3年生の駒井毬乃さんは2030年までにSDGsが達成されなかった世界をイメージ。そうならないためには自分たちが何をすべきか、仲間と力を合わせ、日本各地の高校生と海外の高校生をオンラインで繋ぐ大規模な国際会議の準備を進めてきた。果たして会議は成功するのか? 社会課題に向き合う自分たちのプロジェクトに全力を注ぐ高校生たちの成長を見つめる。

どうぞお楽しみに!