21日に開かれたワークマンの新商品発表会。
ワークマンは春夏向けの新商品を発表しました。4900円のテントや上下セットで4800円の女性用スーツなどお手頃な商品が発売されます。実はこれらの商品、ほとんどがインターネットのみでの販売です。そして商品は、宅配ではなく「店頭」で受け取る仕組みです。「ネット販売」「店頭受け取り」にはどんな狙いがあるのでしょうか。
21日に開かれたワークマンの新商品発表会。春夏向けの商品、およそ300アイテムが並びました。去年、20万着を売り上げた男性用のスーツに初めて女性用が登場しました。撥水効果のある生地を使っていて、ケチャップをこぼしても、スーツにはつきません。ジャケットとパンツ、上下セットで4800円。他社にはない安さで新たな客層を掘り起こしたい考えです。
そして今回初めて発表したのが、本格的なキャンプ用品です。アウトドアウェアと同じ生地を使うなど、ワークマンの技術が詰まっているといいます。1人用のテントは4900円で、薄くて軽いという寝袋の価格は1500円。机や椅子など合わせて5点を購入しても、1万円以下です。コロナ禍でキャンプ人気が高まっていることを受け、販売に踏み切りました。
これらの商品はインターネットから注文し、店頭で受けることを前提に開発されました。ワークマンの土屋哲雄専務取締役は「私どもの店舗は100坪の標準店舗なので、売り場がない。ですから、ウェブで注文して店舗で受け取る方式に今回チャレンジした」と話します。
女性をターゲットにした店舗「ワークマン女子」を取材すると、レジの後ろには、ECサイトで客から注文を受けた商品がありました。客はワークマンのECサイトで商品を購入した場合、受け取り場所を自宅にするか、店舗にするか選ぶことができます。実際、客の7割が店舗での受け取りを選んでいるといいます。その理由について利用客は「送料がかからなくて、好きなものがすぐにピックアップできるのはいい」と話します。
ワークマンでは、店舗で受け取れば送料はかかりません。ワークマンは2、3年後にはECサイトで注文した商品の全てを店舗での受け渡しにする考えです。
「アマゾンには勝てない。宅配を使っても生き延びられないと思い、それであれば店舗をたくさん作る。今は940だが10年後には1500にして、日本全国3キロ行けば必ず店があるみたいに考えている」(ワークマンの土屋専務取締役)
自宅へ配送した場合はワークマン本社の売り上げとなります。一方、店舗での受け渡しは店の売り上げになり、直営店やフランチャイズ店にとってプラスになります。
今後、こうしたECで注文して店舗で受け取るビジネスモデルは日本で広がっていくと専門家は話します。
「荷物もEコマース中心に増え、ドライバーのなり手も少ない。ただでさえ足りないところに、"2024年問題"が積み重なるとドライバー不足が進む」(ボストンコンサルティンググループ 消費財・流通・運輸グループの森田章さん)
2024年に配送ドライバーの労働時間の規制が強化されるため、ドライバー不足の深刻化が予測されます。そうなれば、労働力不足に陥り、宅配料も高騰すると専門家は指摘します。
「人手不足がここで明らかになると、さらに配送価格が上がる。Eコマースで注文して、店舗で受け取るモデルは今後も普及していく」(森田章さん)