「コロナ鎖国」との批判もある”厳格”入国制限が来月緩和へ 国内企業からも歓迎の声<WBS>

公開: 更新: テレ東プラス

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在日アメリカ商工会議所のクリストファー・ラフルアー特別顧問(日本外国特派員協会のYouTubeより)

政府は、新型コロナウイルスの水際対策を3月から緩和し、1日あたりの入国者の上限を今の3500人から5000人に増やす方向で調整を進めています。厳しい入国制限が「コロナ鎖国」との批判を受けたことが背景にあり、海外とのビジネスに取り組む現場からは歓迎の声が上がっています。

日本の空の玄関口、成田空港。到着ロビーに外国人の姿はまばらです。政府がオミクロン株の水際対策として、外国人の新規入国を原則停止。さらに、入国者数の上限を1日3500人までとしているためです。

16日に発表された1月の訪日外国人数は1万7800人。感染第3波だった1年前に比べ6割以上減っています。厳しい水際対策は、日本で活動する外国企業などから「ビジネスに悪影響が出ている」と批判を受けてきました。

「外国企業にとって、日本が長期的に信頼できるパートナーかどうか疑問を生じさせる」(在日アメリカ商工会議所のクリストファー・ラフルアー特別顧問)

在日アメリカ商工会議所の幹部は「入国制限が会員企業の64%の投資決定に悪影響を与えている」と指摘します。

また、在日ドイツ商工会議所は「ドイツ企業におよそ130億円の損失が出ている」として、入国制限の見直しを求めています。自動車部品世界最大手のボッシュでは、30人以上の従業員が来日できず、新製品の生産ラインの立ち上げに遅れが生じているといいます。

一部で「コロナ鎖国」と批判されたことを受け、政府は16日、「(水際対策については)科学的知見の蓄積、内外の感染状況の変化、海外の水際対策などを総合的に勘案し、緩和に向けた検討を進めている」(松野官房長官)とし、オミクロン株の特性などを踏まえ、3月から外国人のビジネス関係者や技能実習生、留学生の入国を条件付きで認める方針を固めました。

1日当たりの入国者の上限を3500人から5000人程度に拡大する方向です。さらに、入国後の待機期間を、一定の条件のもとで原則7日から3日に短縮する方向です。感染が広がっていない国から訪れ、ワクチンの3回目接種などの要件を満たした人は、待機を不要とすることも検討しています。

ベトナムへの行き帰りでおよそ1ヵ月の待機が必要

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タカヨシジャパンの髙島小百合社長。

国際ビジネスに取り組む企業からは歓迎の声も聞かれます。

大阪にある金属加工会社「タカヨシジャパン」は、大手企業から発注されたものをベトナム工場で作っています。コロナ前までは2ヵ月に1回ほど、日本人の技術指導者を送り込んでいましたが、今はストップしたままです。

「技術者が行っていた2年前までベトナムの会社はずっと黒字だった。それが行けなくなった、ここ2年はかなりの赤字になってしまった」(タカヨシジャパンの髙島小百合社長)

去年9月までベトナムではロックダウンをしていたため、日本から訪れた場合、行き帰り合わせておよそ1ヵ月間の待機が必要でした。

「今はお客様からよく似た品物をお借りして、それをベトナムに送り、オンラインで話をして作らせて、日本に送ってもらい検査している。現地に行けば1日で済むことが1ヵ月〜2ヵ月かかってしまう」(髙島社長)

今回の待機期間の短縮については「現場を動かしていくらという商売なので、短くなるのはとてもありがたい」と話します。

海外でも入国規制を緩和する動きが出ています。世界有数の厳しい入国制限を行ってきたオーストラリア。2020年3月から外国人の入国を原則禁止してきましたが、21日から観光客を含めて受け入れを全面的に再開すると発表しました。ワクチン接種を済ませていれば全ての国と地域から入国を許可するとしています。

「ワクチンを2回接種済みであれば、皆さんを歓迎する。それがルールで全員に従ってもらう」(オーストラリアのスコット・モリソン首相)

オーストラリアでは16歳以上のおよそ94%が2回ワクチンを接種(15日時点)。感染者の数は、1日およそ2万2000人ですが、1ヵ月前に比べ8割近く減少しています。およそ2年ぶりとなる国境の再開に、市民からは「素晴らしい措置だ」「入国を再開する準備はできている。最近まで欧州にいたが、世界は『コロナ後』に移っている」との声が上がりました。

歓迎の声は地元の企業からも。シドニーの中心部にあるカフェ「Avenue on George」では、長引く感染の拡大で客が減ったことに加え、移民なども入国制限で人手不足が大きな悩みの種になっているといいます。

「入国制限で人を雇いたくても雇えない。オーストラリアは現在、人手不足で制限緩和は非常に良いことだ」(Avenue on Georgeオーナーのスティーブン・バーバロスさん)

海外で進む水際対策の緩和。イギリスではワクチン接種が完了していれば、検査をせずに入国が可能になりました。アメリカでもワクチンの接種証明と、検査での陰性証明があれば入国できるようになっています。一方、感染第6波が続く中、ワクチンの3回目接種を急ぐ日本。政府は観光客の受け入れなど、さらなる緩和には慎重な姿勢です。

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