海外で続く「日本酒」人気...輸出したくてもできない理由<WBS>

公開: 更新: テレ東プラス

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李白酒造の倉庫には出荷できない約3700のケースが積まれている。

海外で日本酒人気が続いています。7日に発表された日本酒の2021年の輸出総額は401億円以上に達し、12年連続で過去最高となりました。ただ足元では、輸出したくても輸出できない状況となっています。

島根・松江市にある創業130年余りの蔵元、李白酒造。現在は新酒の仕込みの真っただ中です。李白酒造は25年以上も前から日本酒の輸出を手がけ、アメリカを中心に中国やヨーロッパなどに販路を広げていて、生産量のおよそ4割を海外で販売しています。

「李白純米大吟醸」は穏やかな香りの切れの良い辛口で、洋食にも合わせやすく海外でも人気で、コロナ禍にも関わらず、注文が多いといいます。

しかし「これがアメリカ向けの荷物。こちらには中国向けがあって、こちらはスペインです」(李白酒造の田中裕一郎社長)。

李白酒造の倉庫にあったのは、去年10月に輸入元から発注を受けた商品で、予定では既に出荷していたもの。送りたくても送れない、およそ3700ケースが積まれていました。

「コンテナ不足で船が決まらない。瓶に詰めた酒がいつまでもあると、倉庫を圧迫する。いまは製造のシーズンだが、酒造り用の米も入ってきて、置き場所も圧迫されている」(田中社長)

この状況は他の蔵元にも同じことが言えるといいます。

さらに輸出ができたとしても「輸送コストが上昇していて、だいたい6倍くらい。便によっては10倍以上。米国向けや欧州向けは小売価格がどうしても上昇してしまう」(日本酒造組合中央会の宇都宮仁理事)。

一方、海外では新たな動きも出ています。

ニューヨークの蔵で作られたという日本酒。「BROOKLYN KURA」(ブルックリン・クラ)という酒造会社が手がけています。

「これが一番人気の純米吟醸生。軽くて、初めての人にも飲みやすい」(ブルックリン・クラ共同創業者のブライアン・ポーレンさん)

原料には、カリフォルニア産の山田錦や、ニューヨーク州北部の水などを使用。フルーティーでバランスの取れた味に仕上げるため、麹作りにもこだわるなど、かなりの本格派です。

ブルックリン・クラ共同創業者の一人であるブライアンさんは、高まる日本酒人気に対応するため、蔵の増設を計画していました。

「これが新しい蔵の予定地。現在の5〜10倍の量を作れるようになる」(ブライアンさん)

今後日本から杜氏(とうじ)も迎え、年末には新しい蔵で本格的な酒造りを始めたいと言います。このプロジェクトには日本の酒メーカーのパートナーがいます。それが、八海山を展開する新潟の八海醸造です。

去年12月、両社は業務資本提携を発表。今後、日本酒をはじめ、ビールや蒸留酒、発酵食品などを共同で開発していく計画です。

「八海醸造との提携で規模を拡大して、酒を造ることが可能になる。やることはたくさんあるが、とても楽しみだ」(ブライアンさん)

八海醸造にとっても、海外で生産・販売ができることは、関税や輸送費などのコストがかからないだけでなく、地元客にアピールできる情報が多いといった、輸出にはない魅力があります。

「日本酒がスタンダードな世界飲料にならないと、市場や需要が増えていかない。日本酒の市場のパイをどんどん大きくできるような一手になればいい」(八海醸造の笹川伸介海外営業課長)

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