認知症と向き合う...”働く”ことで社会とのつながりを生む現場:ガイアの夜明け

公開: 更新: テレ東プラス

2月11日(金・祝)に放送された「ガイアの夜明け」(毎週金曜夜10時)のテーマは、「"認知症"と向き合う」。
最新の予防法や、いち早く認知症のリスクを診断する最先端の技術に挑む人々、認知症を発症しても、社会の中で共生できる場を生み出そうとする取り組みに密着した。

認知症の人も働くことで社会とつながる

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東京・町田市にある「DAYS BLG!」は、要介護認定を受けている人ならば誰でも利用できるデイサービス。登録者は34人で、その多くの人に認知症の症状がある。
ここのモットーはメンバーが"仕事をして社会とつながる"こと。洗車作業や領収書の整理、ポスティングなど、登録者は自分でやりたい仕事を選ぶことができる。

この日、BLGのメンバーが向かったのは「こどもの国」(神奈川・横浜市)。「東京ディズニーランド」と「東京ディズニーシー」を合わせた広さがあり、自然が豊かで1日中遊ぶことができる。ここでの仕事は園内にたくさんあるベンチの清掃。
これらの仕事は有償のボランティア。お金をもらうからには手は抜けない。皆真剣だ。

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メンバーのまとめ役、吉沢健一さん(仮名)は、かつて大手商社に勤めていた。
BLGに通い始めて5年。吉沢さんの家族によると、症状も落ち着き、以前より明るくなったという。

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町田克信さんは、約10年前に認知症と診断された。得意な仕事は、地域の情報誌のポスティング。スタッフの助けを借りながら、一軒一軒、自分の手で投函する。
この日は1時間かけて30軒のポスティングを行い、「楽しいですよ」と笑顔で話す。

BLGでは、月に1度、参加したメンバーに謝礼金が支払われる。お金をもらうことで社会とのつながりを実感でき、生きがいやモチベーションになるという。

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この場を作ったのが、NPO「町田市つながりの開」理事長の前田隆行さん。2012年に「DAYS BLG!」を立ち上げた。
元々介護の現場で働いていた前田さんは、認知症の人たちが社会から疎外される現状をなんとかできないかと感じていた。
何かできる仕事はないか、地元の企業を一軒一軒訪ね歩いた結果、今では地元の15の企業や団体から仕事を任されている。この認知症の人でも働くことで社会とつながる仕組みは、今や全国から注目されている。

BLGがある町田市では、認知症の人やその家族に対する取り組みも進んでいる。
これまで延べ3万2000人の市民が認知症について学ぶ講座に参加した。
さらに市内には認知症を表す「D」の文字をたくさん目にすることができる。市内の書店にあるのは「Dブックス」コーナー。認知症の理解を深めるための書籍コーナーだ。
さらに50カ所近くの店や企業内には「Dトイレ」。認知症の人と介助者が気兼ねなくいつでも利用できる。
さらに「スターバックスコーヒー」には「Dカフェ」。定期的に認知症の人や家族、地域住民が交流できる場で、コロナ前には定期的に開催されていた。

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町田市 高齢者福祉課の澁谷遼さんは「町田市では、認知症になった人も安心して生活できる"認知症と共に生きる街づくり"を進めている」と話す。

1月中旬。BLG代表の前田さんは、新たな仕事を開拓するため「横浜信用金庫」成瀬支店へ。そこには元商社マン・吉沢さんの姿も。交渉する大役に自ら手を挙げたのだ。
笑いを交え、話が和やかに進む中、信金側から思いがけないオファーが舞い込む。

認知症になっても人生終わりではない!

2025年には、約700万人超、65歳以上の5人に1人(※厚生労働省 推計)がなるといわれる認知症。そんな中、製薬会社「エーザイ」が、世界初、認知症の原因物質を減らすという新薬を実用化したと発表した。
この治療薬は、認知症の約7割を占めるアルツハイマー病に効果があるという。

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原因物質とされるのが、脳で作り出される「アミロイドβ」というタンパク質。これが排出されずに溜まり続けると、神経細胞を傷つけるといわれている。今回は、これを脳から除去できる初めての薬として注目を浴びた。

日本での承認は現時点で見送りになったものの、エーザイは「アミロイドβ」を除去する効果が期待される別の新薬「レカネマブ」を、来年度中に承認を申請すると発表した。

従来の薬は症状を一時的に緩和するだけだったが、新薬の開発が進めば、認知症の治療が次のステージに入る。大阪大学医学部附属病院 神経科・精神科の池田学診療科長は、「非常に早期の段階の認知症患者が対象になるので、治療に直結できる。すぐに治療に導入できるので、早期発見は非常に重要」と話す。
では、脳の中に溜まる「アミロイドβ」をどうやって見つければいいのか。

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いま国内40ヵ所ほどで行われている最新検査が「アミロイドPET」。「アミロイドβ」と結合する特別な薬剤を点滴で投与し、装置で撮影するだけで、脳にどれくらい「アミロイドβ」が溜まっているかがわかるという。認知症の早期発見には有効な手段だが、現段階で保険は使えない。

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認知症研究の第一人者「アルツクリニック東京」の新井平伊院長に、予防法を聞いた。
新井さんが開設した「健脳カフェ」(東京・新宿区)。ここでは認知症を予防するためのさまざまなプログラムを提供している。脳を刺激することが最大のポイントで、頭と体の両方を使うエクササイズや人とのコミュニケーション、麻雀やトランプのような人と対戦するゲームなども。そしてバランス良い食事の指導なども行う。
また、認知症発症の前には、日常生活に支障はなくても記憶力や注意力が低下する"未病"の段階があり、その時点でいろいろな改善を試みると、16〜41%くらいは健常に戻るという。

新井さんは「認知症は怖いというイメージがあるが、今は認知症になっても人生終わりではない。発病・発症を遅らせることができる。新薬も誕生してきている。恐れるよりも前もって対策をとる」と話す。

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そのほか番組では、大阪大学 産業科学研究所・関谷毅教授が開発した、おでこに貼る脳波計を紹介。新たな認知症検査の可能性に迫った。

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