宮崎美子「東京行くべや」トラクターをガンガン叩き”いける”と確信:ダメな男じゃダメですか?

公開: 更新: テレ東プラス

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東京で偽りの人生を送る見栄っ張りな青年と、田舎暮らしのパワフルなおばあちゃんが入れ替わったら...!? 水ドラ25「ダメな男じゃダメですか?」(毎週水曜深夜1時放送 ※五輪期間中は1時10分放送)で、町田啓太さん演じる主人公・田町権太と入れ替わるスーパーポジティブなおばあちゃん・落合カツヨ役を演じるのは宮崎美子さん。自分の孫と入れ替わるというユニークな役に挑む宮崎さんに、役作りや撮影の裏話をお聞きしました。

町田くんとは特殊な形での共演ばかり

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――今回のカツヨ役は、かなりパワフルなおばあちゃんで、しかも孫と入れ替わった状態も演じられています。宮崎さんがこうした役柄は珍しいですよね。

「私自身も、原作漫画の絵を見たときの衝撃はすごかったですね。『これ誰がやるの!?』と(笑)。別の現場でも『あのキャラクターは宮崎さんのイメージではなかったけど、予告編を見たら楽しみになってきました』とおっしゃってくださる方がいらっしゃいました」

――どのように人物像を掴んでいかれたんですか?

「現場で動いてみて、役に成っていきますね。今回は特に台本を読んでいるだけでは掴めなくて、現場でやってみて確認しながら作っていきました。最初の群馬ロケの日、畑で『東京行くべや』とトラクターをガンガン叩くシーンで、いけるかなという感触がありました」

――群馬弁はいかがでしたか?

「標準語と変わらないようでいて、ホッとさせてくれるような言葉だと思いました。町田くんが群馬出身だからいろいろ教えてくれて、助かりましたね」

――町田さんとは、2014年「ほんとにあった怖い話 15周年スペシャル『闇への視覚』」(フジテレビ系)で共演されているんですよね?

「そうなんですよ。私は息子を事故で亡くした母親役で、息子の霊が壁の中からにゅっと出てくる......それが町田くんだったんです。セリフのやり取りもなかったので、なんとなく覚えていたくらいでしたが、今回、町田くんから『実は以前ご一緒していて......』とおっしゃってくれて。覚えていてくれたんだとホッとしました。今回も特殊な間柄でしたし、次回はノーマルな形で共演したいなと思います(笑)」

――町田さんと本格的に共演してみていかがでしたか?

「シュッとしていらっしゃるから、お芝居の作りも静かな感じなのかなと思って、最初の本読みでは(芝居を)小さめにやったんです。でも、町田くんはすごく楽しい人で、私が最初にやったぐらいじゃ物足りなくて。『そんな風に作るんだったらもうちょっとやっていいんだな』と、私もだんだん大きく表現していきました。思い切って出来て良かったです」

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――宮崎さん演じるカツヨの見た目で中身は田町、町田さん演じる田町の見た目で中身はカツヨのお芝居が楽しみです。

「入れ替わり劇は初めてなんです。台本にも『カツヨ(田町)』とか『田町(カツヨ)』と書いてあって、初めての体験で。いつも自分のセリフに赤鉛筆で印を付けるのですが、今回は『田町(カツヨ)』は赤で、『カツヨ(ご本人)』は渋いお茶みたいな深緑色で印を付けて区別していました」

――確かに台本を読んでいるとどちらがどちらか分からなくなりました(笑)。ドラマ化までを追うドキュメンタリーパートでも、入れ替わった相手がどう演じるかを考えながら演じないといけないというすり合わせが大変そうでしたね。

「劇中では、入れ替わっているシーンのほうが、本人でいるシーンよりずっと多いんです。町田くんに『これってどんな感じなの?』と聞いたり、『ちょっとやってみて』とお願いして実際にやって見せてもらったり。歩くときの姿勢、バッグの持ち方など、お互いに教え合いっこしながら支え合ってやっていました。町田くん演じるおばあちゃんがかわいいんですよ。普段あんなシュッとした人なのに(笑)」

――現場では、お芝居以外のこともお話されたりしましたか?

「他の応募作についても、お描きになった方のことや作品のことなどをうかがいました。この作品だけでなく、町田くんとしては他の作品も演ってみたいという想いが強かったみたいですね。

でもやっぱり現場ではちょっとした仕草などを確認しあっていたことが一番多かったかな。後半、私がダンスをしてみるシーンがあるんです。町田くんに『ダンスを普段の5倍ぐらい遅く踊った動画を撮って後で見せてくれる?』とお願いしたら、ちゃんと撮ってきてくださって。本当に助け合いでしたね」

――町田さんは「宮崎さんが演じられる凜としたおばあちゃん像を出せれば」とおっしゃっていました。宮崎さんが田町を演じられる際に意識されていたことは?

「今はちょっと自分を見失って情けない状態ですが、根は真面目でいい子。そこは大事にして、20代の"まだ自分が何者にもなれていない"という不安で揺れ動いている感じを出せたらと思いました」

――宮崎さんは大学在学中にデビューし20代からすでに芸能界でご活躍されていましたが、20代の頃の"何にもなれていない"気持ちもご経験されたんですか?

「自分が何者なのか、何を武器に世の中を渡っていけるのかが分からないという時期は自分にもありました。田町の「失敗して何もかも失ってしまっている」という心細さも分かりますね。みんな誰もが一度は味わう気持ちなんでしょうけどね」

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――最後に、宮崎さんが思うこのドラマの見どころを教えてください。

「田町権太という一人の青年の成長の話だと捉えています。おばあちゃんは、本当に痛快な人で、失うものも何もないから、まっすぐ伝えたいことを伝えつつ、自分の果たせなかった夢を、たまたま手に入れた若者の肉体で果たそうとする。一方、田町はそんなおばあちゃんのことを思って、いろんなことを諦めようとしてくれている。切ない状況の中で、それぞれが"自分にとって手放せない大事なものは何だろうか"と考えて、自分の道を選び取っていく。お互いが自分の人生を捉え直して新たに前に進むというお話です」

――コメディではありながら、人間ドラマとしても見応えがあります。

「そうですね。1本芯が通ったテーマがあって、ドタバタが面白いというだけの作品にはなってないと思います。そんな風に私たちは作ってきたつもりなので、ぜひ何かを感じていただけたらと思います」

2020年10月、芸能生活40周年を迎え、自身初のカレンダー「宮崎美子 40周年 カレンダー&フォトブックセット」を発売。40年ぶりのビキニ姿は"奇跡の60代"と大きな話題となった宮崎さん、その魅力的な生き方の秘訣は!? インタビュー【後編】に続きます!

(取材・文/高瀬純)

俳優・町田啓太さんが主人公のプロジェクト「僕を主人公にした漫画を描いてください!それをさらにドラマ化もしちゃいます!!」、通称「僕ドラ」。大賞作品に主婦漫画家・大盛のぞみさんの作品が選ばれ、水ドラ25「ダメな男じゃダメですか?」(毎週水曜深夜1時放送 ※五輪期間中は1時10分放送)に! 2月9日(水)放送の、第2話は?

第2話
ひょんなことから入れ替わってしまった田町権太(町田啓太)と祖母のカツヨ(宮崎美子)。権太はセミナーに参加する予定だったが、仕方なくカツヨに参加してもらうことに。しかし、会場では破天荒なカツヨ節が炸裂し、担当者とバトルが勃発。セミナーの後、元の体に戻れるよう二人で試行錯誤したが、失敗に終わってしまう。今すぐにはもとに戻れないと考えたカツヨは、堕落した権太の生活を変えるため、まさかの行動に出る。