世代・トレンド評論家 牛窪恵さんに聞く「2021年のトレンド」注目ワード

公開: 更新: テレ東プラス

あなたにとって、2021年はどんな年でしたか? 今年のトレンドから、この1年を振り返ってみましょう。

nanairo_20211226_001.JPG
毎回さまざまな専門家がレギュラー出演中の生活情報番組「なないろ日和!」(毎週月~木 午前9時26分~放送中)から、世代・トレンド評論家の牛窪恵さんに、「2021年のトレンド」について話をうかがいました。

2021年のトレンド

nanairo_20211226_002.jpg
長引くコロナ禍、「東京2020オリンピック・パラリンピック」開催、岸田内閣の発足、芸能界のビッグカップルの結婚など、様々な出来事があった2021年。今年のトレンドの傾向は?

「思っていた以上に長い緊急事態宣言で巣ごもり需要がさらに進み、付加価値の高い家電がヒットしました。例えば、昨年よく売れたホットプレートなども、今年はオシャレな薄型のものや新たな機能付きのものに。家での手作りも、昨年はぬか床など手軽なものが流行りましたが、今年はより嗜好性を追及したチョコレートドリンクを作る家電などもヒットし、楽しみの幅が広がりました。また、動画コンテンツでは、去年はNetflixなど観る楽しむエンターテイメントが人気でしたが、今年は資格取得などステップアップのための学び系動画が伸びています。おうち時間の快適さに加え、コロナ禍が明けた後のことを考えるようになってきたのが特徴です」(牛窪恵さん、以下同)

2021年の注目ワード

新型コロナウイルスという未知の脅威に不安が強かった昨年と比べ、今年はワクチン接種や飲み薬の研究などにより、先に光も見えてきました。こうした2021年を象徴する注目ワードは?

【注目ワード1】一人用
東京・神楽坂にオープンしたばかりの、日本初の完全個室の一人用サウナが、ドラマ「サ道」(テレビ東京系)の人気もあってブレイク。かつては家族団らんの象徴でもあったこたつもコンパクトな一人用が売れているなど、様々なジャンルで"一人用"が注目されています。

「コロナ禍で人との接触を避けなければならない中、昨年は"我慢しなければ"から、今年は"できることは一人で楽しもう"という流れが、(ソロ)キャンプだけでなく多方面で確立しました。独身者や、配偶者と死別したシニア女性の単身者を含め、2035年ごろに日本は全人口の約半数が"おひとり様"になると予測されています。これからは"一人用"が当たり前になってくるでしょう」

【注目ワード2】セカンド
冷凍機能のみの小型冷凍庫がヒット。冷蔵庫の冷凍室に加え、"セカンド冷凍庫"として購入されています。

「テレワークが解除され始め、特に共働きの家庭ではステイホーム中とは家事の仕方が変わりました。毎日買い物に行けなくなったため買いだめや作り置きをするようになり、保存スペースが必要に。冷蔵庫自体を大きなものに買い替えるより、小型の冷凍庫を買い足すご家庭が増え、"セカンド冷凍庫"のヒットにつながりました。また、お子さんも手軽に使えるスティック型の掃除機や、マスクや下着など小物だけでもサッと洗える小型の洗濯機なども売れています。2台目の"セカンド"家電により、隙間時間に家事ができ、家族みんなでシェアして楽しめるようになりました」

nanairo_20211226_003.jpg

【注目ワード3】新品を買わない
SDGsの理念が徐々に浸透してきた中、オリンピックでの大量の弁当廃棄など「フードロス」問題がクローズアップされました。また、アパレル業界では、大量生産・大量廃棄による「衣服ロス」問題から、洋服の買い方に変化が起こっています。

「若い世代はInstagramに投稿した服は何度も着にくい、と考えやすい。また物を持たない暮らしを好むミニマリストのブームなどもあり、洋服の買い方は変わってきています。メルカリなどのフリマアプリや、エアークローゼット(ファッションレンタルサービス)など洋服のサブスクを利用して、"新品を買わない"という流れに。また、企業側も、廃棄処分されるはずの衣類を紡ぎ直して再生したリサイクルウールなどで、社会課題に取り組んでいます」

ここ数年、急成長したメルカリなどのフリマアプリでは、洋服や生活用品だけでなく、農家から規格外野菜を購入するなど、様々なものが売買されています。世界的にもシェアリングエコノミー(インターネットを介して個人同士でモノや場所、スキルなどを取引するサービス)が主流になる中、企業側の物の売り方も変わってきました。

「『ユニクロ 原宿店』では、お客さんのデータを基にリアルとバーチャルを融合させてコーディネートを提案。他の企業でもSNSなどで繋がることで、その人の嗜好や生活スタイルに合った商品を提供していこうという流れになっています。これまでのように不特定多数に向けて大量に消費を促すのではなく、1人1人と深く長く繋がりつながり続けることで、必要な人に必要なものを、必要な分だけ届ける形態になってきています」

コロナは辛い体験ではあるものの、急速にデジタル化が進んだり、今後必要になると思われていたものが一気に普及するなど、世界が変わるきっかけにもなりました。2021年のトレンドから時代の動きを読み、今後に活かしてください!

取材協力:牛窪恵さん。世代・トレンド評論家、マーケティングライター、立教大学大学院 客員教授、インフィニティ代表取締役。「おひとりさま」「草食系」などの言葉を世に広め、新語・流行語として注目される。「若者たちのニューノーマル ―Z世代、コロナ禍を生きる」 (日経プレミアシリーズ)、「なぜ女はメルカリに、男はヤフオクに惹かれるのか?」(光文社/共著)などトレンド・マーケティング関連の著書多数。NHK総合「所さん!大変ですよ」(NHK総合)、「ホンマでっか!?TV」(フジテレビ系)などでコメンテーターとしても活躍。
オフィシャルブログ:https://ameblo.jp/megumi-ushikubo/
インフィニティ:http://www.hachinoji.com/

「なないろ日和!」は、様々な専門家が出演し生活に役立つ情報をお届けしています。毎週月~木曜9時26分からの放送をチェック!