津軽弁を愛するオランダ人男性がストーブ列車に大興奮!リンゴ農家の人々と絆を深め...帰国後、驚きの報告が!:世界!ニッポン行きたい人応援団

公開: 更新: テレ東プラス

ニッポンに行きたくてたまらない外国人を世界で大捜索! ニッポン愛がスゴすぎる外国人をご招待する「世界!ニッポン行きたい人応援団」(月曜夜8時 ※12月20日は夜6時25分放送)。毎回ニッポンを愛する外国人たちの熱い想いを紹介し、感動を巻き起こしています。

今回は、「ニッポンにご招待したら人生変わっちゃった! スペシャル」をお送りします。

津軽弁を通じて青森県の人々と交流し......帰国後、まさかの再来日!

紹介するのは、オランダに住む「津軽弁」を愛するハムザさん。

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番組の大ファンで、日本語も上手な高校生のハムザさん。挨拶がわりに、米沢藩主・上杉鷹山が詠んだ家訓「為せば成る、為さねば成らぬ何事も 成らぬは人の為さぬなりけり」を披露! 日本語の中で最も興味があるのが、青森県で話されている津軽弁だとか。

津軽弁で「あべ」とは、「こっちに来い」「行こう」という意味。その語源は、「歩いて行くべし」という古代の日本語の名残だそう。他にも「わどな(私とあなた)」「どさ?(どこへ行くのですか?)」「ゆさ(お風呂に行く)」など、共通語と比べて短く省略した言葉が多いのが津軽弁の特徴です。

ニッポンへはまだ一度も行ったことがないというハムザさん。中学生の時、テレビでニッポンのアニメを観て、その美しい響きに魅了されたそう。日本語を学びたいと思ったものの、近所に教室がなく、「ジショ」という日本語の読み書きと発音を学べるサイトを活用して独学。今では津軽弁まで学ぶように。

ハムザさんが見せてくれたのは、津軽鉄道でトレインアテンダント(ガイド)をしている女性の動画。ここに登場する津軽鉄道ストーブ列車は、毎年12月から翌年3月末まで営業し、車内のストーブで暖をとりながら、トレインアテンダントの津軽弁による観光案内を楽しめます。ハムザさんは、いつかストーブ列車で生の津軽弁に触れる日を夢見てきました。

そんなハムザさんを、ニッポンにご招待! 5年前、念願の初来日を果たしました。

向かったのは、青森県弘前市。青森には大きく分けて南部弁と津軽弁、二つの方言があり、弘前市は津軽弁の本場。弘前中央食品市場でお店の方と話していると、お客さんから大学芋をいただき「め!(美味しいです)」「めしょ!(美味しいでしょ)」と津軽弁で会話する場面も。津軽弁は寒さのため、世界一短く合理的に話せる方言ともいわれ、「け(食べて)」「く(いただきます)」など1文字で会話が交わされることもあるとか。

続いて向かったのは、弘前から北へ車で1時間の、つがる市森田町。リンゴの生産量日本一の青森県で3代にわたってリンゴを育てている宮西洋年さんのご家族に受け入れていただき、リンゴ農家の暮らしを体験することに。

お邪魔した11月下旬は、収穫で忙しい時期。寒さに弱いリンゴを一刻も早く収穫しなければならないそうで、ハムザさんも一緒に自宅から車で5分の農園へ。テニスコート77面分の敷地で、600本ものリンゴの木を栽培しています。

育てているのは、葉とらずの「ふじ」。リンゴは太陽の光に当たることで色素が増え、赤くなる果物。一般的な赤いリンゴは見栄えを重視するため、葉を全て取り除いて太陽の光に当てていますが、「葉とらず」は味にこだわり、あえて自然のままに育てています。

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葉にはリンゴに栄養を送る大切な役割があり、葉をとらないほうが蜜が多くなって味が良くなるそう。洋年さんのおばあちゃん・キミさんにリンゴをいただき、「めな(おいしい!)」「めべ!(美味しいでしょ!)」と津軽弁でやりとりも。

キミさんにリンゴのとり方を教えていただき、お手伝い。1本の木に約500個もついている実を一気に収穫。明治時代から続く出荷用の松の木箱に詰め込んでいきます。木箱はダンボールよりも強度が高く、リンゴによい香りをつける効果も。多い日は20キロ入る木箱が200箱にもなるとか。

収穫したリンゴは自宅で選別。基準となる型紙を使い、出荷できるリンゴを選別していきますが、大ベテランのキミさんは、目と手に持った感覚だけで大きさがわかるそう。こうして厳選されたリンゴは専用の巨大な冷蔵庫に運ばれ、室温0度、湿度90%に管理することで長期間鮮度を保ち、全国へと出荷されます。

夕方、宮西さん一家と夕食をご一緒することに。親戚の皆さんも集まり、ハムザさんが「津軽弁がわった好きだはんで、もっとおんべてえ(津軽弁がすごく好きなので、もっと覚えたいです)」と津軽弁を披露すると、拍手が起こりました。不要になったリンゴの木を薪にしたストーブを囲み、皆さんと交流。冬の寒さが厳しい青森では、エアコンより温まる薪ストーブが一般的だそう。

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作っていただいたのは、津軽地方の郷土料理の数々。地元の陸奥湾で獲れたホタテを味噌で煮込み、卵でとじた「ホタテの貝焼き味噌」に、10種類の山菜と魚介を味噌で1日煮込んだ「けの汁」などがズラリ! 青森の味覚を堪能し、リンゴをザラメ糖で煮込んで一晩置いた「リンゴ煮」を味わい、砂糖の甘さをリンゴの蜜だと勘違いして笑いを誘う一幕もありました。

翌日。やってきたのは津軽五所川原駅。憧れのストーブ列車を目の前にして、ハムザさんは「すっげーなこれ!」と大興奮! しかもこの日は、ストーブ列車が運行を開始する12月1日。沿線の市町村代表が集まる一番列車の出発式で、なんと津軽鉄道からテープカットのサプライズが! 予想外の展開に緊張しながらも、無事に大役を果たせました。

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ストーブが目の前の特等席に座らせていただきます。ストーブで焼いた無料のスルメがふるまわれ、夢だったトレインアテンダントさんと交流も。「知っている津軽弁は何ですか?」と聞かれ、「めやぐ(申し訳ないです)」「へばの(さようなら)」「さんじゃらっと(ちょっとだけ)」と答えると、トレインアテンダントさんは「すごい上手ですね」と感動!

その後も津軽弁トークを楽しんでいたところ......乗客の方が降り損ね、列車が緊急停止!バックして駅まで戻ってくれるというハプニングも。「今までの電車経験と全く違いますね」と、感慨深そうに語りました。

別れの時。宮西さん一家から寄せ書きを贈られ、ハムザさんも日本語で感謝の気持ちを綴った色紙を渡します。「第二のふるさとができて嬉しいです」という言葉に、皆さん思わず涙が......。お土産のリンゴをいただき、「へばの(さようなら)」と津軽弁で皆さんに別れを告げました。

9ヵ月後、ハムザさんが再び来日! 実はオランダで日本大使館主催の日本語弁論大会に参加し、最優秀賞を受賞してニッポンへの航空券を獲得したのです。向かったのは、夏の青森。宮西家の皆さんを驚かせようと、洋年さんにだけ行くことを伝えていました。朝6時半、突然現れたハムザさんに皆さんはびっくり!

無事に宮西さん一家と再会を果たし、向かったのは前回とは別のリンゴ農園。こちらでは夏用のリンゴを作っています。お盆前に収穫するということで、9ヵ月ぶりに収穫のお手伝い! キミさんに教えていただいたリンゴのとり方も覚えていました。収穫を終えて自宅に戻ると、お昼をご馳走になり、洋年さんのご両親の馴れ初めを聞くなど楽しい時間を過ごしました。

実はハムザさん、2度目の来日には大きな目的がありました。やってきたのは、つがる市の隣にある五所川原市。青森県では毎年8月、東北三大祭りの一つ「ねぶた」が40以上の市町村で開催され、中でも毎年100万人を超える観客を集めるのが、五所川原の立佞武多(たちねぷた)です。

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通常、ねぶたの山車は横に大きく作られますが、五所川原は縦に長いのが特徴です。立佞武多を観たかったハムザさんが、立佞武多を手作りしている五所川原農林高校にお願いしたところ、お祭りを盛り上げる「跳人(はねと)」として特別に参加させていただけることに!

祭り当日。合計15台の立佞武多がスタート地点に集結。会場の一角には、ハムザさんの勇姿を一目見ようと宮西家の皆さんも来ていました。すると、五所川原が生んだスター・吉幾三さんが先陣を切り、お祭りがスタート! 現れたのは、闇夜にきらびやかに浮かぶ立佞武多。最大で高さ23メートル、重さ19トンにもなるそう。

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跳人として参加する、ハムザさんの姿も見えました。「やってしまえ」という意味の津軽弁、「やってまれ!」を沿道の皆さんと連呼。祭りを盛り上げ、念願の立佞武多を堪能しました。

別れの時。お土産に立佞武多の祭り衣装をいただき、皆さんとハグをして別れを惜しみました。

あれから4年。ハムザさんから届いたビデオレターを宮西さんのお宅へ。洋年さんとは、今も連絡を取り合っているそう。キミさんは津軽弁で、ハムザさんに会えてテレビにも出られて、いつ命が絶えても後悔はないと話します。でも、できれば会いたいそうで......現在アメリカに住んでいるハムザさんと、4年ぶりに絆を結んじゃいました!

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キミさんは、「久しぶりだど〜」と嬉しそう。ハムザさんはオランダの大学を卒業後、アメリカの大学に進学。自動車の制御理論などを学び、博士号を取るため、研究に勤しんでいます。今は津軽弁を話す機会はないそうですが、日本語を忘れないよう、週に1回日本語サークルで学んでいるとか。

宮西さんの農園で食べたリンゴについて、「それ以降全然同じような(美味しい)ものは食べてない」と話します。洋年さんは今、緑色の高級リンゴ「名月」の生産に挑戦しているそう。希少な品種で、甘くて果汁も多く大人気だとか。

ここで、ハムザさんから報告が。「コロナが収束したら、やっぱり一度だけ皆さんと会いたい」と思い、実は来年、東京から東北への自転車旅行を計画中。東北のゴールとして宮西さんのお宅を目指すため、研究の傍らトレーニングを続けているそう。

「青森で会えることを楽しみにお待ちしておりますので」と洋年さん。キミさんも「ハムザくん元気で!」と呼びかけます。最後にハムザさんは「皆さんもお元気で、身体には気をつけてください」と締めくくりました。

ハムザさんをニッポンにご招待したら、津軽への愛情を忘れることなく、ニッポンでの自転車旅行を目標に頑張っていました!