「一本釣り漁師になる!」決意した17歳。日本最大規模の水産学校・焼津水産高校で見つけた憧れの職業

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歴史や校風、卒業生のネットワークまで、名門校の知られざる姿を通してその秘密に迫る「THE名門校!日本全国すごい学校名鑑」(BSテレ東 毎週月曜夜10時)。「名門とはいったい何か?」常識を打ち破る教育現場に密着する。

今回の主人公は、「静岡県立焼津水産高等学校(以下、焼津水産)」で寮生活を送る、岐阜県出身の東和希くん(3年生)。入学した理由を聞くと意外な答えが...。15歳で親元を離れ、焼津水産で自分の生きる道を見つけたという東くんの決断とは?

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日本有数の港町である、静岡県焼津市。静岡県立焼津水産高等高校は焼津港にもほど近く、生徒数は502人で、水産高校としては全国で最も大きな規模を誇る。来年創立100周年を迎える伝統校で、実はおなじみの「マグロ油漬け缶詰」の第一号は昭和4年(1929年)にこの学校の実習で生まれたという。

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「海洋科学科」「栽培漁業科」「食品科学科」「流通情報化」という専門性の高い4つの学科を擁し、船や水産業のスペシャリストを育成。卒業後の進路は、大学などへの進学が4割、6割が水産庁や大手船会社、食品加工会社などに就職している。

東くんをはじめ、遠方から入学した生徒が暮らす「六星寮」を訪ねた。東くんは掃除や洗濯など身の回りのことを寮で覚えたという。「家に帰ると親が全部やってくれたりするじゃないですか。それが有り難いことなんだと、ここに来て思うようになりました」。

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焼津水産の生徒の中でも、特に釣りや魚好きが集まっているのが「六星寮」。暇さえあればそれぞれお気に入りの釣り場へ向かう。東くんも小さい頃から釣り好きだったのかと思いきや、「親も釣りはしないので、全く無関係のまま来た」という。では、なぜ焼津水産に入学したのか?

小・中学生時代はテニス漬けで、高校でもテニスを続けるつもりでいた東くん。しかし試合で負ける回数が徐々に多くなった自分が恥ずかしく、逃げてしまったという。将来の夢はなく、まだ中学生だった東くんが母・多恵子さんに打ち明けた言葉は「人生リセットしたい」。テニスという目標を失ったが、やがて動画を観て魚を捌くことにハマり、焼津水産に進むきっかけとなった。

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東くんが目指すのは、鹿児島県にあるカツオの一本釣りの船会社への就職。実は、高校から始めたラグビーで静岡県の選抜入りを果たした東くん。ラグビーで大学に行く道もあり、家族もそれを望んでいたが、進学するよりも漁船に乗りたい気持ちが強かった。東くんが専攻しているコースには、2年生と3年生の時に約1カ月間沖に出る"乗船実習"がある。そこでカツオの一本釣りの漁法を学んだ東くんは、竿一本で闘う漁に魅了された。

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船上生活は集団行動で規則も厳しいが、それを乗り越えることで、釣った時の楽しさややりがいを感じたという東くん。カツオの一本釣りの船会社の面接を翌日に控え、面接の練習に励んでいた。ルームメイトを面接官に見立ててシミュレーションするが、不安と緊張を隠しきれない様子。

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いよいよ面接当日。会場は焼津水産の会議室で、人事担当の末野さんが鹿児島から足を運んで行われた。無事内定し、来年の春から念願だったカツオの一本釣りの漁師になることが決まった。末野さんは「20校近く学校をまわりました。遠洋船や漁船は "危険"というイメージがある中で、焼津水産は『漁船の船員を育てるんだ、船舶職員を育てるんだ』という気概が伝わってきました」と率直な印象を明かしてくれた。

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内定をもらった日、東くんは久しぶりに実家に向かった。中学を卒業するまでは両親と祖母と4人で暮らしていたが、帰省したのは夏休み以来だという。王道の人生を歩んでほしいと願っていた母・多恵子さん。息子が漁師になることについて「本当に現実になってしまった」と、つぶやいた母親としての複雑な胸中は、ぜひ番組で。

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高校に入って、自分の生きる道を見つけた東くん。両親に直接伝えていないが、県外の高校に進学させてくれたことに感謝しているという。好きなことなら、たとえつらいことでも頑張れる。「焼津水産でいろんなことを学んで、ゼロからでも夢を見つけることができた。実習船の船員さんに憧れてカツオ船に乗ろうと思ったので、自分も憧れてもらえるような船員さんになりたいです」と新たな目標を熱く語ってくれた。

番組では他にも、寮生活や救命活動などの実習の様子、船乗り経験者の先生が語る漁師の現実などを紹介する。

12月13日(月)夜10時放送! 「THE名門校!日本全国すごい学校名鑑」(BSテレ東)は、「湘南高校...勉強も部活も学校行事も!三兎を追うラグビー部員」と題して送る。

今回の主人公は、神奈川県屈指の進学校・神奈川県立湘南高等学校に通う三枝傑くん、2年生。進学校で高2の冬といえば勉強一色? ...かと思いきや湘南高校ではこの時期からが青春の真っ盛り。三枝くんは学校行事を取り仕切る「総務長」としてイベントを盛り上げ、ラグビー部では、フォワードの要として活躍、放課後は夜遅くまで塾通いの毎日だ。

実は入学当初、相次ぐケガに泣かされラグビー部から長期の戦線離脱をした苦い過去が。そして新人戦を前に三枝くんを襲う新たなケガ。どうこの困難を乗り越えるのか? 「迷ったら困難な道をゆけ」という学校のモットーを地で行く青春を追った。

どうぞお楽しみに!