¥0で駐車場に太陽光発電所!?脱炭素に多角的に取り組むafterFIT

公開: 更新: テレ東プラス

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環境問題、貧困、ジェンダー、働き方...。国際社会は今、数多くの難題に取り組んでいます。こうした中、持続可能な社会の実現のために国連サミットで採択されたのが2016年から2030 年までの国際目標「SDGs」です。

持続可能な社会・経済を作り上げるために、日本は何ができるのか。BSテレ東では『日経スペシャル SDGsが変えるミライ~小谷真生子の地球大調査』と題し、日本の進むべき道を考えるシリーズを2020年3月からスタートさせました。

2021年11月19日の放送では、「脱炭素」について多角的に取り組むafterFITを紹介しました。

注目集める0円カーポートのビジネスモデル

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日本の狭い国土の中で、太陽光発電を普及させるにはどうしたらよいか。新たなビジネスモデルが生まれています。ホームセンター「ケーヨーデイツー」の駐車場でその工事が始まっていました。

「太陽光パネルが載ったソーラーカーポートを造っています。屋根の部分が太陽光パネルになります」(afterFIT工事チームの妹尾淳弘さん)

グリーン電力「しろくま電力(ぱわー)」を展開するafterFITが手がけるソーラーカーポートは、太陽光パネルを屋根代わりにしたユニークな駐車場です。パネルを支えるのは後方の柱のみ。車が出入りしやすく、ドアの開閉にも邪魔にならない構造になっています。

「お客さん(店舗)の土地を借りて、発電所はafterFITで建てる。電力を買い取ってもらうビジネスモデルで、工事に関しての負担はありません」(妹尾さん)

ケーヨーは駐車場の場所を貸して、そこにafterFITが無償で太陽光パネルを屋根にしたソーラーカーポートを造ります。その代わりに、発電された電力をケーヨーが買い取る仕組みです。

ケーヨーがこのソーラーカーポートを選んだわけはどこなのでしょう。

「雨が降ってしまうと、通常の約3割程度お客様が減ってしまいます。今回のソーラーカーポートで駐車場に屋根ができますので、お客様の利便性が向上して、集客効果を期待しています。電気代は年間で数%のコスト削減になります」(ケーヨーの常松久訓さん)

ソーラーカーポートを設置することで、ケーヨーデイツー八掛店の電力の約4割をまかなえるといいます。

駐車場で発電するというユニークなビジネスを始めたafterFITの谷本貫造社長は「2012年からFITが始まり、この9年間で日本中の発電所に適した土地は、ほとんど造られてしまいました。不動産的にもすぐ造れるようなところはなかなかありません」と話します。

2012年に始まった再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)。それ以降、全国で太陽光発電所の建設が加速し、低コストで作れる広い土地はほぼ開発し尽くされたといいます。そこで目を付けたのが、工場や店舗の大型駐車場でした。

「衛星データをAIで、駐車場のみディープラーニングし駐車場を判別していきます。駐車場にカーポートを無料設置して、お客様にとってはカーポートが無料で手に入る」(谷本社長)

AI(人工知能)を活用して発電に最適な駐車場を選別し、独自の工法で低コストを実現し0円カーポートのビジネスモデルを作り上げました。

「我々には発電所を造るコストになるが、その発電所がお客様にとってもカーポートという形でメリットがある。Win-Winという形ができます」(谷本社長)

既に大手量販店などから引き合いがあるといい、今後は駐車場を有効活用した太陽光発電所が広がるかもしれません。

脱炭素を解説する動画が好評

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ソーラーカーポート以外にも、afterFITの脱炭素を解説する動画サイトが企業関係者に注目されています。

afterFITの前田雄大CCOは、去年6月まで外務省で気候変動担当をしていた元外交官です。去年10月に始めた動画配信チャンネル「エナシフTV」は1年足らずで登録者数が約4万人になりました。

「ビジネスに結び付く形で『脱炭素』という概念が出てきました。なんだこれはとなったときに、情報収集の場としてYouTubeがあった。セミナーもこの秋から急増しています」(前田CCO)

この日、前田CCOが自宅から臨んだのはオンラインセミナー。脱炭素でにわかにクローズアップされたTCFDを取り上げました。TCFDは「金融安定理事会」が設置。気候変動がもたらす財務状況の開示を提言するもので、オンラインセミナーには否応なしに気候変動への取り組みを求められる企業50社が参加しました。

前田さんは、企業がいま何に備えなければならないかを発信し続けています。

東京・品川区にある青稜中学校・高等学校。集まったのは全国でも珍しいSDGs部の部員です。この日、前田さんは特別授業に出向きました。人気アニメのキャラクターに扮する熱の入れようです。

「世界はCO2は悪い。CO2は悪者だという結論を出した。このままいくと、地球環境がやばくなる」(前田CCO)

脱炭素がいかに重要かを熱く語る前田さん。生徒たちも次第に引き込まれていきます。

実は青稜中学校・高等学校では、12月から電力を全てafterFITのグリーン電力「しろくま電力(ぱわー)」に切り替えます。

同校の青田泰明校長は「子どもたちから太陽光で、学校の電力を賄えないのかと提案されました。ただソーラーパネルは自分たちでやると高い。授業だけでなくて、彼らの未来を作っていかなければいけないとなったときに、afterFITの『しろくま電力』は学校に親和性が高かった」と話します。

この日、青稜中学校・高等学校の生徒が訪れたのは茨城県那珂市にある那珂ソーラーパーク発電所。大和証券グループが全額出資し、afterFITが開発、建設を担ったメガソーラーです。

敷地面積は東京ディズニーランドの1.4倍。自分たちが使うことにもなるグリーンエネルギーの現場を目の当たりにして、生徒も興奮気味です。未来を担う子供たちにも、脱炭素の芽が育ち始めています。

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