感染から観客を守り、子どもたちに感動を! 広島随一の進学校、広島学院の生徒たちが挑んだコロナ禍での”有観客”文化祭

公開: 更新: テレ東プラス

歴史や校風、卒業生のネットワークまで、名門校の知られざる姿を通してその秘密に迫る「THE名門校!日本全国すごい学校名鑑」(BSテレ東 毎週月曜夜10時)。「名門とはいったい何か?」常識を打ち破る教育現場に密着する。

今回の主人公は、戦後の広島県に設立された私立の男子校「広島学院中学校・髙等学校(以下、広島学院)」で文化祭を指揮する文化祭実行委員長の土岐直弘くん(高校2年生)と仲間たち。非常事態下での行事を通じて皆の力を合わせることの難しさを実感し、、懸命に尽くす精神を育む若きリーダーたちに密着した。

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中国地方最大の都市・広島市にある広島学院中学校・高等学校は私立の中高一貫男子校。東大や京大、その他大学の医学部などへの高い進学実績を誇る、県下有数の進学校だ。

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創立は1956年。「被爆後の広島を教育の力で励ましたい」と願ったキリスト教イエズス会の神父たちが立ち上げた。

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勉学だけでなく、他者への奉仕の精神を養うことも、広島学院の教育の大切な柱。そんな建学の精神を受け継ぐ生徒たちが、この秋、動き出した。コロナ禍の影響で昨年(2020年)の文化祭は無観客で開催したが、今年は有観客での開催に挑む。

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文化祭を取り仕切る実行委員は、中学生と高校生を合わせておよそ60人。役割を振り分けるのが、実行委員長である土岐くんの大事な仕事だ。ところが、人手不足のため作業は混乱を極めていた。文化祭まで1週間と迫り、慌ただしさが増す中、冷静に指示を出す土岐くんにも焦りの色が見える。

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土岐くんは高校1年生の3学期に、文化祭の実行委員長に立候補した。実は広島学院への入学を決めたのも、文化祭が深く関係していたという。

「小学6年生の時に来た広島学院の文化祭がすごく楽しくて、雰囲気が良かった。できることを精一杯やって、みんなで楽しみ、お客さんにも楽しんでもらえれば」と語る。文化祭の楽しさが土岐くんの入学の決め手になったように、今の小学生にもその感動を味わってもらいたい。そんな思いから文化祭を自らの手で作り上げ、一般客を入れることにこだわっていた。

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最高の文化祭にするため、心強い仲間たちも集まった。

文化祭3日前。文化祭に向けて総勢約1000人の生徒が一斉に行う「大備品移動作業」が行われた。土岐くんが責任者に任命したのは文化祭執行部の同級生、山本悠雅くん。「大備品移動」とは教室の机とイスを運び出し、文化祭に必要な備品を搬入する作業のこと。移動にあてられた時間は4時間。予定通り進まないとその後の準備に遅れが生じてしまう。山本くんの仕切りの腕が試される。

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「土岐もなんとしてでも観客を入れてやりたいと言っていたので、あいつについていく」と話していた山本くん。作業は滞りなく完了し、土岐くんの期待に見事応えることができた。

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文化祭執行部の総務担当・豆田凛太朗くんは、縁の下の力持ち的存在。実は、土岐くんも見落としていたある大切なことに気がついた。展示を行うサークルが感染対策用のパーティション(仕切り)を必要としていたが、必要な枚数は100枚以上。一般的にはアクリル板を使うところだが予算内に収まらず、考えた末、安価なフィルムを使うことになった。しかし、フィルムでパーティションを作るのは例年にはない作業。実行委員の手が回っていないことに豆田くんが気づき、率先して作業にあたっていた。

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念には念を入れて取り組まなければならないのが、新型コロナウイルスの感染対策。その重要任務に欠かせないのが、文化祭執行部の実行委員で生徒会副会長の矢野達也くんだ。話術に長け、文化祭のオープニングセレモニーの司会も務める矢野くんは、感染を防ぐ水際対策の要である入場受付を担当。普段は不安など口にしない矢野くんだが、今回ばかりは自分の仕事の重大さを感じているという。

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本番前日、受付をするテントでの予行練習。検温の手順をはじめ、来場者にどのように対応すればいいのか、模擬訓練をして課題を検証していく。いざやってみると丁寧な案内ができないメンバーも。その様子を見て、危機感を覚えた矢野くんは、来場者に不快な思いをさせないよう、丁寧な対応を心がけることを徹底指導。名簿に載っていない人や、体温が基準より高い人は、先生が待機する場所まで誘導することも決めた。

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文化祭の今年のテーマは「意気衝天」。準備も大詰めとなり、実行委員長の土岐くん自らポスターを貼る。「『意気込みが天を衝くほど激しいこと』という意味で、やる気を失うことなく、そのままの勢いを持って文化祭をできたら」と、テーマに込めた思いを語ってくれた。

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ついに、広島学院の文化祭が幕を開けた。予行練習のおかげで、入場受付は順調なようだ。来場者をスムーズに誘導できている...と思いきや、トラブルが発生。校舎への道と受付が離れているため、受付を通らずに来場した一般客がいたことが発覚したのだ。

その事態を知った土岐くんは、すぐに職員室へ走り、受付の手続きを済ませていない来場者に呼びかけることに。感染防止のためには、上演中のバンドや演劇サークルの迷惑になることもやむを得ず、校内一斉放送に踏み切った。

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一難去ってまた一難。今度は人気のゲームサークルの周辺が"密"になっていると聞き、急いで駆けつけた。現場を見ると、大勢待っている場合は一般客を優先する決まりだが、学院生が多数並んでいた。土岐くんはすぐに学院生の受付を打ち切るよう指示を出した。"密"になって地元の小学生などに感染の危険が及んだり、出し物を楽しんでもらえなかったりしたら、招待した甲斐がなくなってしまう。

今年の文化祭はコロナ禍で来場者への配慮がより一層重要になることもあり、広島学院が培ってきた「他者への奉仕の精神」を発揮する絶好の機会。土岐くんが小学生の時に文化祭で得た感動を、再現することはできたのか? そして催しと感染対策に対する来場者の反応は...一般客や、来場した子どもたちの感想はぜひ番組で!

番組では他にも、文化祭オープニングセレモニーの様子や、後夜祭での土岐くんのパフォーマンスなどを紹介する。

12月6日(月)夜10時放送! 「THE名門校!日本全国すごい学校名鑑」(BSテレ東)は、「静岡・焼津水産高校...一本釣り漁師になる!17歳で進路を決めた理由」と題して送る。

今回紹介する学校は、静岡県立焼津水産高等学校。平成26年度に文部科学省が実施した「スーパー・プロフェッショナル・ハイスクール」指定校で、社会の第一線で活躍できる職業人を育成している。養殖や食品加工の実習にも歴史があり、1カ月に及ぶ乗船実習ができる数少ない学校でもある。同校で寮生活を送るのが岐阜県出身の東和希くん、3年生だ。

寮生は特に海へのこだわりが強いというが、東くんに入学した理由を聞くと意外な答えが...。15歳で親元を離れ、焼津水産高等学校で自分の生きる道を見つけたという東くん。彼が決断した将来とは?

どうぞお楽しみに!