モノが売れない時代に続々登場!「売らない店」の秘密:ガイアの夜明け

公開: 更新: テレ東プラス

12月3日(金)に放送された「ガイアの夜明け」(毎週金曜夜10時)のテーマは「売れない時代に"売らない店"の秘密」。新しい時代にマッチした、販売を目的としないショールーム型の"売らない店"。果たしてどんなビジネスモデルなのか...その秘密を探る。

有名百貨店が乗り出す「売らない売り場」その秘密とは?

東京駅の八重洲口に直結する「大丸東京店」。周辺は日本屈指のオフィス街とあり、地下1階、地上13階の巨大な売り場には、仕事帰りの人たちも多く訪れる。しかし、今やほとんどのモノはネットで買える時代。コロナ禍もあり、百貨店の売り上げはネット通販の3分の1ほどに縮小。強い危機感を持つ「大丸東京店」は、これまでにない売り場を10月にオープンさせた。その名は「明日見世」。明日売れる、今後ブレイクが期待される商品を集めた売り場で、19のブランドが手がけるアパレル商品やコスメが並ぶ。

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特徴は、新たな売り方。マニキュアに興味を持った30代の女性客は、実際につけて試せるテスターを利用して「これ買います」。しかし、店には在庫なし。店員は女性にブランドの通販サイトを案内し、商品はネットで買ってもらう。「大丸」はブランドの商品を置き、接客をしながらお客さんが体験する場を提供。ブランドからは出展料を得ている。これが「売らない店」の仕組みだ。

ネイルを中心とするブランド「ANDIZUMO(アンディズモ)」の商品を案内するのは、アンバサダーと呼ばれる大丸が誇る接客のプロ。ここのマニキュアの他にはない特徴は、ぬるま湯につけるだけ、除光液なしで剥がせるというもの。確かにこれは体験しないとわからない。

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「ANDIZUMO」(大阪市)を運営する会社「エル」は、社員7人の小さな会社だ。3年前にブランドを立ち上げた木村一恵社長は、「商品に自信はあるが、資金的なこともあり、実店舗ということは全く考えていなかった」と話す。

商品を販売するのはほぼ自社の通販サイトのみで、ここ半年間の売り上げは約1000本、売り上げアップが課題だった。そんな中、「明日見世」から声がかかり、デパートで全商品を見てもらえるチャンスがやってきたのだ。
「大丸東京店」に出展して1ヵ月、ネイリストによる体験会に現れたのは、お揃いの服を着た木村社長御一行。果たして、ネイルを体験したお客の反応は...?

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シリコンバレー発「売らない店」有名企業からベンチャーまでが頼る"売れるため"の手法

去年8月にオープンした「b8ta(ベータ)有楽町店」。店内に並ぶのは、AIのロボットペットや、会話が瞬時に文字化されディスプレイに映し出されるモニターなど、国内外の企業が開発した次世代の家電やガジェットなど100アイテムほど。この店も売ることを主目的にしておらず、展示品の半分はまだ実際に市販されていない製品だ。

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ここの特徴は、店内に設置された22のカメラだ。AIを駆使した顔認証技術で来店した客の年齢層や性別を瞬時に判別。さらに天井に取り付けられたカメラでお客の行動を分析する。お客が5秒立ち止まれば、興味ありとカウント。様々な分析を重ね、製品に対する客の興味を可視化する。
店内には「ビデオ映像は個人が特定されないようにデータに加工」、撮影の目的は「製品やサービスの改善に利用する」と表示されている。データは出品した企業に提供され、その後の開発に生かされる。

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「花王」が最近売り出したスキンケア家電も出品。「花王」独自の技術で肌を覆う透明な膜は、美容液の成分や水分を保ってくれる。

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女性をターゲットに開発されたが、「ベータ」で分析した結果、興味を持ったお客の2割近くが男性。これには「花王」も驚きを隠せない。

アメリカのシリコンバレーが発祥の「ベータ」。いち早く試作品を店に出し、客の反応を見ながらものづくりを進めるのがシリコンバレー流で、「ベータ」はその典型。「ベータ・ジャパン」代表・北川卓司さんは、「日本のものづくりは、かなり時間かけて完璧にできたものを店頭に並べる。そういう意味では(シリコンバレーとは)スピード感が違う。ベータのようなプラットフォームを活用してもらい、日本のものづくりやスタートアップをサポートしたい」と話す。

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「ベータ」に熱い期待を寄せる企業のひとつが、全国に226店舗を展開するホームセンター大手の「カインズ」。売り場にあったのは、発売から5年で90万本売れた「立つほうき」(1本1280円)。しかしこのところ、売り上げが2割ほど減っていた。「立つほうき」の生みの親、「カインズ」商品本部・渡辺大輔さんは、「どうしたらさらに売れるのか」そのヒントを探ろうと、「ベータ」への出品を決めた。売れない理由を探り、改善点を見出すことができるのか。

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さらに「アックスロボティクス」というベンチャー企業が持ち込んだのは、開発中のロボット枕「ピックス」。まだまだ試作品の段階だが、いち早く一般の人々の反応を知りたいと出品することに。しかも月300万円という特別なスペースに展示して勝負をかける。

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「ベータ」が次に挑むのは...「食」を売らない店

11月、「ベータ」は渋谷に国内3店舗目をオープンさせた。初の試みとなる"食"を扱う体験型ストア「b8ta 渋谷店」。北川さんは自ら出品してくれる企業を探してきた。その一つが老舗調味料メーカー「ミツカン」。食が体験できる店舗というプレゼンに興味を持ったのは新規事業担当・長岡雅彦さん。長岡さんは、「ミツカン」が開発したこれまでにない麺「ZENBヌードル(ゼンブヌードル)」を新店舗に出品することに決めた。黄エンドウ豆を全部使った世界初の麺で、小麦粉を一切使わないグルテンフリー。ラーメンや焼きそばなど色々な麵料理に応用できる。

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「ミツカン」では、2年前から野菜を丸ごと使った「ZENB(ゼンブ)」という食品ブランドを展開。しかし現在はネット販売のみで認知度が上がっていなかった。そこで、渋谷の新店舗で体験してもらい、アピールしようというのだ。

11月15日、いよいよ「b8ta 渋谷店」がオープンした。長岡さんと北川さんが遠くから見守る中、お客が早速「ZENBヌードル」を試食。試食した代わりにスマホでアンケートに答えてもらう仕組みになっている。売らない店で見つける売れるためのヒント...果たしてどんな結果が導き出されるのか。

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