大量リストラ、電力不足の懸念...EVシフトで何が起きる!?自動車産業はより良いミライへ走っているのか!?

公開: 更新: テレ東プラス

5枚の基盤で走るテスラ

本題に戻ります。テスラを分解すると、モーターとインバーターの電池パックに基盤3枚。さらにテスラの特徴である自動運転があり、これでほぼ車が動いています。基盤が5枚あれば自動車ができる。「このユニットを使ってサイバートラックとか、次の車種展開がものすごくやりやすくなるってことです」(狩集さん)。すごいですね。

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猪瀬さんは、東京都の副知事時代、2010年に日産リーフに試乗。「そこから日本は何やってたの」と投げかけると、狩集さんは「テスラは電気自動車ありきで作った車。今までの資産がある自動車メーカーがこれを真似するっていうのは難しかったかなと思います」と話します。モノづくりの発想が全く違うんですね。

入山さんは「モジュラーとインテグラっていう製品設計の考え方があって、インテグラルっていうのはいわゆる擦り合わせ型っていうんですけど、車全体トータルパッケージですごく細かくコーディネートするからこそ、車というのは効率よく走るんだと。これ、今の既存の自動車の発想なんですよね。日本って非常に擦り合わせがうまいから、自動車は強かったとよく言われている。一方のモジュラーという発想はパソコンやスマホみたいに、いろんなのものが組み合わさっているわけです」と解説します。

今はまさに自動車がモジュラー型に変わっていくという段階。テスラは5枚の基盤で制御してしまうので、その先のモーター、アクチュエーターやワイパーとかはどこの会社の部品を選んでもいい。「どこの会社のものであってもつければ動くっていう仕様にしてしまったところが驚きです」 と狩集さん。

優れた設計思想にイーロン・マスク氏のビジネス感覚が加わります。彼は昼間に駐車場に眠っているのがもったいないと考え、自動運転の装置を入れました。眠っている間はタクシーとして自動で貸し出すというプラットフォームを思いつきます。収益が自動車のオーナーに落ちる。つまり車を投資対象にしようとしたのです。走ってお金稼いできて、そのプラットフォーム利用代を抜き、テスラが収益を上げるというビジネスモデルです。

ちなみにマスク氏は、数年前にこのビジネスモデルをぶち上げていて「2021年には100万台のロゴタクシーが走っている」と豪語していました。しかし、まだ一台も走ってないです…。

「テスラのすごくいいところはEVである前にめちゃくちゃかっこよくて魅力的なクルマであるということですね。そこにEVだっていうプラスアルファの魅力があります。やっぱり街を走っているのを見てもかっこいいなって思うじゃないですか」と岡崎さん。猪瀬さんが「それ大事だよねぇ」と同意し、初めて2人の意見が合致します。

猪瀬さんが続けて「未来のライフスタイルがあるということで、基本的には気候変動に対応しているってことが一番です。充電して停電した時にまた電気が戻ってくるような考え方をしている。石炭や石油を使わなくてもいいという考えを世界に伝える。燃料代がタダである世界を目指してくのが2050年カーボンニュートラルの世界です」

狩集さんも「テスラはそこを考えて、太陽電池もやってるし、蓄電システムもやっています。アーキテクトを組んで、将来こういう世界にしなければいけないから、我々はこういうことをやる。EVを走らせて、ソーラー電気を貯めてその電気をまたEVに使えるようにするっていう、そういうところをうまく作って、クールに見せている」と補足しました。

日本の進むべき道は

テスラがこれだけやっている中で、日本もEV化に突き進むべきなのでしょうか。電気自動車に欠かせないリチウムバッテリーの話題に移ります。
リチウムバッテリーの生産力を見ると、パナソニック以外は中国や韓国勢が上位を占めています。猪瀬さんが乗っているテスラも中国製のバッテリーを積んでいます。

中国のEVマーケットというのが大きくなるにつれて、バッテリーもメーカーも中国に集まります。逆に将来、日本が電気自動車を出しても電池は中国とか韓国から輸入しないといけないかもしれません。

岡崎さんは「電気自動車のうちコストのバッテリーが40%ぐらい占めます。エンジンやトランスミッションだとだいたい22、23%。ですから、もっと高いものが中国からどんどん入ってくるってことは、日本の自動車産業のGDPって言うと62兆円あるんですけれども、そのうちの40%が中国に行ってしまって、日本の経済大丈夫なのっていう議論は確かにある」と危惧します。

日本にも大手のバッテリー企業があります。なぜこんなに差がついたのでしょうか。中国がめちゃくちゃ強い産業政策を実行したからです。ファーウェイの5Gに、政府が8兆円の補助金をつけていた。それと同じことがバッテリー業界にも行われていたのです。自国内で生産するため、海外の技術者を呼び、相当の補助金を入れて国としてバッテリー産業を強力にバックアップしているのです。

日本には思想がない!

なぜ日本は、このような政策をやらないのでしょうか。猪瀬さんは「日本の自動車メーカーが『これからEVの時代だ』と叫んでないから」と指摘します。ハイブリッド車が誕生したのはもう20年以上も前。それに固執しすぎたのでしょうか。

猪瀬さんは「やっぱり思想なんですよ。持続可能性とはなんぞやっていう議論が日本で行われないわけだよ。経営者だけじゃなくて消費者、あるいは官僚やメディアが持続可能性とはなんぞやという議論をしていれば、おのずからそういう方向でてくるんだけれども、単なる短期的な経営判断しかないから」 と主張。

盛り上がる議論に静まり返るスタッフ。日本の自動車産業の未来とは?ーー

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