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公開: 更新: テレ東プラス

海苔を愛するイギリス人男性が、最高級岩海苔の収穫を初体験

続いて紹介するのは、イギリスに住む、「海苔」を愛してやまないファーガスさん。

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海苔は、年間64億枚も生産されるニッポンの国民食。保存が効き、栄養価が高いことから昨今の巣ごもり需要で熱い注目を浴びています。しかも海苔には、日本食に欠かせない3つの旨味成分、昆布のグルタミン酸、椎茸のグアニル酸、鰹節のイノシン酸が全て入っており、ニッポンでは縄文時代から食べられていたそう。

30年前から山や海の食材をとって自給自足の暮らしを始めたファーガスさん。ニッポンにはまだ一度も行ったことはありませんが、インターネットを頼りに、独学で海苔作りに挑戦しています。

海苔をどのようにして作っているのか見せてもらうと……向かったのは、車で2時間のジョス湾。イングランド南東部には潮の満ち引きが大きい海岸が多く、光合成と海の恵みを交互に受けて、良質な海苔が育ちやすいのだとか。ファーガスさんは、毎日午前中の引き潮の時間に、ポルフィラアンビリカリスという種類の海苔を収穫しています。

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収穫後は、海岸から近い場所にある実家で海苔の砂を落とし、1時間ほど茹でてミキサーにかけます。取り出したのは、紙を漉く木枠。そもそも海苔が四角いのは、四角い木枠に入れて作ったのが始まり。江戸時代、浅草紙の紙すき技術を活かし、海苔を四角い漉き型ですくい取って乾かす技法が誕生しました。ファーガスさんは昔ながらの製法を守り、約10分乾かした後にガーゼで挟み、プレス機で固定。日陰に置くこと2日間で海苔が完成!

完璧に見える海苔作りですが、「私の海苔は、ニッポンのものと比べて歯応えがなく、パリッとしていないんです」という悩みがあるそう。そんなファーガスさんをニッポンにご招待! 5年前、初来日を果たしました。

日本に到着するなり、空港の売店でおにぎりを購入。このために機内食を我慢していたそう。「なんて丁寧な包装なんだ! これなら海苔がいつでもパリパリですね!」と、フィルムに包まれたおにぎりに感動します。

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向かったのは、島根県出雲市にある十六島町。日本最古の天然岩海苔「十六島(うっぷるい)海苔」が作られています。1200年以上前から朝廷に献上されていたという十六島海苔は、江戸時代に編纂された百科事典「和漢三才図会」にも載っており、「海苔の中でも最も珍品」と最高の評価を受けています。江戸時代には金と同等に扱われ、現在でも100g1万円以上で取引されることもあるとか。

今回お世話になるのは、樋野峰夫さんと美保子さんご夫婦。十六島町でも18軒しかないという十六島海苔の漁師さん。自宅近くにある加工場で、機械を一切使わず、12代に渡って十六島海苔を作っています。ここ数日は、晴れの日が続いているのに1週間も収穫ができていないそうですが、とりあえず収穫場所に向かうことに。

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海苔の収穫なのに、やってきたのはなぜか樋野さんが所有する山。道中、野草ガイドが本業のファーガスさんはヒラタケを収穫する場面も。山道を進むこと20分、「島」と呼ばれる十六島のりが自生する岩場に着きました。十六島町にはこの「島」がいくつかあり、代々個人の所有物として受け継がれています。ファーガスさんは「こんなに険しい場所で収穫されているとは思わなかったです」とびっくり。

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波が穏やかな日には、岩肌が十六島海苔で漆黒に覆われるという「島」。この日は収穫ができるようで、早速海苔を摘ませていただきます。「こんなにツヤがある海苔は見たことがない!」と大興奮。樋野さんによると、海苔が生えたばかりでアブラがのっているのだとか。摘み取ってもすぐに新しい海苔が生え、一晩で約5cm成長し、3日ほどで収穫できるそう。

採れたての十六島海苔をそのまま口にし「美味しすぎます!」と感激します。この地は、波が絶え間なく寄せては引き、太陽の光を遮るものがない絶好の環境。海のミネラルを吸収して光合成を繰り返すことで、最高の風味が生まれます。と、ここで波が押し寄せ、急いで岩場から避難。漁師さんたちは、収穫ができる12月から3月まで、わずか4ヵ月の間に、荒波と戦いながら貴重な海苔を摘み取っているのです。

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こうして摘まれた海苔は、海苔簀(のりす)とよばれる簀(すのこ)にそのまま貼っていきます。ファーガスさんは採った海苔を液状にして加工していましたが、それでは海苔の繊維が切り刻まれてしまい、パリッとした食感が出ないことに気づいた様子。「細かくしたら食感が生まれないんですね」と納得しました。海苔を貼らせていただくと、「手つきがいい」と樋野さん。通りすがりの漁師さんにも「上手だにゃ!」と褒めていただきました。

貼り付けた海苔は、一晩陰干しにしてツヤを出します。一晩経ったものを見せていただくと、まるでゴムのように頑丈に! これを数日乾かせば、抜群の食感と風味を持つ、最高級の十六島海苔が完成します。

その後、ファーガスさんのために、美保子さんが十六島海苔を使った料理を作ってくださいました。島根県仁多産のもち米を使った「仁多もち」に十六島海苔をまぶし、鰹節で取った出汁をかけた「十六島海苔雑煮」。十六島海苔だけで出汁を取り、ごぼう、里芋、白カブなど季節の野菜を煮込んだ「のり筆」も振る舞っていただきました。ちなみにのり筆の海苔を箸で持ちあげると、海苔が筆の先のようになるそう。

「十六島海苔に甘みがあるせいか、餅とすごく合いますね」。人生で初めての餅も味わいます。のり筆もいただき、「すごく喉越しがいいです」と絶賛。「ご夫婦で仲良く海苔を作っていて本当に羨ましいです」。彼女と別れたばかりのファーガスさんは「しばらく海苔が恋人です!」と笑い、樋野さんと「ウィーラブシーウィード!」と盛り上がりました。

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別れの時。「荒波の中、体を張って海苔を摘んでいる姿に心を打たれました」と話すファーガスさんに、樋野さんご夫婦は、十六島海苔をプレゼントしてくださいました。「お二人のことを思い浮かべながら美味しくいただきます」。最後は熱いハグを交わしました。

あれから5年。樋野さんご夫婦は、今も元気に海苔作りを続けています。そしてファーガスさんは、帰国後も日本での経験を活かして海苔作りを継続。新しい彼女もでき、幸せに暮らしているそうです!

11月15日(月)夜8時からは、ゲストに船越英一郎、森泉を迎え、月曜プレミア8「世界!ニッポン行きたい人応援団」【ご招待で人生変わっちゃった!】を放送!

「伝統的なサバ料理を学びたい!」
“しめサバ”を愛するイギリスのジャックさん。京都で1781年創業の老舗「いづう」で創業当時から続く“サバ姿寿司”の作り方を教えていただく。分業制ですべて専門の職人により丁寧に作られる様子を見て感激!
そして、伝統のサバの一本釣り漁に同行するため鹿児島県屋久島へ!しかし、思いもよらない展開が…あれから3年半!驚きの進化が!

「ニッポン伝統の大工道具を学びたい!」
“宮大工”を愛するアメリカのベンさん。
450年の伝統をたった一人受け継ぐ“のこぎり”職人の元へ。“切れるのこぎり”作りの極意を学ぶ!
さらに、世界遺産「姫路城」の平成の大修理を請け負った390年続く“大都流”を継承する西嶋工務店に弟子入り!高野山で建築中の「護摩堂」。そこで1000年先まで残る“垂木切り”を任される!果たして…。

どうぞお楽しみに!