withコロナでも絶好調!”安くて旨い”鮮魚店「角上魚類」の大改革:ガイアの夜明け

公開: 更新: テレ東プラス

11月12日(金)に放送された「ガイアの夜明け」(毎週金曜夜10時)のテーマは「withコロナ 繁盛店の新戦略〜人気鮮魚チェーン『角上魚類』〜」。
コロナ禍で勢いを増す人気鮮魚チェーン「角上魚類」の大改革に密着。新たな時代に入った小売り現場の今を描く。

凄腕バイヤーたちの奮闘 魚を求めて西へ!

新潟を拠点にし、関東圏などに22店舗を展開する「角上魚類」。日本人の魚の消費量が減る中、「角上魚類」は売り上げを伸ばし続け、年商は400億円に迫る。
人気の秘密は、新潟から高速道路を使って当日のうちに届く新鮮な魚。安くて種類豊富な品揃えが客を呼ぶが、現場はいくつかの悩みを抱えていた。

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「角上魚類」で一番の売り上げを誇る「角上魚類 小平店」(東京・東久留米市)は、開店と同時に客がなだれ込むみまるで市場のような雰囲気。売りは約60種類にも上る鮮度抜群の魚。しかも、高級魚のアマダイが1匹350円、ヒラアジは5匹200円という破格の安さ。店内では無料で魚を捌くサービスもあり、車で1時間以上かけて来店する客も。

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繁盛店を仕切るのが店長の川﨑真論さん。魚の鮮度には特にこだわり、「見せ方は大事。鮮度感があるように見せていかないともったいない。いい魚を安く入れてもらっているので」と話す。

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「角上魚類」の拠点は日本海に面した古くからの港町、新潟・長岡市の寺泊にある。朝6時には日本海の魚を満載したトラックが次々と出発。関越自動車道を使い、全店舗に配送する。朝出れば午前中に届けられるため、その日の朝に水揚げされたものが店頭に並ぶ。これが鮮度抜群の理由だ。

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人気の秘密はほかにも。売れ行きが悪かったホウボウは刺身に、小ぶりのイワシは開きにしてフライに。店長の判断で客が手に取りやすい形に臨機応変に変えることで、売り上げが大きく伸びたという。
午後7時の閉店前には、陳列ケースがほぼ空っぽ。しかし、これが悩みのタネとなっている。売れすぎて魚が足りないのだ。

「角上魚類」の本拠地がある新潟県の中央卸売市場では、5人のバイヤーが手分けして魚の入荷状況をチェックする。一方、豊洲市場(東京・江東区)にもバイヤーを配置し、新潟と豊洲で連携を取りながら仕入れる。こうして、より「安くて旨い魚」を確保できるのがこの鮮魚チェーンの強みだ。しかし、これまで通りのルートだけでは、求められる魚の量を確保できなくなっていた。

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裸一貫から「角上魚類」を築き上げた創業者・栁下浩三会長(81)は、バイヤーたちに新たな仕入れルートの開拓を命じる。

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バイヤーたちが向かったのは、直接の取引がほとんどなかった西日本。兵庫・淡路島では、一本釣りのタチウオや関東には出回りにくいアカシャエビなどを仕入れ、東京方面に送る。小平店でも評判を呼び、淡路島から仕入れる魚は「角上魚類」の新たな目玉商品になっていた。川﨑店長も「バイヤーの魚を一生懸命集めたい気持ちが伝わってくる。売る側もそれに応えなければいけない。お客に還元できればすごくいい商売ができると思う」と話す。

凄腕バイヤーたちの奮闘は続く。会長の甥で商品部長の栁下元昌さんを始め、彼らは船上にいた。さらなる新規開拓に向かい"大物"を手に入れようとしていたのだ。果たして、その大物とは?

「密」を解消できるか? 新たな取り組み

「角上魚類」は、繁盛店ゆえの課題をもう一つ抱えていた。それは、人気のあまり店舗が混雑しすぎていること。チェーンの中でも売り上げトップ5に入る「角上魚類 相模原店」(神奈川・相模原市)の吉永明弘店長は、「ありがたいですけど、"密"状態がなかなか解消できない」と話す。

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中で最も密になるのが、魚を無料でさばく「身おろし」コーナーの前。客の注文に合わせて最大6人のスタッフが手際よく魚に包丁を入れていくが、注文が殺到すると、身おろしを待つ人たちが並び、混み合う時は30分近く待ってもらうことも。
どうすれば相模原店の密を解消できるのか。「角上魚類」が選択したのは、1ヵ月以上店を閉めて行う大改装。相模原店を、withコロナの時代に合わせた店づくりのモデルにしようというのだ。

リニューアルまで2週間となった10月。吉永店長は「角上魚類 所沢店」(埼玉・所沢市)へ向かう。工事の間、各店舗に振り分けられて働いているスタッフの様子を見るためだ。
所沢店の厨房に入り、若手社員の一人、久保田弘樹さん(27)に声をかける。

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慣れた手つきで刺身を作る久保田さんは、元寿司職人。勤めていた寿司店の経営がコロナの影響で悪化したため、1年前に転職した。「角上魚類」は、久保田さんのような飲食店の従業員などを積極的に受け入れ、去年1年だけで約50人を採用している。

夢だった寿司職人を辞めざるを得なかった久保田さんだが、「包丁を持って、魚と関係のある仕事をしたいという思いがずっと心の奥底にあったので、働ける機会を作ってくれた人たちに感謝している」と笑顔で話す。

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リニューアルまで1週間となった10月下旬。番組案内人の松下奈緒が相模原店を訪れた。「角上魚類」店舗開発担当で執行役員・早瀬弘一さんの案内で店に入った松下は、広々とした作りに驚く。リニューアル前、隣には別会社が経営する青果店があり、そちらに向かうには「角上魚類」から一度外に出なければならなかった。今回の改装ではその壁を取り払い、回遊性を高めたという。

また、バックヤードにあった事務所スペースを省き、新たにまな板を設置することで「身おろし」のスタッフが最大9人まで増やせるようになった。「お客さんを待たせる時間を短くできる」と早瀬さん。

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そして迎えたリニューアルオープン当日、11月2日。withコロナの時代に合わせ、密にならない店づくりを目指した真価が問われるが、店の前には予想通り、開店前から大行列ができていた。客が殺到したため、15分早めてオープンすることに。店内には1ヵ月待ちわびていた客がなだれ込む。果たして"密"対策は功を奏するのか......。

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