<アンケート・男の脱毛>1位はどの部位?良いクリニックの選び方は?脱毛に関するウソホントを専門家に聞く

公開: 更新: テレ東プラス

yahoo_datsumou_20211030_01.jpg画像素材:PIXTA

男に体毛が生えているのは当たり前──。そうした価値観も時代とともに変化しています。いまや脱毛は性別を問わなくなり「清潔感を出すため」「将来の介護に備えて」「モテたいから」などの理由で男性にも浸透。処理する体の部位も広がっています。しかし一方で、美容サロンや美容外科に行くほどでは......との意見もちらほらと。そこで、脱毛経験のある男性にアンケートを実施し、実態を調査。結果を踏まえ、専門医に話をうかがいました。

「脱毛して良かった」が約9割、ところが...

Yahoo!ニュースの協力を得て、全国10代~50代の脱毛経験のある男性2000人にアンケートを実施(2021年9月22日〜9月26日)。まず「脱毛の理由やきっかけ」については「ひげそりが面倒だから」が39.7%と最も多く、次いで「毛深いことにコンプレックスを感じているから」が36.2%。「異性に言われて」が14.9%、「臭いのもとになるから」が12.5%と続きます。「老後に介護されることを考えて」3.3%という回答もありました。

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「脱毛して良かったと思うこと」は「手入れが楽」が57.7%と大半で、脱毛の箇所は「ひげ」56.8%が圧倒的。次いで「太もも、すね」が30.9%、「顔・首周り」が20.9%、「腕、手」が18.0%など、目に触れやすい場所が並びました。

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「脱毛して良かったと思いますか」との質問に「はい」と答えた人は9割近く。「誰に脱毛をしてもらいましたか」という質問には、77.2%の人が「自分」、26.7%の人が「エステや病院などのスタッフ」と回答。脱毛方法は「かみそり」や「除毛ワックス」を使うことが多く「ガムテープ」「ハサミ」という回答も見受けられました。これらの回答から、「脱毛はするがエステや美容外科に行くほどではない」という意識がうかがえます。

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自由回答を見ると「永久脱毛って本当に生えてこないの?」「痛そう」「肌のダメージが怖い」など、料金以外にも躊躇する理由が明らかに。
「エステサロンや美容外科で脱毛した方は、どのように選びましたか」という質問に対しては、「ネット上の口コミや評価」が14.5%、「知人の紹介」が12.5%、「予算内に収まる費用」が11.6%という結果に。

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アンケートの集計内容を踏まえ、「新宿美容外科クリニック」の総院長で新宿院責任者の井上淳医師にお話をうかがいました。

永久脱毛はまた生える?

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Q.アンケートでは「永久脱毛したのにまた生えてきた」という自由回答もありました。実際に再び生えてくるのでしょうか。

「結論から言うと、レーザーで焼いた毛根は永久に死滅するので、一生そこから生えてきません。ですがレーザー脱毛の原理上、白い毛や透明な毛の毛根に対して熱を発生させることができません。その処理しきれなかった毛が毛周期で成長して黒くなったとき、まるで再び生えてきたように錯覚してしまうのです」

Q.では、その部位を完全に永久脱毛するためにどれくらいの回数が必要ですか。

「1〜2回では難しいでしょう。例えばひげの永久脱毛なら、毛周期に合わせて10回ほどが目安になります。ただ、1度だけの永久脱毛が全く無意味かというと、そうではありません。実際に熱をあてた毛自体は二度と生えてこないわけですから。あくまで1回分の効果とお考えください」

Q.皮膚へのダメージを心配する声も多くありました。

「レーザー脱毛の場合、レーザーによって毛根のメラニン色素がミクロの小爆発を起こします。その結果、熱が発生して皮膚に点々の軽いヤケドが生じます。男性は毛根が太い分、熱が多いので、女性よりはダメージが大きいかもしれません。ですが、一般的なイメージのヤケドほどひどい状態には至りません。全身脱毛したとしても、施術後に仕事を休むほどの痛みには至りません」

Q.レーザーは痛くないのでしょうか。

「感じ方は人それぞれですが、機械の進歩もあり、初期のレーザー脱毛に比べると、今はかなり痛みがなくなっています。それでも怖いと感じる方は、蓄熱式レーザー脱毛をお勧めします。こちらは今まで話した熱破壊式のレーザーと異なり、発毛の命令を出す司令塔にダメージを与えて、毛を生えにくくする方法です。これは全くと言っていいほど痛みはなく、施術も短時間です。蓄熱式脱毛は、機械の進歩でここ4〜5年で本格的に広まりました。人によっては熱破壊式と同等の効果がみられる場合もあります」

Q.「毛を抜くと、さらに濃い毛が生えてくる」という風説を聞きます。これは本当でしょうか。

「十分に可能性のある話です。頻繁な毛ぞりや毛抜きで毛深くなるという意見は、無視できません。これは美容の仕事に携わる立場なら、うなずく人も多いはずです。毛を抜いたらその1本が再び生える際に太くなる、という単純な話ではありません。肌というのは、ダメージや刺激を受けると『そこを守らなきゃいけない』と判断し、毛を生やしてガードしようとします。

ライオンや馬には、たてがみがありますよね。あれは最も大切な脊髄を守ろうとしているわけです。同様にいつも毛の処理をしていると、人体もその部位が保護モードに切り替わる。つまり、発毛のポテンシャルが大きな場所では、刺激によって毛深くなる可能性があります。実際に、以前はオペ前に医者は頻繁に手をブラシでこすり洗いをしていましたが、たいていの外科医はその部分の毛が太く長くなっていました」

Q.アンケートによると、自身で脱毛をする場合「かみそり」のほかに「ガムテープ」「ハサミ」「除毛クリーム」を使うこともあるようです。専門家からみて注意点は?

「ガムテープはお勧めしません。肌がダメージを受けて常在菌が入りやすくなり、毛包炎につながるからです。ひどい感染を起こす場合もありますし、強い刺激を与え続けることで、毛が太く長くなる可能性もあります。自宅なら、肌に気をつけながらシェーバーで処理するのがいいと思います。除毛クリームも肌への刺激となるので、化学物質を大量に使っているものは気をつけた方がいいでしょう」

Q.美容外科やエステサロンを選ぶ際のポイントを教えてください。

「どこの施術が上手か、あるいは良心的かを判断することは、実は大変難しい。もし知人に美容関係の医療従事者がいれば、その方に尋ねるのが確実です。複数の美容外科や美容サロンで働いた経験があれば、それぞれの差がよくわかるはずです。訴訟の数も目安になるので、知り合いに弁護士がいれば聞いてみるのも一つの手です。

一番重要なのは、『創傷治癒』に通じた形成外科医が常駐しているかどうかです。創傷治癒とは、身体の組織がダメージを受けたとき、どのように治癒していくかという基礎学問です。形成外科医は打撲、切り傷、熱傷、潰瘍、感染など、あらゆる創傷の専門家です。万が一にも肌トラブルが発生したとき、創傷治癒を学んだ医者にすぐ対応してもらえるかどうかが信頼の基準になると思います」

Q.「男性の脱毛」について、専門家として率直にどうお考えですか。

「文化的な風潮は時代とともにどんどん変わります。かつては、女性でも脱毛するのに偏見を持たれた時代もあったはずです。『男が毛の処理なんか』という意見は気にせず、コンプレックスを抱えているなら、どんどんやっていただくといいと思います。脱毛の技術は効果も安全性も進化しています。性別にとらわれず、生活スタイルの一部として、自由に脱毛を取り入れていくべきだと私は考えます」

※この記事はテレ東プラスとYahoo!ニュースによる共同企画で、Yahoo!ニュースが実施したアンケートの結果を活用しています。全国のYahoo! JAPANユーザー(10代~50代以上)を対象に行い、2000人から有効回答を得ました。

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【井上淳(いのうえ じゅん) プロフィール】
新宿美容外科クリニック総院長。日本形成外科学会認定専門医。日本形成外科学会(JSPRS)正会員。日本美容外科学会(JSAPS)正会員。1992年に千葉大学医学部卒業後、千葉大学形成外科入局。以後、千葉大学および昭和大学の関連形成外科勤務。2006年から2013年にかけ都内の美容外科クリニックの院長・総院長に就任。2014年に新宿美容外科クリニックの総院長に就任。
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(取材・文/森田浩明)