中古マンションが5ヵ月連続で上昇 築46年でも”億ション”

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「麻布レジデンスサロン」が取り扱う"億ション"

不動産調査会社東京カンテイが21日発表した9月の中古マンションの平均価格は、首都圏で4305万円となり5ヵ月連続の上昇となりました。これまで販売の中心は、築10〜20年といった物件でしたが、最近は築50年以上の物件も売れていて、いわゆる"億ション"も誕生しています。背景に何があるのでしょうか。

東京文京区にあるマンション。1975年に建設された築46年、4LDK、101平方メートルのリノベーション物件です。地上14階建ての11階と高層階に位置し、窓からは東京スカイツリー、上野恩賜公園が一望できる点も魅力です。もともと押し入れだった空間は、作業机を備えた小部屋に改造しテレワーク需要に対応しました。価格は9980万円と高額ですが、需要はあると見込んでいます。

「今の家は手狭で不便なため、より便利なところで広さを設けて、築年数が古くても部屋が新築のようにきれいであれば納得という方が非常に多い」(「大京穴吹不動産」麻布レジデンスサロンの工藤純店長)

耐震性についても「旧耐震基準の物件ということをきちんとお客様には説明をしています。私どものリノベーションでの共用部分や躯体部分を強化することはできません。そうであっても便利な立地や広さに価値を感じていただいている方にご購入いただけるのではないか」と工藤店長は話します。

実は今、中古でも1億円以上という物件が増えていて、東京都での取引件数は、5年前の約3倍になっているといいます。

大京穴吹不動産は今月、東京・麻布に高額物件専門の仲介店舗「麻布レジデンスサロン」をオープンさせました。この店舗で扱う中古の億ションは続々と増えていて、築約50年の物件でも、都心であれば1億円を超える価格をつけられるといいます。

「麻布、六本木、赤坂など都心の区域に関しては、かなり活発に不動産が動いております。非常にニーズが高いと考えております」(工藤店長)

前橋駅前にも"億ション" 地元民からは疑問の声も

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前橋駅前に建設中の"億ション"

一方、マンション価格高騰の波は、都市から100キロ以上離れた地方都市にも及んでいます。群馬・前橋市の中心にある商店街には、古くから続く店が多く、昭和レトロを感じさせる味わいはありますが、人通りはまばらでまさに"シャッター街"。ところがそんな前橋駅の目の前に、高さ93メートルの高層マンションが建設されます。

群馬県庁に次いで市内で2番目の高さとなる高層マンション「ブリリアタワー前橋」は2024年に完成予定。全203戸のうち、上層階の一部は"億ション"です。既に上層階でも成約があるといいます。

気になるその中身は、18.5畳の広いリビングは前橋市内が一望できる大きな窓が特徴です。キッチンには、戸建住宅の多い前橋ではあまり見られないという生ゴミ粉砕処理機能を搭載しました。ベッドルームには、ウォークインクローゼットにテレワークができる書斎スペースまで完備されています。上層階は地元の富裕層を中心に、首都圏からの購入もあるといいます。

新幹線の止まる高崎駅から在来線でおよそ15分の前橋駅の前に完成する"億ション"。前橋市民に話を聞くと「新幹線が止まらないのでどうなんですかね」「1億円するの? 誰が入るんでしょうね」と、地元からの疑問の声が上がった一方、専門家は妥当な価格だと指摘します。

「金融緩和のもとで、地方中枢都市以外にも県庁所在地やターミナル駅至近の駅前再開発に合わせてタワーマンションの開発が増えています。資産性、ステータス性、希少性といった観点から、富裕層から人気を集めて、販売も好調です」(東京カンテイ市場調査部の高橋雅之さん)

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