初めて入った妻の仕事部屋で見つけたものは...。4カ月後に叶えた最後の夢:家、ついて行ってイイですか?(明け方)

公開: 更新: テレ東プラス

10月11日(月)に放送した「家、ついて行ってイイですか?(明け方)」(毎週月曜深夜)では、JR荒川沖駅で出会ったじゅんいちさん(49歳)のお家について行くことになりました。

今回は「大反響もう一度観たい人生ドラマ」と題して、2016年1月26日に取材した回をお届けします。終電後の荒川沖駅前でベロベロに酔っ払っていた男性に取材をお願いすると「オッケーです。来いよ~!」とご機嫌な様子ですぐさま快諾してくれました。

釣り具店を経営しているじゅんいちさん。移動中のタクシーの中で「大事にしている物は?」の質問に「家族。妻があんまり体の調子が良くない。でもね、そういうことも含めて家族が一番です」と教えてくれました。

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築(約)20年の持ち家に入ると扉がたくさん...。「人生の数だけ扉がある」と、名言が飛び出します。続いてピカピカに磨かれたキッチンについて聞くと、「綺麗にしないと落ち着かない」という答えが返ってきたのと同時に、「うちの主人公はこっちなんです」と、アルバムを見せてくれました。そこには、現在入院しているという妻・のりみさんが写っていました。

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のりみさんとは、じゅんいちさんのお店でたまたま出会ったそうで、「そこから一目惚れです。いろいろアタックしましたよ」。一番の思い出は最初のデート。「洒落た食事をおごってあげたいなって思ったんだけど、その前に『私、お弁当作ってきた』って言われて。それは効きますよ」と、満面の笑みで振り返ります。

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じつは、のりみさんは漫画家! 「仕事には関与しない。関与するとケンカしちゃうから」と、これまで一切入らなかったのりみさんの仕事部屋。スタッフに案内する目的で足を踏み入れ、「こんなになってるんだね」と驚きを隠せない様子です。

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部屋の隅に1枚のボードがありました。そこには、のりみさんのご両親の結婚写真や、のりみさんの幼少時代~結婚後の写真などがびっしり貼り出されていました。

ここで、のりみさんの病状に初めて触れます。「3年前からスキルス胃がん」...厳しい病状だと言い、「残念ながら余命はもう出てると思います。私には言ってこないけど、半年ぐらいでしょう」。のりみさんの人生が詰まったアルバムを発見したじゅんいちさんはページをめくりながら「すげーな...人生のアルバム全部作ってるよ。すごいね。こんなになっていたんだ。初めて見る」と、終始笑顔で語ってくれました...。

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「遺影候補」と書かれた写真を見つけたじゅんいちさん。「こんなになっているんだね。難しいね、つらいね。生きていた証を全部残してくれていたんだな。すごいな。俺はこんな神様みたいなことできないよ。ありがとうな。でも、まだ早いな。病院で頑張ってくれているからな」と、涙声になりながら言葉を絞り出します。

「奥様がいなくなった後のこととか考えますか?」との質問に、「考えたくはないけどいろいろ考える。1人になった俺。人生にリセットがかかった俺。でも、ひとりぼっちの俺。いろいろ考えるよ」と、じゅんいちさん。「ただ、言えることは...」と続けます。

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「楽しみをもっともっとあげたい。これから先は俺が考えること。『生きていく私(のりみさん)』っていうのをいっぱい作りたい」と、悲しみは見せず最後まで笑顔で答えてくれました。

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取材から4カ月後。のりみさんは念願だった作品展を開催。その1カ月後...天国へと旅立たれました。あらためてここに謹んでご冥福をお祈りいたします。