レタスが約2.5倍、白菜は約3.5倍に! 葉物野菜の高騰で動き出す「世界最大級の工場」<WBS>

公開: 更新: テレ東プラス

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1ヵ月半でレタスの値段が約2.5倍、そして白菜の値段は約3.5倍に

いま、野菜の価格が高騰しています。8月上旬から1ヵ月半の間に、東京都での卸売価格は、トマトが約2.1倍、レタスが約2.5倍、そして白菜は約3.5倍に跳ね上がっています。"野菜ショック"ともいえるこの状況は、8月の長雨などが要因とされています。こうした中、天候に左右されずに、LED照明などで、人工的に野菜を栽培する植物工場では、一気に需要が高まっています。

都内にあるスーパーマーケット。いつもならば、ナスがこの時期は入荷量も多く、1袋3個入りが100円ほどだといいますが、今年はなんと倍の213円。出荷の最盛期という長野県産レタスも例年の約2倍となる270円。さらに高値となっているのが白菜で、4分の1個で213円と値段が高騰しています。

産地では何が起きているのでしょうか。

レタスの生産量日本一を誇る長野県川上村。農家の由井祥平さんを訪ねると「ひょうで外の葉がダメになってしまって、もう収穫を諦めた畑です。外の破れてる葉は全部ひょうにやられたものです」と話します。8月の長雨で出荷量が激減したところに9月の季節外れのひょうが追い打ちをかけた形です。

「全体の収穫量としては、例年の6割とか半分。本当に流通するものがなくなってしまった」(由井さん)

由井さんの畑では白菜も育てていますが、レタスと同様に大きな被害を受けました。

野菜の集荷所へ運ばれてきたレタスを見ると、小ぶりなものが目立ちます。

「普通500グラムぐらいなんですが、それが200〜300グラムになっている。雨が降ったことで、根っこが痛み、肥料を吸えなくて大きくならなかった」(JA長野八ヶ岳 販売指導課の篠原康彦課長)

出荷量が例年の40%と少なく、農家の手取りも下がっているといいます。

LED照明で葉物野菜を栽培する植物工場

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LED照明を使ってレタスなどの葉物野菜を栽培する植物工場

一方、天候不順を追い風にして、野菜の生産受注を伸ばしているところがあります。静岡県藤枝市にある世界最大規模の植物工場「彩菜生活」です。昨年、東京電力など3社が共同で作った工場で、LED照明を使ってレタスなどの葉物野菜を栽培しています。

まず、ウレタン製の土台にレタスの種をまき、LEDライトを照射し、栄養剤などを与えます。サニーレタスの場合、成長するまで約1ヶ月と、露地栽培のおよそ2分の1です。長雨などの気象条件で生育状況が左右されないため、品質が安定していて、大量生産が可能です。

「グリーンリーフは葉の数が多いので、サラダなどの加工に使いやすい。サニーレタスは色のきれいなものなので彩りに使ってもらえればと思います。味は植物工場育ちなので、あまりくせがなく食べやすい」(彩菜生活の柳田淳子工場長)

泥もつかず、虫食いもないため、全部食べられるといいます。

現在、この工場で出荷している葉物野菜は1日で約3.5トン。約3万5000食が食品加工会社やスーパーなどに毎日出荷されていますが、ここ1、2ヵ月の天候不順を基に新規問い合わせが急増しているといいます。

「昼も夜も問い合わせの電話が入って大変でした。日頃と比べ、2〜3倍の問い合わせがあります」(柳田工場長)

平年の旬の価格よりは少し高めですが、季節による変動はなく、一年中通して同じです。今は企業のみの出荷ですが、将来は個人向けにも販売していきたいといいます。

「いずれ工場が安定してきましたら、個人のお客様にも通信販売などいろいろできればと夢が膨らむところです」(柳田工場長)

取材したJAなどによれば、野菜価格の高騰は今月いっぱいは続きそうですが、天候が落ち着けば、来月には平年並みに戻りそうだということです。

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