コロナ禍で厳しい見通しも...京都のホテル客室増加なぜ<WBS>

公開: 更新: テレ東プラス

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7月末時点で客室数が約5万6000室と1年前に比べて3.3%増えている京都。

秋の京都といえば、やはり11月ごろから見ごろを迎える紅葉です。新型コロナの感染拡大で秋の行楽シーズンも厳しい見通しの観光業界ですが、京都ではなぜか今、ホテルなどの客室数が増えています。なぜなのでしょうか。

京都市に16日に開業したホテル「ROKU KYOTO, LXR Hotels & Resorts」。LXRはヒルトンホテルの最高級ブランドの一つで、イギリスなど世界8拠点で展開しており、今回の京都はアジア初となります。屋外には天然温泉で一年中入れるプールがあり、部屋数は114室で1泊2人朝食付きで約11万5000円から。四季折々の景色が楽しめる100平方メートルのスイートルームは約26万円からになります。

京都市観光協会によると「コロナの感染状況の様子見をする人が多いとみられ、10月に入るまで予約状況は見えず、この秋の予約の伸びは難しい」といいます。訪日外国人客も見込めない中、なぜこのようなホテルを開業したのでしょうか。

ヒルトンホテルとフランチャイズ契約を結び、ホテルを開発した東急不動産の岡田正志社長は「インバウンド客は今失っていますが、戻ってくるのは間違いない。ラグジュアリーホテルのマーケットは我々から見ると大変魅力的です。インバウンド客が戻ってくるまでの間は国内の富裕層を中心に、基盤をしっかり固めていきたいと思っています」と、コロナが収束した後を見据えての投資で、それまでは海外に行けない日本の富裕層がターゲットになるとしています。

22年1月にはホテルオークラ京都 岡崎別邸が開業予定。2026年春には帝国ホテルが開業を予定するなど、今後も富裕層向けのホテルの開業が相次ぐ見通しです。京都市内ではコロナ下にも関わらず、7月末時点で客室数が約5万6000室と1年前に比べて3.3%増えています。

高級ホテルばかりではありません。星野リゾートは今年4月、1泊6000円からの手頃な価格帯のホテル「OMO5京都三条」をオープンさせています。もともと別のホテルでしたが、新型コロナの影響で閉業。星野リゾートが運営を引き継ぐ形で再開しましたが、現在客室の稼働率は低迷しています。星野リゾートOMO京都エリアの唐澤武彦総支配人は「魅力的なコンテンツの作成に時間を使いながら、来たるべき"回復する時"を今待っているという状況」と話します。

来月から始めるのが、近くのおばんざいの店が作る弁当の出前。密を避け、客室で過ごす客も増えると見ています。また唐澤総支配人が扮したのは、「ご近所ガイドOMOレンジャー」。スタッフさんが、ホテル周辺を案内するサービスで、唐澤総支配人が案内してくれたのは江戸時代前から創業している「吉田源之丞老舗」という仏具店。こちらでは店の歴史や仏具の解説をしています。

「数珠をこちらでご購入いただいて、翌日その数珠を持って(寺の)朝のお勤め(体験)に行かれたりですとか、京都通になったつもりで旅してもらえるような企画を用意しています」(唐澤総支配人)

今は日本人の観光客がメインのため、観光案内でもより深い、細かい内容が求められているといいます。

「目線の高い日本人のお客様をしっかり満足させることができれば、また2年、3年後なのかわからないですけれどもインバウンドの方がいらっしゃるときにより良い旅の魅力が表現できるとは思っています」(唐澤総支配人)

星野リゾートは紅葉の見ごろを迎える11月にも人気の観光地八坂神社の近くにホテル「OMO5京都祇園」を開業する予定で、京都市内では今年、3つ目となります。京都に積極的に投資し、コロナによる行動制限の緩和に備えます。

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