毎週日曜よる9時、TBS日曜劇場で放送中の阿部寛主演ドラマ『ドラゴン桜』。偏差値32で経営破綻寸前の龍海学園を舞台に、学園再建のため元暴走族の弁護士・桜木(阿部寛)が “東大専科”の生徒たちと真剣に向き合いながら、東京大学合格を目指す姿を描く本作をさらに楽しむべく、ドラマの世界観を支えるセットを作り上げる美術スタッフにインタビュー。今回は、龍海学園の教室、瀬戸屋のセットのこだわりなどに迫った。
龍海学園は元女子校だった!?
まずは、桜木先生がテントを立て住処とし、東大専科の生徒たちが東大合格を目指して勉強に勤しむ龍海学園の内装について、美術デザインを務める串岡良太郎氏に話を聞いた。龍海学園は元女子校だったという裏設定があり、内装をいろいろ研究したという串岡氏は「学校として歴史がある設定なので、重厚感のある木目調と石作りの少しレトロなイメージの躯体が今回の設定に合うのではないかと思い、イメージを膨らませました。ロケハンをして外観となる場所が決まったのですが、そこがコンクリートの外壁だったので、その質感も内装に取り入れてバランスを取っています。教室と会議室の床を全面ヘリンボーンにしたのもセットの特徴の一つです」と語る。

また、「福澤(克雄)監督から、『背景が白くならないように』と要望があったので、そのことを意識し、且つ龍海学園カラーの青との相性を考えた結果、マホガニーの木目と濃紺が、今作品の学園セットの色となりました。あと、『教室を広くしたい』というリクエストもあったので、標準的な教室より広くなっています」と教えてくれた。

「らーめん瀬戸屋」のラーメンは真っ黒!?
次に、東大専科メンバーのひとり、髙橋海人演じる瀬戸輝が姉と共に切り盛りする「ラーメン瀬戸屋」についても聞いた。外観は実際にあるお店をラーメン屋に飾り替えているということで「ロケ先のお店の外観イメージを踏襲しつつ、地元民に愛されているような町の食堂や国道沿いにあるドライブインをイメージしてデザインしました」と瀬戸屋のコンセプトについて語る。

そして、「瀬戸屋は、姉弟の両親が経営していたお店という設定なのでその経年を表現するためにエイジング加工に力を入れました。人が触れるようなところは、削ったり塗ったりを繰り返しました。特にカウンター周りのエイジングは時間をかけました」と語り、「ロケで使わせていただいている建物が店主自らの手で作られているとのことで、その雰囲気を内装にも出したいと考え、屋根をトタンにしたり、壁面をプリントベニヤ張りにするなど、どこのホームセンターでも売っている素材を躯体に取り入れることで手作りならではの温もりを表現しました。さらに厨房の中に本物の調理什器を入れているので、お店のように一からラーメンを作ることができます」とこだわりを明かした。

そんな瀬戸屋で出されるラーメンにもこだわりが。監督からの希望で、京都にある老舗ラーメン店のラーメンをイメージして作り上げているとのことだが、装飾を担当する松田英介氏は「そこのラーメンが真っ黒なスープなんです。真っ黒の醤油タレだけど、味はさっぱりしていて、九条ねぎがたくさん乗っているのが特徴。ラーメンの所作指導の方曰く、黒いスープは全国の醤油で試作品を作ってもあの黒さを出すことは難しかったようで・・・実は麺やスープ、具材などをそのお店からご提供いただいています。ドラマ上、瀬戸屋で出ているラーメンということアレンジすることを了承いただいているのですが、もやしの代わりに半熟卵を入れたくらいでほとんどそのままです」と語った。

さらに、監督のこだわりで、麺の茹で方もかなり本格的にしているとか。「ラーメン店でよく使われているのは“テボ”という手付きザルを使う茹で麺機で、正直、1玉ずつ入れられるのでこちらの方が一人前を作りやすいんですけど、手練れの職人さんがやるように、大きな鍋で麺を茹で、平ザルであげるようにしています」と明かす。
ドラマの世界観を支え、彩るべく細かいところまで丁寧に作り上げられたセットと小道具の数々。5月16日(日)に放送される第4話では、瀬戸の家庭の問題がフォーカスされるということで、物語、俳優陣の演技とともに、こだわりの詰まった「ラーメン瀬戸屋」の内装やラーメンにも注目だ。
番組概要
[番組名]
日曜劇場『ドラゴン桜』
[放送日時]
毎週日曜よる9:00~9:54