断崖に住む、200頭ほどしかいないサル
「幻のサル」といわれるサルが、ベトナムのチャンアンにいます。それはオナガザルの仲間で、「ベトナムラングール」という固有種のサル。長い尻尾と白いパンツを穿いたような独特の毛並が特徴です。

密猟などにより数を減らし、野生で確認されているのは、わずか200頭ほどであるそう。
その住処は、湿地に囲まれた岩山の一帯。蓮や葦が生い茂り、近づくのが難しい場所でもあります。垂直な壁のような岩山には、主食となる木の葉っぱもたくさん。

絶滅の危機にあるベトナムラングールたちにとって、この場所はまさに“最後の砦”です。
いくつもの顔を持つ絶景の渓谷
幻のサル・ベトナムラングールが生息する岩山を含む「チャンアンの景観」は、2014年 世界遺産に登録されました。

登録の理由は、“独特な自然景観と、太古からの人の足跡”が認められたため。
実は、チャンアンには、3万年前から人の営みがあったといわれています。かつて、一帯が海だった時、人は岩山にある洞窟で暮らしていたと考えられています。

2010年、熱帯林の中にある断崖で発見された「モイ洞窟」。そこでは、当時の人が食べた貝の殻やカタツムリがたくさん見つかったそう。
幻のサルが住むチャンアン。そこは、いくつもの顔を持つ絶景の渓谷でした。
4/11(日)の『世界遺産』
世界遺産
日曜よる6:00~