秘密① 店舗ごとに味が違う⁉
1899(明治32)年に誕生した、元祖牛丼チェーン・吉野家。実は、吉野家の牛丼は、チェーン店にもかかわらず店舗ごとに味が違っています。
その秘密は、各店舗で使い続けているタレに、工場で作ったタレを“継ぎ足し”する調理スタイルにありました。

店舗で受け継いでいるタレには、お店ごとに肉の旨味や玉ねぎの甘味が溶け出しています。そこに継ぎ足しをすることで、工場で作られたばかりのタレに比べて、カドが取れてまろやかな味わいに。

国内1199店舗(※2020年12月末時点)の中で“一番美味しい”と言われているのは、43年前に開店した東京・有楽町店。歴史が長く、また全店舗でNo.1の来客数を誇るお店です。そのため、肉と玉ねぎを煮る回数が多く、日本一旨味が溶け出した美味しいタレに仕上がっています。

ちなみに、新店舗はタレを近隣の店舗から分けてもらうそう。そのタレを引き継ぎ、旨味を足していくことで、各店舗ならではの味が作られていきます。
秘密② お肉にこだわり!
吉野家の牛丼に使用するお肉は、赤身と脂身のバランスが良い、牛のアバラの一部「ショートプレート」。甘味が強く、焼肉店では特上カルビとして出す店もあるという、日本人好みのお肉です。

アメリカから-18℃以下の冷凍状態で輸入されたショートプレートを、14日間かけて-2℃まで熟成解凍しているのも、美味しさのポイント。この過程でアミノ酸が増加し、旨味がたっぷり詰まったお肉になります。
さらに、お肉の厚さにも1.3mmというこだわりが。

1.2mmだと煮込んだときにちぎれてしまい、1.4mmだと食感が少し硬く感じられるため、牛丼にしたとき最も美味しい1.3mmにスライスしています。
秘密③ 肉の盛り付け技術を競う大会がある
牛丼の“肉の盛り付け方”にもこだわっている吉野家。従業員およそ2万2000人が参加し、76項目で審査される(※2019年度)、「肉盛り実技グランドチャンピオン」という大会も実施されています。
2019年度に優勝したスタッフは、「横盛り」という方法で盛り付けています。丼を斜めに傾けて横から盛り付けることで、ごはんにまんべんなくタレがいきわたります。

また、丼に沿うようにおたまを回し、肉がとぐろを巻くようにふわっと盛り付けることで、美しくボリュームのある見た目に仕上げています。
最後まで美味しく食べられるよう、盛り付け方も工夫されています。