何故こんなところに万里の長城が…?
『陸は終わり、海が始まる』と言われたポルトガル。
国内において、山脈の中にある町・シントラにその建造物はあります。

一見すると中国の「万里の長城」のようですが、実はこれ、「ムーア人の城跡」という世界遺産。元々は、北アフリカから侵攻してきたイスラム勢力のムーア人たちが、9世紀頃に築いたものだそうです。
全長はおよそ4kmで、ゴツゴツした岩場から直に、最大で高さ約9mの壁がそそり立ちます。

ムーア人たちから奪還してからは廃墟になっていましたが、のちの時代の王が宮殿からそれを見下ろすために、当時の姿に修復させたそうです。
王家や貴族が集まった、美しい地だった
ムーア人の城塞があるシントラ山脈の山頂には、ポルトガル王の暮らしていた「ペナ宮殿」があります。

“天空に浮かぶ城を作りたい”という思いから、約50年の歳月をかけ、19世紀に完成しました。
華やかさが際立つ色彩の城には、ドーム・塔・テラスなど、王の好みが寄せ集められています。
また、山の麓には、旧市街が広がります。

気候の良いシントラは、王家や貴族の避暑地として格好の場所でした。街には、数々の別荘や邸宅が立ち並んでいます。
ムーア人の城跡やペナ宮殿を含む「シントラの文化的景観」は、自然と一体になった景観美が認められ、1995年 世界遺産に登録されました。

かつて、訪れた詩人に「まさに地上の楽園、エデンの園」と称賛されたシントラ。その美しさは、今も確かに残っています。
2/21(日) の『世界遺産』
世界遺産
日曜よる6:00~