TBSがSDGs(持続可能な開発目標)への取り組みとして行っているキャンペーン『地球を笑顔にするweek』に合わせて、国連のグテーレス事務総長に単独インタビューを行いました。
国連のトップに直接話を聞くのは初めての機会、しかもNYの国連本部とインターネットを使ったやりとりとあって開始前は少し緊張した面持ちだったNスタの井上貴博アナ、ひるおび!の江藤愛アナでしたが、「ハロー!」と現れた事務総長の笑顔に引き込まれるように、インタビューは和やかな雰囲気で始まりました。
まずは人柄を引き出そうと、井上アナが事務総長自身が実践している身近なSDGsについて聞くと、「気候変動に加担しないように、母国のポルトガルにいるときは小さい車に乗るようにしています」という意外な答えが返ってきました。
「3人の孫たちとは、SDGsについてどんな会話をしますか?」という質問には、「我々は自分が子どもや孫たちに教える立場だと考えているが実は逆で、今は子どもや孫たちが我々に何をすべきか教えてくれます」と答えたグテーレス氏。気候変動やジェンダー平等にもっとも取り組んでいるのは若者たちで、「お肉食べすぎだよ」とか「なぜ車で行くの?自転車で行けばいいじゃない」と言われることもあると話していました。
ポルトガルの首都リスボンで副市長をしている夫人のカタリーナさんや家族とは離れ離れの生活ですが、インターネットで頻繁に連絡を取り合っているといいます。江藤アナが「ご家庭では奥さまとどちらが主導権を握っていますか?」と聞くと、「両方です」と即答。「秘訣は共通のリーダーシップ。平等であることと、互いを尊重することです」と述べ、日本でも女性の地位向上、政界や実業界への参加など「ジェンダー平等」が進むことに期待感を示しました。
気候変動については、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにするという日本政府の方針を歓迎する一方で、実現のためには「政府、すべての国民、産業界も関わる動きです。まだやるべきことはたくさんあります」と述べ、「日本には気候変動で最前線に立ち、世界でリーダーシップを取って欲しい」とエールを送りました。
また、新型コロナウイルスについて井上アナが「コロナ禍にあってSDGsはどうしても後回しにされがちなところがある」と指摘すると、グテーレス氏は「ウイルスと闘うためには国際的な協力が重要だ」と強調した上で、「“コロナ後の世界”をより良いものにするためには、様々な課題に同時に対処するSDGsの考え方が鍵になる」と述べました。
「私が伝えたいのは希望です。世界は難しい事態に直面していますが、私たちは人間の粘り強さと勇気を目にしてきました。そうした力で、地球を守る持続可能な社会を実現しましょう!」
終始穏やかながら、熱のこもった語り口が印象的だったグテーレス事務総長。最後に井上アナが「私たちが背中を押された気持ちになりました」、江藤アナが「〝誰ひとり取り残さない″時代になったねと言える日が来るのを待ちたいと思います」とあいさつをすると、満面の笑顔で「アリガトウ」と応じ、30分余りに及んだインタビューが終了しました。
記者会見や演説では見られない、グテーレス事務総長の素顔も垣間見ることが出来た、貴重なインタビューとなりました。