動物の集う湿地帯
アフリカ・ボツワナ共和国には、世界遺産の湿地帯「オカバンゴ・デルタ」があります。
湿地には、多くの草食動物が集まります。とりわけ一日に草を約40kg食べるカバ、約300kgを食べるゾウ(※おとなの場合)らにとって、湿地は“食べ物の宝庫”です。

一方、草食動物を獲物とするライオンなどの肉食動物も、湿地に集まります。

一般的に、ライオンは水を苦手とする動物です。本来であれば、水を飲むにも顔だけ下げ、体を濡らさないよう慎重にふるまいます。

しかし、オカバンゴ・デルタに暮らすライオンは水を恐れることなく、湿地の中を悠然と進みます。これはとても珍しく、草食動物をとらえるために水を恐れず歩くようになったと考えられています。
それにしてもなぜ、内陸国であるボツワナに、こうした湿地帯が生まれたのでしょうか?
アフリカ最大級の湿地の秘密
実は、オカバンゴ・デルタは広大なカラハリ砂漠の北端に位置しています。
カラハリ砂漠は、乾季(5~9月)の間は雨がほとんど降らず、頻繁に野火が起こるほど乾燥する地帯。過酷な環境のなか、食べ物を求めて草の根や木の皮まで口にする草食動物もいます。

しかし、オカバンゴ・デルタには、約800km上流のアンゴラ高原で雨季(11~3月)に降った雨が数か月もかけて流れ込みます。その結果、乾季におよそ2万平方km、日本の四国ほどの広さにまで水があふれ、アフリカ最大級の大湿地帯となります。

湿地の美しさと独自の生態系が認められ、2014年、オカバンゴ・デルタは世界遺産となりました。乾いた大地に現れる“水と緑の恵み”は、動物の豊かな生態を育んでいます。
9/20(日) の『世界遺産』
世界遺産
日曜よる6:00~