優雅に見えて過酷!?フルートが奏でる”魔性の音色”の正体

公開: 更新: TBS Topics


TBSでは日曜劇場『さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~』を放送中。天才指揮者だったが、“ある事件”のせいで家族も音楽も失った主人公・夏目俊平(西島秀俊)と、そんな父親を拒絶し、音楽を嫌う娘・夏目響(芦田愛菜)が、地方オーケストラ・晴見フィルハーモニーを通して、失った情熱を取り戻し、親子の絆と人生を再生させていく、アパッシオナート(情熱的※)なヒューマンドラマだ。

第5話では“魔性の女”倉科瑠李(新木優子)が俊平に猛アプローチ。鈍感すぎる俊平の態度が、今度は響や晴見フィルの団長・古谷悟史(玉山鉄二)の勘違いを引き起こし、大混乱を巻き起こした。

本コーナーは、東京音楽大学の協力のもと、オーケストラの構成する楽器の魅力を紹介していく。今回は、新木のフルート指導にもあたった永井彩澄氏にフルートの魅力を聞いた。

※【アパッシオナートとは】〈イタリア〉appassionato)音楽の発想標語の一つ。「熱情的に」「激しく」の意。(大辞林第4版より)

日曜劇場『さよならマエストロ』楽器紹介(フルート)日曜劇場『さよならマエストロ』楽器紹介(フルート)

フルートは管楽器のまとめ役!?

フルートは、木管楽器の中では一番高い音を担当し、速いメロディーや、低音から高音の音の跳躍など、幅広い表現力を持つ楽器です。ファゴットなどの木管楽器はリードを振動させて音を出しますが、フルートはそのリードがなく、穴に息を当て、空気を振動させて音を出します。

オーケストラ内の配置はバイオリンなど弦楽器の後ろで、メロディーを演奏したり、ソロを演奏したり、音域の高さもあって他の楽器より注目される楽器ではあります。管楽器の中では一番前で吹いていることもあり、自分たちの横や後ろにいるオーボエ、クラリネット、ファゴットといった木管楽器だけでなく、ときにはホルンやトランペットといった金管楽器ともうまくコミュニケーションを取りながらまとめるという役割があり、責任重大です。

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複雑すぎて混乱してしまう!?フルートの高音域の指使い!

繊細な息使いが必要なので、息のスピード、太さ、鋭さ、唇に当てる角度など、まずは安定した音を出すところでつまずく人が多く、それができるようになるだけで1か月かかる人もいます。

また、キイと呼ばれるボタンがたくさんあり、音を出すための指使いをいくつも覚えなくてはなりません。例えば、リコーダーだと指で1つずつ順番に穴をふさいでいけば、それに従って音程も下がりますが、フルートの場合、低音域と中音域はリコーダーと同じであるものの、高音域となると、「親指と中指の組み合わせ」「右手の人差し指と小指の組み合わせ」など、使う指を複雑に組み合わせないと音が出ない指使いがあります。これも1つひとつ覚えなくてはならず、しかもテンポの速い曲になると、なおさら難易度は上がります。

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瑠李は実は控えめ!?オーケストラにおけるフルートの振る舞い

オーケストラにおけるフルートは、ソロとは異なる音が求められます。ソロ奏者と違って、良い意味であまり主張しすぎない奏者がオーケストラで成功しているイメージはありますね。

プロで活躍してきた瑠李さんもオーケストラの中で、実はたくさん気を遣われているのだと思います。自分を抑えているからこそ、私生活ではガツガツしているのかなという印象を受けました(笑)。

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自主練の鬼!?女優・新木優子の本気度に感服!

新木さんは、物語に登場するいくつもの曲を事前に何度も聴いているようで、こちらが解説する前にもう頭に入っています。運指表といって、指の押さえ方が載っている表があるのですが、新木さんはそれをレッスンに持ってきたことがありません。かなり自主練をされていることが毎回のレッスンでよくわかります。もう“すごい!”の一言に尽きますね。

演奏シーンの撮影でも直前に「これで良かったんでしたっけ?」と必ず確認にいらして、合間も1人で黙々と練習されています。自分が納得できるレベルに必ず仕上げようと努力される姿勢は、私自身が見習わなければならないと思いました。

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プロのフルート奏者はかなりの激戦区!

フルートは管楽器の中でも演奏者が一番多く、国内のプロオケでフルートの席が空くと、その席を巡って200人ぐらい応募が殺到するほど競争率の高い楽器です。なので、プロ奏者が一番失ってはいけないものは、技術よりも闘争心なのではないでしょうか。自分が一番上手で、誰よりも練習したという自信を持つことが一番大事なのだと思います。

東京音大に入学し、周りとの実力差を見せつけられたという永井氏。そこからは大学4年間、朝から晩まで猛練習したと語ってくれた。劇中でクールに演奏する瑠李も、こうした陰の努力の上にその技術が成り立っているのだろう。オーケストラの中では繊細な気遣いをするフルート奏者。実は瑠李も肉食系女子ではないのかも? 劇中で瑠李が奏でるフルートの“魔性の”音色に耳を傾ければ、その本当の顔が見えるかもしれない。

永井 彩澄(ながい あすみ)
北海道札幌市出身。12歳よりフルートを始める。東京音楽大学を卒業、同大学大学院修士課程修了。工藤重典、神田勇哉、柿山里奈の各氏に師事。第10回仙台フルートコンクール高校生部門にて第2位、第4回三田ユネスコ・フルートコンクールジュニア部門にて第1位、第30回ハイメス音楽コンクールにて第2位をそれぞれ受賞。「新進演奏家育成プロジェクト第46回札幌」にて札幌交響楽団とフルート協奏曲を共演。現在、演奏活動の傍ら東京音大等で助手として指導にあたる。

■番組概要
[タイトル]
日曜劇場『さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~』
[放送日時]
毎週日曜よる9:00~9:54

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