昭和は幻!?昭和を知らない磯村勇斗が受けたカルチャーショックとは!?

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現在TBSで放送中の宮藤官九郎が脚本を手掛ける金曜ドラマ『不適切にもほどがある!』。中学校で体育教師をしていた主人公・小川市郎(阿部サダヲ)が、1986(昭和61)年から2024(令和6)年の現代へタイムスリップ!? コンプライアンス意識の低い“昭和から来たおじさん”は、令和の時代で、不適切ギリギリ(?)な発言を連発し、事件を巻き起こしていく。

アイドルにあこがれるムッチ先輩こと秋津睦実と、コンプライアンス度外視の市郎が言う極論に感化されていく秋津くんの2役を演じる磯村勇斗にインタビュー。役柄やドラマのテーマについて話を聞いた。

“ムッチ感”の加減が難しい!?昭和のアイドルを完コピ中

金曜ドラマ『不適切にもほどがある!』でムッチ先輩を演じる磯村勇斗。金曜ドラマ『不適切にもほどがある!』でムッチ先輩を演じる磯村勇斗。

――意外にも宮藤官九郎さん脚本の作品へのご出演は初めてとのこと。

そうなんです! 学生時代から、映画「GO」(2001年公開)や「ピンポン」(2002年公開)はもちろん、ドラマ「木更津キャッツアイ」(2002年放送)など、宮藤さんの脚本作品に夢中になってきました。なので、お話をいただいて、ようやく、やっと、宮藤さんの作品に携わることができるんだとうれしかったですね。
実際に脚本を読んでいると、「おもしろい」の一言。言葉のチョイスや掛け合いが楽しく、キャラクターも魅力的。僕は“タイムリープもの”が好きなので、心をくすぐられました。
それでいて今の時代への問いかけのような部分もあって。毎回、考えさせられたり、突っ込んだりしながら脚本を読んでいます。

――今回は2役を演じていますが、まず秋津睦実ことムッチ先輩について教えてください。

ムッチ先輩は1986年、昭和を生きる不良の男の子だけど、某アイドルにあこがれています。
特徴はなんといってもビジュアル。この見た目に負けないお芝居をしないと…と思いながら取り組んでいます。

――まさに”完コピ”されていますね。

磯山晶プロデューサーからお話をいただいたときに「アイドルになってもらいたい」と言われていたので、衣装合わせ前から当時の映像を観るなど研究していました。髪型や衣装は、スタッフさんと相談しながらつくりましたが、自分で見ても“似ているな”と思いますね(笑)。阿部さんをはじめキャストの皆さんやスタッフさんがムッチ先輩に扮した僕を見て笑ってくれたので、これが正解だと安心しました。

また、あこがれているということなので、「ムッチで~す!」というセリフの言い方や歌い方などでニュアンスを似せるようにしています。

――不良なのにアイドルの真似をする、可愛らしい男の子ですね。

可愛らしいんですが、演じる身としては難しい部分もあります。というか変な人ですよね(笑)。基本の口調や思考は不良なので荒っぽいんですが、急にアイドルのような口調に切り替わるという。この2つの面を、どのくらいの度合いで演じればいいのか…。特に“ムッチ感”の加減がすごく難しいんですよ。うまくミックスさせながら演じることを心がけています。

金曜ドラマ『不適切にもほどがある!』で秋津くんを演じる磯村勇斗。金曜ドラマ『不適切にもほどがある!』で秋津くんを演じる磯村勇斗。

――そして令和パートにも磯村さんが登場しています。

そうですね(笑)。秋津くんは令和の会社員。“恋愛はコスパが悪い”と、冷めたことを言っている、とても今どきっぽい人です。仕事に対しても、”働き方改革”や“コンプライアンス・ハラスメント”を重視する令和の感覚と、根性論やスポ根論の良さも分かっているという昭和の感覚、どちらも持ち合わせている。だからこそ上司・先輩と、部下・後輩の間で揺れ動いている…もしかしたら視聴者の皆さんの感覚に近い人物かもしれません。

――磯村さんご自身が持つ感覚とも近い人物ですか?

近いと思います。僕自身、昭和と令和の感覚、どちらも分かる、まさに間の世代なので。だから秋津くんが、極論ばかりを言う市郎さんに惹かれていく気持ちは、すごくよく分かります。

ムッチ先輩の登場シーンは毎回ミュージカル!?

金曜ドラマ『不適切にもほどがある!』でムッチ先輩を演じる磯村勇斗。金曜ドラマ『不適切にもほどがある!』でムッチ先輩を演じる磯村勇斗。

――平成生まれの磯村さんにとって昭和の人物を演じることへの苦労はありましたか?

今までに何回か、昭和の時代を生き抜く役を演じたことがあるので、その都度、昭和について調べてきました。だから、ちゃんと昭和という時代は存在していたということは分かっていますし、当時の人たちがどんなふうに生きていたのかも理解しています。…ただ、実際に生活したことがないので、“幻”のような感覚です(笑)。
今回の難題は、そこに加わった“昭和のアイドル”という要素。当時の素材を手に入れることが難しいので、当時を知るスタッフさんたちに”こんな感じだったよ“と教えてもらったり、相談したりしながら、演じています。

金曜ドラマ『不適切にもほどがある!』で秋津くんを演じる磯村勇斗(左)と小川市郎を演じる阿部サダヲ。金曜ドラマ『不適切にもほどがある!』で秋津くんを演じる磯村勇斗(左)と小川市郎を演じる阿部サダヲ。

――第1話では秋津くんとしてミュージカルに挑戦されていましたね。

舞台で歌ったことはありましたが、ワンフレーズ程度だけ。あそこまでしっかり踊って、歌ってということは初めてで、歌とダンスはクランクイン前から練習するなど、僕としてはかなりの挑戦でした。実際の収録は、大人数でしたし、ロボットも含めた動きの調整、さらには芝居パートもあったので、朝から夜まで丸1日かけて行いました。
それにしても阿部さんはもちろん、秋津くんの先輩や後輩を演じていた俳優の皆さんは宝塚歌劇団やミュージカルで大活躍している“本物の方”ばかり。豪華すぎて、僕は見ているだけでも、すごくおもしろかったですね。

――今後、ムッチ先輩もミュージカルシーンに参加するのでしょうか?

どうでしょう。でもムッチはずっとアイドルの歌を歌っているので、ほとんどミュージカルのようなものですよね(笑)。
今回のミュージカルシーンの歌詞には大切なメッセージが込められていますが、ムッチのセリフや歌も同じ。滑稽に見えても、じつは深い意味が込められているので、ぜひじっくり聞いてみてください。…ということで、ムッチはある意味、ずっとミュージカルをやっています(笑)。

金曜ドラマ『不適切にもほどがある!』より金曜ドラマ『不適切にもほどがある!』より

――作品のテーマでもある“昭和の当たり前が令和の不適切”。今回改めて、感じたことはありますか?

前々から「昭和の深夜のバラエティー番組は過激だった」とか、「今では絶対にありえないような大胆な映像が放送されていた」ということは、聞いていました。
もちろんそういう番組に嫌悪感を抱いていた人もいたと思いますが、娯楽として求めていた人が多かったから放送されていたんだと考えると、昭和の人たちは今よりも、開放的で生き生きしていたんじゃないかな…と、改めて思いましたね。
そんな活気に満ちている時代があったということが、僕にとってはカルチャーショック。
タイムスリップできるなら昭和に行ってみたいと思いますね。…あ、その番組観たさじゃないですよ(笑)!

――ドラマを観ている皆さんへのメッセージをお願いします。

昭和を知っている方には懐かしさや親しみを感じるドラマになっていると思いますし、平成生まれや令和生まれの若者たちは、新しいものを観ている感覚になっていると思います。
その中で、市郎と娘・純子(河合優実)など、家族の関係性に温かさや、今を生きる僕たちに切り込んでいく市郎の爽快さなど、いろいろな要素がぎゅっと詰まったドラマになっています。
僕が特に共感したのは、現代の仕事の仕方に切り込んでいく部分。“働き方改革”や“コンプライアンス”などは良い面ばかりなのかどうか、市郎さんが叫ぶ“極論”はすべてが“不適切”なのかどうか。見つめ直すきっかけになればと思っています。
いろいろな世代の方に楽しんでいただけるドラマだと思いますので、ぜひおうちで、テレビで、観ていただけたらうれしいです。

熱血漢のムッチ先輩と低温体質な秋津くんを見事に演じ分けている磯村勇斗。平成生まれで昭和も令和も知る彼が、昭和と令和の懸け橋となる両極端なキーパーソンを熱演している点も見どころといえる。徐々にタイムスリップが絵空事ではなさそうだとわかっていく登場人物たち。果たして2人の“秋津”はどうなる!?

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