かのベートーベン先生も“天からの声”と認めた!すべての指で音色を奏でる“ファゴット”の魅力!

公開: 更新: TBS Topics


TBSでは日曜劇場『さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~』を放送中。天才指揮者だったが、“ある事件”のせいで家族も音楽も失った主人公・夏目俊平(西島秀俊)と、そんな父親を拒絶し、音楽を嫌う娘・夏目響(芦田愛菜)が、地方オーケストラ・晴見フィルハーモニーを通して、失った情熱を取り戻し、親子の絆と人生を再生させていく、アパッシオナート(情熱的※)なヒューマンドラマだ。

俊平の妻・志帆(石田ゆり子)にプロポーズした男が晴見フィルの団長・古谷悟史(玉山鉄二)だと判明し、俊平が動揺しているところで幕を閉じた第4話。ラストの演奏で動揺を悟られまいとしながらも最後の最後でミスをしてしまった古谷が担当する楽器が「ファゴット」だ。

本コーナーは、東京音楽大学の協力のもと、オーケストラの構成する楽器の魅力を紹介していく。今回は、『さよならマエストロ』の撮影にも立ち会った東京音大のファゴット奏者・柿崎祐氏に話を聞いた。

※【アパッシオナートとは】〈イタリア〉appassionato)音楽の発想標語の一つ。「熱情的に」「激しく」の意。(大辞林第4版より)

日曜劇場『さよならマエストロ』楽器紹介(ファゴット)日曜劇場『さよならマエストロ』楽器紹介(ファゴット)

実は高額!?「ファゴット」の最大の特徴とは?

ファゴットは木管楽器の中で主に中低音域を受け持つ楽器です。長い管を2つ折りにしたような構造で、伸ばすとだいたい260cmもの長さになります。基本的に木管楽器は、リード(葦製の薄片)を振動させて音を出しますが、ファゴットはこのリードを2枚重ねて作られた「ダブルリード」を使用しています。

オーケストラでは、コントラバスやチェロなど中低音を支える楽器と一緒に演奏をしたり、主旋律の裏で、柔らかい音を奏でたり、時に弾むようなスタッカート(音を短く途切れさせる演奏法)を弾くのもファゴットの魅力です。

ちなみに、ファゴットはプロ向けだと最低でも100万円ぐらいする高価な楽器で、ものによっては1300万円ほどするものもあります。撮影で玉山さんが実際に使われているファゴットも200万円ぐらいするのではないでしょうか。 

日曜劇場『さよならマエストロ』楽器紹介(ファゴット)日曜劇場『さよならマエストロ』楽器紹介(ファゴット)

低音だけじゃない!ファゴットはホルン並みの音域の広さ!?

オーケストラで使用される木管楽器は、ファゴットの他にフルート、オーボエ、クラリネットなどがありますが、その中でもファゴットが一番音の低い楽器で、正直、音が小さくて聴こえない時もあります(苦笑)。

とはいえ、実はホルン並み(4オクターブ)の広い音域(3オクターブ半程度)を持ち合わせている楽器で、いかにも低音の渋い響きだけでなく、つややかな響きを聴かせることもあります。曲によっては、少し高めの音域を使ってオケ全体を引っ張るような特別なソロを吹くこともあります。

ベートーベンが「天からの声」と形容したほど、ファゴットの音色は素晴らしく、ベートーベン以外にも、ファゴットを活躍させてくれる作曲家がたくさんいらっしゃいます。オケのみんなを支えつつ、時折、その音域で存在感が前に出る、そんな楽器です。

日曜劇場『さよならマエストロ』楽器紹介(ファゴット)日曜劇場『さよならマエストロ』楽器紹介(ファゴット)

親指の動きに注目!すべての指を巧みに動かす上級者向けの楽器!?

ファゴットは他の楽器と比べて指使いが複雑です。皆さんリコーダーの経験があるかと思いますが、親指は基本的に楽器を支えるために使っているでしょう。でも、ファゴットの場合は、左手の親指だけでも10個以上のキーを操作し、右手の親指にも4~5個のキーがあります。おまけに、人差し指から小指まで、すべての指が別々の動きをしなくてはいけません。指使いを替えることで同じ高さの音でも、音色が優しくなったり、音量を変えることができたりします。

なので、複雑な指使いを覚えるのにまずは苦労する楽器ですね。中でも親指の仕事っぷりは管楽器の中でファゴットが一番ハードなのではないでしょうか。

日曜劇場『さよならマエストロ』楽器紹介(ファゴット)日曜劇場『さよならマエストロ』楽器紹介(ファゴット)

気配り上手の古谷にぴったり!ファゴット奏者はコミュニケーション上級者でもある!

ファゴットはピアノやヴァイオリンのようにソロで活動する奏者がいるような楽器ではありません。オーケストラや室内楽の一員として、誰かと一緒に演奏をすることが基本になります。なので、自身が技術を向上させることはもちろんですが、周りとのコミュニケーションがかなり重要になると感じています。

僕自身も周りの奏者たちといる時、ただ話を聞くだけではなく、こちらから積極的にコミュニケーションをとるように心がけています。演奏の技術とは直接関係ないように思われますが、より高いレベルを目指すためには、大事なことだと思っています。東京音大で、優秀な先生方や本気で音楽を目指す仲間たちとよくコミュニケーションをとり、切磋琢磨することで音楽家としてより成長できていると感じています。

廃団が決まり、崩壊寸前だった晴見フィルを盛り上げようと周りに気を配る古谷は、ファゴット奏者ならでは。ファゴットのような存在感を出せた時、もしかしたら志帆への思いが成就するのかもしれない。ドラマの展開とともにファゴットの音色にも耳をすませたい。

柿崎 祐(かきざき ゆう)
神奈川県相模原市出身。幼少期よりピアノとヴァイオリン、13歳から打楽器、16歳からファゴットを始める。東京音楽大学学内オーディション合格者によるソロ・室内楽定期演奏会に出演。ファゴットを井上俊次、宇賀神広宣の各氏に、室内楽を中野真理、古部賢一、勝俣泰、コハーン・イシュトヴァーン、宮本文昭、野田祐介、水谷上総の各氏に師事。東京音楽大学器楽専攻4年次在学中。

■番組概要
[タイトル]
日曜劇場『さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~』
[放送日時]
毎週日曜よる9:00~9:54

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