過去の映像を全て見て準備に取り組む!「SASUKE」メイン実況、TBS杉山真也アナウンサーが語る実況の醍醐味

公開: 更新: TBS Topics


1997年からTBS系列で放送されている人気番組『SASUKE』。10月には、2028年ロサンゼルス五輪で『SASUKE』を基に考案された障害物レースが採用されることが決定し、話題となりました。

放送の枠を超えた『SASUKE』の広がりについて、各分野の担当者に裏話などをうかがいます(全4回)。今回はメイン実況を務める杉山真也アナウンサーに、番組への思いを聞きました。

目指すのは、プレイヤーの背中を押すような実況

ー杉山さんは、実況の準備として、毎年「『SASUKE』ノート」を作っていると聞きました。これには何が書かれているのでしょうか。

杉山 過去40回分の放送で使われた文言をまとめています。伝統ある番組のメイン実況を務めるのだから、第一回からの歴史を全て知っておくべきだと思い、過去のDVDを全部見て、気になった文言を書き出すことにしました。例えば、第一回は1997年9月、当時古舘伊知郎さんがメイン実況で使っていた言葉をまとめたり。

TBS杉山真也アナウンサーTBS杉山真也アナウンサー

『SASUKE』は緑山スタジオで収録するのですが、雨が降ったり風が強かったりするとぐちゃぐちゃになって読めなくなってしまうので、なるべく綺麗にまとめるようにしています。

ー毎年、過去の全大会を見直しているんですか?

杉山 そうです。毎年見直すことで新しい発見があるんですよ。知らない言葉が出てきたら、類語だとどう表現するんだろうとか、挑戦者の状況に当てはまる四字熟語は何だろうと考えています。

あとは、出場する各プレーヤーの資料があるので、それにも付箋を貼ったりと、しっかり準備をして本番に臨みます。実況の文言は、誰からも指示されることはありません。この仕事の醍醐味は、それぞれの人間ドラマを含んだ実況を、自分で構成できることだと思います。

ーこのノートを作るようになったのは、杉山さんが実況を担当しはじめた32回大会からですか?

杉山 いえ、メイン実況を担当するようになった、38回大会からです。ある程度スポーツの実況をやっていると、資料がなくても「掴んだ」「落ちた」といった動きの描写はできますが、それだとおもしろくないですよね。『SASUKE』はスポーツとエンターテインメントの融合の最高峰だと思うので、スポーツらしい動きだけでなく、挑戦者の一年間のドラマや、少し笑えるような小ネタを混ぜた実況がしたいと思い、ノートを書き始めました。

ただ、準備しても80%くらいは使いません。実際に緑山の放送席に座り、瞬時に生まれてくる言葉の方が良いことも多いんです。最終的には当日の瞬間的な判断に委ね、困ったら自分が準備したところに戻るようにしています。

ー『SASUKE』を間近で見続けて、どう感じていますか?

杉山 とにかく熱量がすごいですよ。一度リタイアした挑戦者で、「2回目はいいや」と言う人は一人もいません。皆さん、普段は仕事をしながら、この日のためにトレーニングを重ねてきています。あの現場を超える熱量を味わったことはありません。

一般的に、スポーツは一方が勝てばもう一方が負けるものですが、『SASUKE』は自分と『SASUKE』との戦い。100人のプレイヤーが「クリアしたい」という同じ目標を持っています。それこそ、人生に似ている部分もあります。毎回完全制覇できるわけではないですし、絶対に一度はリタイアしてしまうので、そこからどう這い上がりもう一度挑むか、プレイヤーの皆さんから教えてもらっているような感覚です。

だから、できれば全員に完全制覇してほしいし、全員にその人なりの目標をクリアしてほしいので、見守るような気持ちで実況しています。きっと、観客の人たちも同じ気持ちです。緑山にいる全員で100人を応援しようという空気感が、現場の熱量に繋がっているのだと思います。

TBS杉山真也アナウンサーTBS杉山真也アナウンサー

『SASUKE』の準備スタイルは『東大王』がきっかけに

ー今年の収録はいかがでしたか?

杉山 今年はファーストステージに新しいエリアが導入されて、ますます攻略が難しくなっていました。ダイナミックで『SASUKE』らしさを感じると思います。初めてのエリアなので、実況も楽しみながらやりました。

また、今年初めて『SASUKE甲子園』という高校生向けの大会を開催し、そこで勝ち抜いてきた挑戦者など、今回は若い選手が増えました。さらに、『SASUKE』の海外版『Ninja Warrior』で優勝経験がある外国人選手の方々も登場します。「『SASUKE』の聖地は日本の緑山なので、ここで完全制覇をしないと『Ninja Warrior』の頂点に立つことはできない」と話していました。

オリンピック種目として採用されたので、『SASUKE』の原点である緑山での大会を見てほしいですね。

ー「SASUKE公式BOOK」も発売されましたね。

杉山 そうですね。「ミスターSASUKE」の山田勝己さんや、総合演出の乾雅人さんのほか、常連メンバーのインタビューからはじまり、『SASUKE』新世代の座談会や、今大会のオフショット、あとは、私も載せていただいています。全大会の全員の記録が載っている記録集もあり、これは実況者にとってすごく助かります。

「SASUKE公式BOOK」「SASUKE公式BOOK」

ーファン垂涎の一冊ですね。杉山さんもファンの方から声をかけられることはありますか?

杉山 最近は「杉山さんに実況してもらいたいのでサードステージまでいくように頑張ります」とか「いつか私もSASUKEに出場して、杉山さんに実況してもらうように頑張るので、待っていてください」と言っていただく機会が増えました。実況冥利に尽きますね。

ー杉山さんは、他の番組でもノートを作って準備をしているのですか?

杉山 『THE TIME,』と『東大王』でも作っています。最初に始めたのは『東大王』です。『東大王』では、収録の記録をつけながら実況しています。具体的には収録中や休憩中に、クイズの結果や感想を書きます。例えば「このとき東大王たちがここの問題に困って、3人連続で失格、この人が正解して、ピンチを脱した」のように書いておくと、次の収録のときに思い出せるんですよ。

ー『東大王』の実況のフレーズは、SNSでも話題になっていますよ。

杉山 『東大王』も、ただ単にクイズ番組として「正解」「不正解」だけなら誰でも言えるので、自分のオリジナリティを加えるために、みんなに引っかかるようなワードを考えるようになりました。実はこれが『SASUKE』や『THE TIME,』の生放送に応用できているのかなと思っています。

■完全版:
TBS INNOVATION LAND 記事にて

 

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