黒木華が球児のお守りを手縫い!?文字は役者が手書き…『下剋上球児』美術担当が語る驚きのエピソード

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TBSで現在放送中の日曜劇場『下剋上球児』。高校野球をとおして、さまざまな愛を描く、ドリームヒューマンエンターテインメントだ。鈴木亮平、黒木華、小日向文世、井川遥、生瀬勝久、小泉孝太郎、松平健ら豪華俳優陣が毎週熱いドラマを繰り広げている。

今回は、ドラマの世界観を作り出す美術部の美術ディレクター・長江暢子氏と、装飾・藤井瑠香氏に作品作りや撮影の裏話などについて聞いた。

夕食を見ればわかる!?犬塚家のこだわり

日曜劇場『下剋上球児』長江暢子氏・藤井瑠香氏インタビュー
食事1つとってもキャラクターに合わせたメニュー

――塚原あゆ子監督とはどのような話をされましたか?

長江:塚原監督は、各キャラクターの個性にこだわる方。今回は球児など登場人物が多いので、どの世代の方がドラマを観ても“この子だ”と分かるようなキャラ付けをしていこうと事前に話しました。
藤井:キャラクターに色付けをするため、台本にはない裏設定を入れています。
長江:お弁当を食べるシーンも、いっぱい食べるであろう球児には、ドカ弁にして中身を大盛にしたり。性格を表現するための小物も持たせています。

日曜劇場『下剋上球児』長江暢子氏・藤井瑠香氏インタビュー
裕福な犬塚家だからこその食卓を表現

藤井:球児に限らず、他のキャストにもそれぞれ細かい演出をしています。例えば犬塚家では、翔(中沢元紀)の母・犬塚杏奈(明日海りお)がどんな人物かを考えました。専業主婦でお金持ちの家だから、“夕食に命をかけている”イメージにしようということになり、夕食シーンでは一般家庭ではなかなか出てこないような「中華の蒸し器」や「焼き肉セット」を用意しました。杏奈さんはお金にも時間にも余裕があるからこそ、こだわる方向が少し変わっているという裏設定です。

日曜劇場『下剋上球児』長江暢子氏・藤井瑠香氏インタビュー日曜劇場『下剋上球児』長江暢子氏・藤井瑠香氏インタビュー

――鈴木亮平さんや黒木華さんとのエピソードをお聞かせください。

藤井:今回、劇中に登場する文字は、その役者さんが実際に書いているものが多いです。南雲脩平先生が授業をするシーンの黒板は、鈴木さんが「南雲先生が書いてるんだから僕が書きます」と自ら黒板に書いてくれました。一度自分で書いた字を出してしまうと、文字が出てくるたびに書かなければならなくなるのですが、鈴木さんは球児たちの練習メニューノートや、南雲の履歴書も書いてくださり、おまけに使用するパソコンの画面の内容までも一緒に考えてくださいました。想像をはるかに超えたこだわりをお持ちの俳優さんです。

日曜劇場『下剋上球児』長江暢子氏・藤井瑠香氏インタビュー日曜劇場『下剋上球児』長江暢子氏・藤井瑠香氏インタビュー

長江:第8話の終わりに山住香南子先生(黒木華)が球児たちにお守りを渡していますが、あれは全部、黒木さんの手作りなんです。「みんなの分を作ってあげたい」と黒木さんから申し出があり、刺繍のデザインも一緒に考えてくださいました。移動時間もずっと縫っていらして、役への思い入れの強さを感じました。

引き出しの中身にも個性を。見えないからこそ妥協しない

日曜劇場『下剋上球児』長江暢子氏・藤井瑠香氏インタビュー日曜劇場『下剋上球児』長江暢子氏・藤井瑠香氏インタビュー

――『下剋上球児』の美術でこだわった部分を教えてください。

長江:小道具は、実際にカメラに映らないことも多いのですが、だからといっておざなりにはできません。多少なりとも俳優さんのお芝居に影響を与えてしまうので。藤井さんはそういうの絶対に妥協しないよね(笑)。
藤井:いえいえ(照)。
長江:例えば、山住先生が第7話でメンタルトレーニングの本を読むシーンも、通常であれば表紙だけで間に合ってしまうようなものの、藤井さんはそれに沿った内容の本を購入して、しっかり用意するんです。俳優さんが読んだ時に、役のままの気持ちに浸れるように、見えないところまでケアしてくれています。
藤井:演技中に引き出しを開けて中身が空っぽだったら、お芝居が止まってしまうと思うので、机は中身まで考えて準備しています。
長江:お互いに「絶対にここまでやり遂げよう」と決め、同じ気持ちでお仕事しています。細かいところまでこだわるのは大変ですが、塚原監督も私たちの思いに寄り添ってくださるので、とても楽しい現場です。

日曜劇場『下剋上球児』長江暢子氏・藤井瑠香氏インタビューより日曜劇場『下剋上球児』長江暢子氏・藤井瑠香氏インタビューより

――美術スタッフを目指す方々にメッセージをお願いします。

藤井:私はどんな仕事にも“辛さ”はつきものだと思っています。ですが、それを超えるやりがいと楽しさがあるのでこの仕事を選んでいます。なので、“作り物って楽しいな”“現場が好きだな”と思いがあるなら、その気持ちを大事にしてほしいですね。とはいえ、楽をして食べてはいける世界ではないので、後輩たちにも「プロとして生きる以上は覚悟を持つべき」といつも伝えています。

長江:大学時代、劇団に所属していました。そこで当時の先輩から     「緞帳が開いて降りるまで、舞台の上にいる“俳優”は大道具や小道具のセットだ」という言葉がとても印象に残っています。手元の細かい道具も俳優さんが使ってくれたら一緒にお芝居をしているのと同じですし、背景となるセットも、俳優さんたちのお芝居の雰囲気づくりになるという意味では、映像の一部を作る“俳優”です。台本上のものだけを準備するのではなく、“開けないかもしれない鞄や引き出しの中にも道具を入れる”“役者さんたちのお芝居の範囲を狭めない”ことにこだわり、自分たちも一緒に芝居を作っているという気持ちでこの仕事をしています。これから美術スタッフの仕事をされる方々も、1つひとつプライドを持って頑張ってほしいと思います。

ドラマで何気なく映るセットや小道具は、役者の演技を支え、作品の世界観を構築するうえでとても重要なもの。しかも役者もセットや小道具作りに協力していたとは驚きだ。『下剋上球児』はまさに全員野球のドラマだということがよくわかる。最終回まで残りわずかだが、チームプレーが織りなす世界観を存分に楽しもう!

■番組概要
[タイトル]
日曜劇場『下剋上球児』
[放送日時]
毎週日曜よる9:00~9:54

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