TBSで放送中の金曜ドラマ『フェルマーの料理』。天才数学少年・北田 岳(高橋文哉)が、謎に包まれた料理界のカリスマ・朝倉 海(志尊 淳)とともに、超一流レストラン「K」で、世界中から集まった料理のプロフェッショナルたちと切磋琢磨し、数学的思考で料理という難題に立ち向かう。
若きプロフェッショナルたちが本気で料理に挑む“青春ストーリー”ということで、SNSを中心に「まるでプロ!」と驚きの声があがったほど、料理人役を務める俳優たちは放送前から料理練習をするなど奮闘してきた。
今回はそんな彼らをクランクイン前から見守ってきた料理監修の1人、田村浩二さんに料理ドラマならではの裏側について話を聞いた。ドラマを観終わった後の空腹感の秘密を明らかにしよう。
料理の香りと味を“想像させる”映像づくり”をしています

――“料理ドラマの料理”をつくるにあたり、どんな工夫をしていますか?
監督の皆さんからは、視聴者の皆さんに分かりやすいもの、そして彩り豊かなものをというオーダーをいただいています。料理としての味わいや完成形を崩さない程度に、華やかなものを考えています。僕自身どちらかというとシンプルな料理をつくりがちなので、このドラマを通して、いつもとは違う料理をつくらせてもらっています。
ただ料理をつくるスピードはある程度コントロールできるのですが、いちばんおいしい状態を映像でお見せすることは、とても難しい。料理がもつ“刹那的な美しさ”をいかに長く、そしてリアルに再現できるかにはこだわっています。

――撮影には時間がかかりますもんね。
そうなんです。たとえばお肉をカットした直後は断面がみずみずしいけれど、すぐに乾いてしまう。そこで、肉を焼いたときに出る油を塗ってみずみずしさをキープしています。また時間が経つとフランス料理のかなめであるソースが、お皿からにじんでしまうことも。そこでソースの濃度を少し重めにつくり、少しでも長く美しさを保つような工夫をしています。…ヘア&メイクさんのような感覚ですね(笑)。

――たしかに。しかも映像作品では視覚と聴覚だけで料理のおいしさを伝えなくてはいけないですもんね。
岳や海をはじめとする料理人たちのすごさや厨房の臨場感、そして何より料理の美しさを、視聴者の皆さんに感じていただくことは成功していると思います。料理人役の俳優の皆さんもその部分を意識して演じてくださっていますし、スタッフの皆さんも撮影してくださっています。完成された料理から伝えられない香りや味覚については、食べてくださる役の皆さんのお芝居で十分伝わってきます。
またドラマでは、第1話のナポリタンや第2話の肉じゃが、第3話のお茶漬けと、誰しもなじみのある料理が題材になっているので、味が想像しやすいということも大きいと思います。見ただけではなかなか気付くことができない料理の“違和感”や料理人ならではのテクニックを、驚きながら説明することで、視聴者の皆さんも、このテクニックを使えばふだん自分が感じているのとは別次元のおいしさを体験ができるかも、と興味を持っていただけると思います。
吹き替えは一切なし!俳優陣たちのプロ魂を目の当たりにしています

――そして俳優の皆さんによる料理シーンが毎回話題です。
皆さん、料理人としてまったく違和感がない包丁や鍋さばきをされていますよね。高校時代に料理科に通っていた高橋さんは最初からさすがな包丁さばきでしたが、それでも料理人役を完璧に演じるため、クランクイン前に料理練習に通い、練習をされていました。
ほかの皆さんも、クランクイン前に相当、練習されたと思います。じつは包丁を扱うシーンなどは僕たち料理監修者が代役を務めることもあるのかなと思っていたのですが、いまのところすべて皆さん自身がされています。また映像として、どう動けばかっこよく見えるのかを俳優の皆さんは熟知されているので、すてきな調理シーンになっているのだと思います。
■番組概要
[タイトル]
金曜ドラマ『フェルマーの料理』
[放送日時]
毎週金曜よる10:00~10:54
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