玲奈の本心はどこ?『ペンディングトレイン-8時23分、明日 君と』古川琴音インタビュー

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TBSでは現在、山田裕貴主演の金曜ドラマ『ペンディングトレイン-8時23分、明日 君と』(毎週金曜よる10時)を放送中。同じ電車の一両に乗り合わせた見ず知らずの乗客たちが、未来の荒廃した世界へワープし、生き抜くためにサバイバル生活を繰り広げる予測不能のヒューマンエンターテインメントだ。

今回は電車に乗り合わせたネイリスト・渡部玲奈を演じる古川琴音にインタビュー。役への向き合い方や、共演者の印象などについて聞いた。

自身は猪突猛進と控えめの半々⁉

——わがままな振る舞いで周りとの和を乱してしまう渡部玲奈を演じて、彼女にどのような印象を持ちましたか?

玲奈は自分の欲望のままに行動しているだけで、彼女自身に悪気はまったくありません。彼女の行動の原点は、“この人に意地悪をしてやろう!”という思いではなく、“これ、食べたい”“あれが欲しい”という純粋な思い。自由奔放で、少し非常識、協調性もない玲奈の思い切った行動は、演じていてとても楽しいです。ただ、周りにうまく馴染めない彼女の孤独な心や寂しい気持ちには共感してしまうところもあって、気持ちがジェットコースターみたいな感じです。

——演じるにあたり、心がけていることはありますか?

“玲奈の本心がどこにあるのか?”という玲奈の気持ちを常に意識して演じるようにしています。彼女の強い言葉やキャラクター、派手なアクションに引っ張られがちなのですが、玲奈の本心で思っている弱い部分を、どこでどのように出せるかは常に考えながら演じています。

『ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と』古川琴音インタビュー『ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と』古川琴音インタビュー

——山田裕貴さんや赤楚衛二さん、上白石萌歌さんと共演した印象を教えてください。

皆さん、それぞれのキャラクターと重なる部分があるなと思います。
山田さんは演じる直哉と同様に責任感がとても強い方。そしてみんなを思う優しさと、それを伝えることのできる強さを持つ方だと感じています。時に周囲に厳しい言葉をかけることもありますが、そのひと言がみんなにどのように影響するかもよく分かっている。キャラクターと違う部分は、直哉が一歩引いて周りを見る人だとしたら、山田さんは輪の中に入ってみんなを引っ張ってくれる方です。
赤楚さんは、これまで演じられてきた役柄の印象が強いせいか、もの静かでクールな方なのかと思っていましたが、実際はとてもおちゃめな方でした。先日も「玲奈、これあげる」と言われて、パッと出されたのが本物のカエルで(笑)。それぐらいチャーミングな方なので、そこは優斗とのギャップを感じました。
萌歌ちゃんは紗枝のように無条件の優しさを持っているし、愛情深い人。とても大変なスケジュールで疲れているはずなのに、現場ではその疲れをまったく見せず、周りの人たちに気を配る姿をよく見かけます。本当に優しい方だと思います。

——監督とはどのような話をされましたか?

監督と話し合ったなかで印象に残っているのは、玲奈のファッションです。私は、玲奈にとってのファッションは“武装”だと感じていたので、「自分はこういう人間です、ということをファッションで発信していかないと、玲奈ではなくなってしまうんじゃないか」というようなことを、監督と話しました。なので、「大胆に肌見せしよう」、「パンク精神を見せよう」とアクセサリーもたくさんつけることになりました。玲奈の内面と外面がマッチした今の衣装はもちろん、性格もこのとき決まったと思っています。

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——これまで撮影した中で、印象に残っているシーンはありますか?

第3話の撮影はとても楽しかったです。第1話と第2話は起承転結の“起”の部分で、緊迫感のあるシーンが多かったのですが、第3話は、みんながサバイバル生活をしていくという現実に目を向け始めた回。絶望と隣り合わせではありつつ、生活を豊かにするために、お皿を作ったり、寝るスペースを確保したり。撮影していても和気あいあいとして楽しかったです。
また私が撮影に入って2日目に、崖の上でロケがありました。車では行けない場所だったので、足元の悪い場所を片道40分かけて歩いてロケをする場所に行きました。そのとき、「これから本当にサバイバルへ突入するんだ!」「『ペンディングトレイン』の世界が始まるぞ!」というメッセージを受け取ったような気がして、とても印象に残っています。

——女優業を始めて約5年。ご自身の中で成長した部分があれば、教えてください。

もっと自分自身と役を一体化させたいと思っていますが、まだ至らない部分の方が多いと感じています。それよりも、もう5年も経ったんだという驚きのほうが強いですね(笑)。
ただ、最近、お芝居をしている自分をちょっと客観的に見られるようになってきたとは感じています。もちろん良い部分もあると思いますが、実際にお芝居をしたとき、心ではカバーできないけれど、形に逃げることができるんです。そういう計算が働くようになったことが、最近の悩みです(苦笑)。お芝居を始めた当初より、台本を深く読み込むようにして、お芝居自体も初心に帰り、自分に制限をかけずに演技をしようと心がけています。

——ちなみに玲奈は猪突猛進タイプですが、古川さんご自身は?

猪突猛進と控えめな部分、半々だと思います。今、この仕事をしているのは猪突猛進、衝動が私の中にあったからこそ。衝動で今の事務所に応募して、女優になることができました。でも、臆病な部分もあるんです。「今このタイミングで、これをしていいんだろうか?」と考え過ぎて、動けなくなることもたくさんあります。
玲奈のように猪突猛進で進んでいけたら、もっとスピーディに女優としても皮がむけるんじゃないかと思っています。

——玲奈としての第5話の見どころをお聞かせください。

一難去ってまた一難と、新たな展開を迎える第5話では、玲奈の内面が垣間見えます。いつも強気な玲奈は、心の底では何を感じているのか? そういうところを視聴者の皆さまには見ていただきたいです。そして玲奈の本当の心に、きっと共感する方が多いと思うので、その思いが、ドラマをご覧になっている方たちに届いたらうれしいです。

■番組概要
[タイトル]
金曜ドラマ『ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と』
[放送日時]
毎週金曜よる10時~10時54分