永瀬廉のキーボード演奏は普通の5倍難しい⁉『夕暮れに、手をつなぐ』

公開: 更新: TBS Topics


TBSで放送中の広瀬すず主演、火曜ドラマ『夕暮れに、手をつなぐ』。本作は九州の片田舎で育った浅葱空豆(広瀬すず)と音楽家を目指す青年・海野音(永瀬廉)が運命的で衝撃的な出会いを果たすことから始まる、とっくに恋に落ちているのに、なかなか恋が始まらない夢追う二人の青春ラブストーリーだ。

永瀬演じる音はセイラ(田辺桃子)とともにユニット「ビート・パー・ミニット(BPM)」でデビューし、いきなりブレイクを果たした。今作で音の演奏に関する監修をしているのがnotepot株式会社。今回はその代表取締役である大川修治氏とDTM監修をしている石山惠之亮氏にインタビュー。DTMの基本的な知識や、撮影の裏側について聞いた。

永瀬さんのコンポーザーとしての演技はリアル

——そもそも音はコンポーザーになる夢を叶えたDTMとは、どのようなものなのでしょうか?

石山 DTMは“Desk Top Music”の略でパソコンを使用して曲作りをすることです。もともと楽曲は、作曲家が思いついたメロディを編曲家が編曲し、楽譜に起こしてプロのミュージシャンが演奏して作っています。それが2000年を超えたあたりからパソコンを使うことで、全部1人で出来るようになりました。今では作詞作曲に始まり、ドラムやギターなどの楽器の音をミックスし、配信まで1人で出来てしまいます。その音楽をパソコンで制作する過程をDTMといいます。

大川 DTMで入れた楽器の音も一般の方には生音かどうか判別がつきにくいレベルで作れるようになってきています。スマホのアプリで曲を作るのもDTMと言ってもいいと思います。現在のDTMのソフトはとても使いやすくなってきていますので、そういった意味では、一般の方が音楽を作ること自体の敷居はとても低くなってきています。

火曜ドラマ『夕暮れに、手をつなぐ』音役の永瀬廉火曜ドラマ『夕暮れに、手をつなぐ』音役の永瀬廉

——お2人は本作にどのような形で携わっているのでしょうか?

大川 私たちは元々、さまざまなジャンルの音楽を専門的に監修しています。まずは永瀬さんにピアノを教えることから始まり、そしてDTMの監修を弊社の石山と担当することになりました。そこから台本をいただいてからは、石山と一緒に台本上の音楽に関する間違いがないかなどの、チェックもしています。

——DTM監修として石山さんは具体的にどのように関わられているのでしょうか?

石山 音くんがパソコンで曲を作ったときのモニターの画面を作らせていただきました。DTMソフトも実際に作曲を担当した方と同じソフトを使い、リアルに表現しています。また音くんの部屋の配線や、机の上の配置、モニターに加え、DTMをするときの椅子の高さはこだわっています。実は、ピアノ経験者と、そうでない人でDTMの環境は少し変わってきます。普通の机の上にキーボードを置いて弾くと、クラシックピアノをやっている人にとってはキーボードの位置が高いんです。だから椅子は高く上げるようセッティングしています。

——大川さんは音を演じる永瀬さんのピアノ演奏の指導にも関わっているそうですね。

大川 ピアノ指導の先生をご紹介し、レッスンには私も同席しました。練習を始める頃は、まだ何の曲を弾くか決まっていなかったので、プロデューサーさんと相談し、King & Princeの「シンデレラガール」を弾くことから始めることになりました。
レッスンが短期間だったにも関わらず、ものすごい上達ぶりでした。きっと家でもたくさん練習されたのだと思います。
ただ、役者さんは演奏するだけでなく、演技もしなければいけません。「普通にピアノを弾いているより5倍は難しいです」と監督さんにもお伝えしました。

火曜ドラマ『夕暮れに、手をつなぐ』音役の永瀬廉火曜ドラマ『夕暮れに、手をつなぐ』音役の永瀬廉

――永瀬さんとのレッスンの中で、印象的なエピソードがありましたら教えてください。

大川 永瀬さんは本当に努力家で、最初にお会いしたときも「頑張ります!」と気合いが入ってらっしゃいました。熱心にピアノの先生の言葉を聞きつつ、何か発見があるたびに楽しそうにしていて。レッスンの後半では、まるでピアニストみたいに切ない表情をされるときもありました。
ピアノのペダルの踏み方を教えたときに、「ペダルを踏むと音が広がり、きれいな音が出ますよ」とお伝えしたんです。永瀬さんがその後、ペダルを踏んで自分の奏でた音が広がっていくのを聴いて、「うまくなったような気がします」とすごく感動して喜ばれていたのが印象に残っています。

——音がキーボードを弾くシーンの撮影はいかがでしたか?

大川 作品によっては役者さんが弾いているシーンで、音だけ差し替えることがあります。ただ、この作品で吹き替えは一切していないんです。レッスンを見ていて「永瀬さんの演奏で大丈夫だ」と確信もありました。ただ撮影本番を迎えるまで、どうなるかは分からないので、私たちも準備をしていましたが、本番で永瀬さんは想像以上に上手に弾いてくださって。絶対に自分の音でやろうという永瀬さんの意思が感じられ、ちょっと泣きそうになってしまいました(笑)。

——最後に今後の音の音楽的な見どころをお聞かせください。

石山 DTMで1人で曲作りをしていた音が、人と触れ合う中で、どのように成長し、どのように変わっていくのか。音楽的な側面から見ても、音のサクセスストーリー的な部分は注目していただきたいです。

大川 コンポーザーとしての音の心の葛藤やダメージを、永瀬さんがとてもリアルに演じていて、とても見ごたえがあります。人との出会いで変わっていく音に対して、私も音楽家として共感するところがたくさんありますし、皆さんと一緒に音を応援していけたらと思います。

【プロフィール】

大川修治/音楽演出・教育家、notepot株式会社 代表取締役 音楽プロデューサー。
教育関連企業で音楽部門の立ち上げを行い全国規模に展開後、独立してnotepotを設立。これまでに40作品以上のドラマ・映画で専門領域の監修を担当。さまざまなジャンルの音楽家をマネジメントし、専門的視点から映像作品を音楽監修する。作品の世界観を汲み取った選曲や音楽シーン演出も行う。

石山惠之亮/コンポーザー・アレンジャーnotepot株式会社 音楽プロデューサー。
アーティスト・舞台・ドラマなどの音楽制作から楽曲アレンジ・サウンド調整までDTM全域の専門技術を持つ。音楽大学を卒業後、音楽理論を本格的に学び、劇伴作曲からアレンジまで幅広く対応できるマルチサウンドクリエイターとしても活動。

■番組概要
[タイトル]
火曜ドラマ『夕暮れに、手をつなぐ』
[放送日時]
毎週火曜よる10時~10時57分

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