『夕暮れに、手をつなぐ』広瀬すずが操る“空豆語”のポイントを解説!

公開: 更新: TBS Topics


TBSで放送中の広瀬すず主演、火曜ドラマ『夕暮れに、手をつなぐ』。本作は九州の片田舎で育った浅葱空豆(広瀬すず)と音楽家を目指す青年・海野音(永瀬廉)が運命的で衝撃的な出会いを果たすことから始まる、とっくに恋に落ちているのに、なかなか恋が始まらない夢追う二人の青春ラブストーリーだ。

空豆が話す独特の方言は、九州の特定の地域の方言ではない。宮崎弁をベースに、空豆の育った宮崎県えびの市で使われているほぼ鹿児島弁と言われる方言、さらに長崎弁をミックスした、脚本を担当する北川悦吏子氏が考案した“空豆語”となっている。空豆は、ほぼ鹿児島弁ともいわれる諸県(もろかた)弁を使う宮崎県えびの市出身で、上京するまで長崎出身の祖母・浅葱たまえ(茅島成美)たちと暮らしていた設定だ。

今回は、台本作りの段階から方言を監修し、イントネーションなどのアクセント指導も行っている女優で宮崎弁担当の岡林愛氏、同じく女優で長崎弁担当の山下由奈氏それぞれに、“空豆語”について話を聞いた。

空豆語は表現する感情がポイント

――方言指導を担当するにあたって、どのようなことを意識されましたか?

岡林 北川先生が台本の段階からすでに空豆のセリフを方言で書いてくださっているので、私と山下さんでそれを見て、「こういうニュアンスだったらこっちの言葉の方がいいかな」というものを提案させていただいています。空豆は勢いのある、強い言葉を使うことが多いので、どんな言い方をするかも考えながら選んでいます。

山下 北川先生はセリフの音を大切にしていると伺っていたので、先生が書かれた元のセリフにイントネーションが近い方言を提案するようにしています。宮崎弁と長崎弁それぞれ候補を出す時もあれば、岡林さんと話し合って宮崎弁と長崎弁をミックスした候補を出す時もあります。シチュエーションによって何パターンも出して、その中から北川先生が選んでいくという作業を繰り返しています。
ほかにも、空豆がどんな女の子なのかをイメージしながら言葉を選ぶようにしています。セリフ自体がとても素敵で、歌詞を読んでいるようなので、音楽制作の経験はありませんがまるで音楽を作っているような感じでした。

火曜ドラマ『夕暮れに、手をつなぐ』空豆を演じる広瀬すず火曜ドラマ『夕暮れに、手をつなぐ』空豆を演じる広瀬すず

――岡林さんは、現場でイントネーションの指導をされていますが、実際に指導をされて難しかったところはどんな部分ですか?

岡林 最初の頃は、台本が届いた段階でセリフをボイスレコーダーに吹き込んで広瀬さんにお渡ししていたのですが、それを聞いてしまうと感情を入れて演じるのが難しいという問題がありました。私自身、出身地以外の方言でお芝居したことがあるのでその気持ちはすごく分かります。なので、感情を表現する際の方言の法則を自分なりに考えてお伝えしました。
広瀬さんがイントネーションやリズムを掴んでからは、現場で直接アクセントを修正させていただくようになりました。山下さんに確認が必要な時は連絡することもあります。イントネーションやアクセントのちょっとした付け方の違いで意味が変わってしまうので、リハーサルを見て、どういう感情のお芝居をするのか確認しながら調整させていただいています。
また、自分のアクセントや自分なりの方言に固執しないよう特に注意しています。私自身、祖母が福岡、祖父が鹿児島なので、生粋の宮崎弁とは言えないですし、地域によっても微妙にニュアンスが違ったりします。九州のいろいろな方が喋っている言葉をなるべく多く聞いて、方言指導させていただいています。

火曜ドラマ『夕暮れに、手をつなぐ』空豆を演じる広瀬すず火曜ドラマ『夕暮れに、手をつなぐ』空豆を演じる広瀬すず

――“空豆語”のポイントを教えてください。

岡林 自己主張する時は「~じゃっどん(だけど)」「そうじゃ(だ)」「~がよ(だよ)」とか、濁点の入っている宮崎弁が多いかもしれません。宮崎弁はアクセントやイントネーションをつけなくてもいい言葉なので、平坦な感じで話してもそれっぽくなるのですが、主張したい時は語尾が上がるのがポイントです。
また、若い人はほとんど使いませんが、「おい(私)」とか「じゃっどん」といったほぼ鹿児島弁とも言われる方言が出てくるのが、祖父母と生活していた空豆らしいなと感じています。

山下 優しい気持ちで語りかける時や、恋愛ムードが少し入っている時は「~と」とか「~けん」とか、長崎弁の方が多く出る印象はあります。照れくさい時は「~するがよ」と言ったりしますね。反対に怒っている時は、宮崎弁や鹿児島弁が多い印象です。でも、広瀬さんの声自体がマイナスイオンを発しているかのような素敵な声なので、もはやその声ありきの“空豆語”なのかもしれません。

――最後に空豆の魅力、そして作品の見どころを教えてください。

山下 広瀬さんは演技がとてもナチュラルで、「空豆がいる!」と思わず鳥肌が立ってしまいました。空豆が持つ破天荒だけど愛らしい部分を魅力的に表現されていて、頭の天辺から爪先まで空豆だなって。自分でも台本を読んで、空豆だったらこう動くのかなというのを想像していたのですが、想像以上過ぎて、広瀬さん演じる空豆から目が離せません。
空豆は「キラキラ女子」ならぬ「キラキラ猪」という印象です(笑)。一歩間違えたら粗野な人に見えてしまうギリギリのラインにいますが、決してガサツにはならない。そこが空豆の魅力だなと思います。

岡林 空豆の魅力はなんといっても、あの独特の「空豆語」をあえて標準語に直さずに自分の意思で話しているところだと思います。明るいシーンもそうですが、切ないシーンや悲しかったり落ち込んだりしている時に、方言だからこそ出せる哀愁みたいなものが素晴らしいなって。そういった部分は見どころだと思いますので、「空豆語」を楽しみながらドラマをご覧いただけたらと思います。

■番組概要
[タイトル]
火曜ドラマ『夕暮れに、手をつなぐ』
[放送日時]
毎週火曜よる10時~10時57分

PICK UP