大学ラグビー伝統の一戦である「早慶戦」。
2022年で99度目の対戦を迎えましたが、その戦績は早稲田71勝に対し、慶應20勝というもの。さらに言うと慶應は直近の11年間、早稲田に敗北を喫しています(※2022年10月までの戦績)。
その状況を打破するため慶應は、なんと早稲田のコーチを招聘。“異例中の異例”とも言える決断の裏側や、それぞれの思いに注目します。
慶應に現れた、宿敵“早稲田出身”のコーチ
慶應にヘッドコーチとして呼ばれたのは、三井大祐 氏。

現役時代は、元日本大学の五郎丸歩 氏とともに早稲田ラグビー部の主力選手として活躍しており、2008年には全国大学選手権優勝も果たしています。
その後は、母校である早稲田大学でコーチを務めていましたが、2018年に慶應のヘッドコーチに就任しています。

三井氏はチームの練習において、早稲田戦に向けてディフェンスを強化しつつ、慶應の伝統である「タックル」のスキルアップを目指した指導に取り組んでいるとのこと。
ほかにも、試合の映像の分析をしたりと、生活のほぼ全てを慶應ラグビー部に捧げています。

そんな三井氏の姿に、選手たちからは「すごく熱心に教えて下さる方なので、三井さんのためにも早稲田に勝ちたい」といった厚い信頼が寄せられています。
早稲田から慶應に招聘するまでのドラマ
いまや慶應ラグビー部にとって不可欠な存在となった三井氏ですが、招聘に至るまでの道のりには苦難もあったといいます。
慶應の監督やOB会の理事長はその時を振り返りつつ、「慶應OBでないコーチを入れることがためらわれる(事実があった)」「早稲田出身のコーチを迎え入れてまでしないと早稲田に勝てないのか(という反応もあった)」と話します。

その中でもスカウトを決行した理由として、慶應の監督は「三井コーチは早稲田の出身者の中でも特に熱があり、“ラグビーで何がなんでも勝利したい”という思いを強く持って、それを表現できるコーチ。そういう部分が慶應に最も欠けてる部分かなと思った」と打ち明けてくれました。
三井氏本人は、現在の思いを「自分は早稲田で育ててもらった。早稲田に憧れて、早稲田でラグビーしたいと思って学生時代を一生懸命やって、そこでコーチする機会を与えてもらった。改めて早稲田の良さを知ってるからこそ、そのチームに勝ってみたいなという思いがある」と語ります。

ちなみに、決断にあたって母校・早稲田大学の当時のラグビー部監督は、三井氏を温かく送り出してくれたそう。
こうした裏側にあるドラマを経て、今後のラグビー早慶戦はさらに熱いものになっていきそうです。これからもますます目が離せませんね!
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